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【音盤紹介 vol. 5】 Powerhouse Sound / Oslo/Chicago Breaks

一体いくつプロジェクトがあるのか、ワーカホリックKen Vandermarkのユニット"Powerhouse Sound"の2005, 2006年の録音。発売は2007年。

参加メンバー

Disc 1: Oslo Version
・Ken Vandermark: Tenor Saxophone
・Nate McBride: Electric Bass
・Ingebrigt Håker Flaten: Electric Bass
・Lasse Marhaug: Electronics 
・Paal Nilssen-Love: Drums

Disc 2: Chicago Version
・Ken Vandermark: Tenor Saxophone
・Nate McBride: Electric Bass
・Jeff Parker: Electric Guitar
・John Herndon: Drums

メンバーは、Ken VandermarkとNate McBrideは固定で、Osloサイドは北欧勢と、ChicagoサイドはTortoise勢との演奏になっている。
Vandermark作の同じ曲(相変わらず "for〜" が目立つ)を異なるユニットで演奏するという志向で、Miles Davisの"Inamorata"のような、エレベのリフを軸としたファンクなジャズロック、シングルノートの楽器が多くアンサンブル感より個々の即興重視。
基本的にインテンポで、所謂ロックファンもジャズファンも聞きやすい。

Oslo Side

ツインベースにエレクトロニクス、しかもドラムはPaal Nilssen-Love。
その編成を聞いただけで胸躍るわけだが、中身は、、、う〜む、何とも。
直線的な演奏に終始している。
それぞれの演奏能力が高いため楽しめる、が、悪くはないが良くもない。

Chicago Side

実はこのアルバム、Chicagoサイドが面白い。
Hip-Hop大好きJohn Herndonの少しルーズなビートの上で、今まで聞いた中でも最もアグレッシブで破壊的なJeff Parkerのギターが炸裂している。
Jeff Parkerに、破壊的なという言葉がくるとは思っていなかった。
この人こんなギター弾くのか、と唸ってしまうほどエフェクティブな歪んだ音で弾き倒している。
いつものクリーンでスクエアなギターに加えて、Hot Cake 3knobでがっつり歪ませた音、DOD FX-17(このワウは面白いよ)をフィルター的に使った音、そしてMoogerFooger MF-102 Ring Modulatorでギュンギュンいわせた音(買ったばかりなのか?使いまくりだ)など、Jeff Parkerの実力を再認識させられる。
VandermarkもChicagoサイドの方に手応えがあったのか、Chicagoサイドのメンバーでライブも行なっていたようだ。

Ken Vandermarkは?

首謀者に全く触れてなかった。
ここでのVandermarkはテナー一本で勝負。
フリークトーン少なめでストレート、抜群の安定感。

総評

日本語情報レア度★☆☆・・・あるはず。が、Vandermarkはユニットが多すぎるため、情報が埋もれやすい。
必聴度★★☆・・・即興の入口としてよし。Jeff Parkerの違った一面に触れたい人にも是非。
入手困難度☆☆☆・・・最高、Bandcamp、最高。

勝手に関連音源

Miles Davis / Inamorata
"Live Evil"に収録。独特のウネリが気にいった人は、Cellar Door Sessionsのボックスが欲しくなるはず。エレクトリックマイルスは合法的な麻薬。

Spaceways Incorporated / Thirteen Cosmic Standards
VandermarkのSun RaとFunkadelicの曲を演奏するプロジェクト。Hamid Drakeのリズムは現代の奇跡。

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