【音盤紹介 vol. 1】 Biggi Vinkeloe Trio / Sweet Odd

 Biggi Vinkeloe: Alto Saxophone
 Peter Friis Nielsen: Bass Guitar
 Peeter Uuskyla: Drums

Biggi Vinkeloe、実は全く知らない人です。
略歴はDiscogsにおまかせするとして、、
1曲目、いきなり高音でキィキィいわすので、おっ、これはEvan Parker的にいくか、と思いましたが、それは最初だけ。その後は中音域で断片的なメロディを散発させます。呼吸が同時に漏れて混ざるような、ノイズまじりのアルト。テナーじゃなくてアルトってところがいいですね。Ornette ColemanでもMarion Brownでもない音。

Peter Friis Nielsen、このアルバムはこの人目当てで買いました。クレジットがBass Guitarとあるように、エレクトリックベース弾きです。フリージャズやフリーインプロヴィゼーションにおいて、実はエレベは珍しい。いたとしても、ドンシャリのギンギンか、ディストーションでブンブンが多いのですが、この人はパッシブなジャズベでひたすら指弾きしてます(なぜか常時フェイザーがON)。特殊奏法もなし。なかなかに貴重で面白いので、この人の参加作品は見かけたら買うようにしています。

Peeter Uuskyla、この人のドラムは落ち着きます。いわゆるフリージャズなドラム。いや、もっと限定的に言うと日本のフリージャズ的な、いや、もっとはっきり言うと、豊住芳三郎です、これは。一音一音スティックでビシバシとしばき倒していきます。Peter Brötzmannとの共演が多いのもうなずけます。

アルバム全体としては、ベースとドラムが作り出すうねりの上をアルトのフレーズがトランポリンのように弾かれ続けている感じ。ベースが縦横無尽に弾きまくっているため、低域だけがすっぽり抜け落ちているような音像です。アルトが手を替え品を替え提示してくるメロディをフリーバッティングのようにひたすら遠くへ打ち返す5曲目Bemboが面白い。同じリズム隊でもサックスがBrötzmannになったトリオだと様相が変わっていて、逆にリズム隊がサンドバックのように殴られ続けます。

Peter Friis Nielsenのベースの音が面白いのでオススメですが、これよりもPeter Brötzmannとのアルバムの方が手に入れやすいかもしれません。個人的にはEvan Parkerとの共演盤が好みです。このGhost In The Machineのリズム隊とBrötzmannでThe Wild Mans Bandになるわけです。ParkerとBrötzmannの違いで、全くもって異なる音盤になっています。

日本語情報レア度★★★・・・見たことない、誰かサックスの人の情報教えて
必聴度★☆☆・・・エレベ弾きは是非、でもこのアルバムじゃなくてもいいかも
入手困難度★★☆・・・多分売ってない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?