第6話 新世界!ネットワークビジネスとの出会い
それは・・13年ぶりに復帰した職場にもようやく慣れ、
家庭も仕事も充実した毎日を過ごしていた時にやって来たのです。
充分満足で充分幸せでやりがいがある、でも一抹の不安がフツフツと沸き上がってた時にネットワークビジネスの誘いがあったのです。
これを読んで下さっている多くの皆さんも、同じような精神状態の時にネットワークビジネスがやってくることを分かって欲しいのです。
やってきたのは、ビジョン系、耐久消費財系のネットワークビジネスでした。
投じた資金は1口30万円弱。
対象商品はスマホで使うアプリで、ここで権利を買えば将来安定した権利的収入が得られるということでした。
今考えたら、非常に子供騙しな説明。
しかし何の経験も無い私には、その内容は非常に
新鮮でした。
『今投資をすれば、何もしなくても権利収入が手に入る』ということでした。
その為には勧誘をしていく必要があったのですが、
『この資金がプラスになり、自分はもちろん、伝える人達も経済が豊かになるんなら!』と本気で信じたのです。
家族との時間を割き説明会やセミナーに翻弄しました。
そう、医師の妻、看護師の私はネットワークビジネスにはまったのです。
なんとそこから3年間、本気で走った私は最高タイトルを取るまでになっていたのです。
これは「必ず看護師になる! 」という夢を定めて叶えてきた私にとっては、この時の思いや考え方が非常に活きてるなと実感しました。
『思考は先、現実が後』
その為の努力をすると夢は叶うということも実感したのでした。
しかしその時の私の行動は、無茶苦茶でした。
家族との時間や、全てを犠牲にしてネットワークビジネスに全身全霊、全てのエネルギーを注入したのです。
説明を聞きたいという人が居れば、何時間でも、時には2時間以上も眠い目を擦りながら高速道路を移動しながら説明に行ってた私がいました。
SA毎に仮眠、そして移動。
それを繰り返しながら朝方帰る事も度々ありました。
そう、私はこの歳になって不良主婦になってしまったのです。
母親を放棄するつもりももうとう無く、案外真面目な私は、どんなに遅い時間になっても朝はきちんと居ようとほとんどが日帰り。
また次の日何時間もかけ同じ所に行く事もあり何と非効率な・・・。
そんな非行率ではあったものの、寝る間を惜しんで働きまわり、数ヶ月後には100万円以上の収入も出来たのでした。
しかし、それまでに使った経費と時間を考えると完全にマイナスなのです。
ネットワークあるある!!!
やられた方、成績を出されたことのある方は
私の話が分かっていただける事と思います。
収入を取るために始めたのです。
でもこれは収入ではなく、ただの売り上げです。
コミッションというのは収入ではなく売り上げなんです。
その売り上げを得るために私は、莫大な労力や経費を掛けていたのです。
数ヶ月続いた収入も、激減していきました。
そう、グループはどんどん崩壊していくのです。
現場で語られる権利収入というフレーズは、私は嘘だと断言できます。
実際この権利収入という単語は特商法で禁止ワードとされているのです。
ネットワークビジネスの1年継続率は、なんと4%と言われています。
組織はビジネスに行き詰まった末端から崩れ、結果アップである私たちのどんどん収入は減る、でも、経費が減ることはありません。
忙しさも経費も増えながら収入は減っていく、そんなジレンマに私は苛まれていきました。
それなのに・・・タイトルを取ってしまったことで、壇上に上がったりセミナーでは思ってもいないことを話したり・・・。
要は、権利収入が取れるとか、これで成功できるんだと、私はキラキラした空間でキラキラしながら一生懸命みんなに語りながらその裏では悩んでいたのです。
苦しさはどんどん増幅していったのです。
しかし、伝えた責任があります。
私を信じて参加をいただいた方も多かったのでやめるわけにはいかず、新規の方に伝える事も出来ない。
だって私はこんな自分のような人を作りたくなかったのだから・・。
このビジネスでの後半は、メンバーさんのフォローに専念していた状況で、そんな状況では継続した権利収入など取れるわけも無く、そして辞められるわけでもありません・・・。
そのような状況を数年続けたの後、なんと会社まで無くなってしまったのです。
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【目次】
■序章『看護師トモ子の副業ナースコール』
■第1話『子どものころの夢=決心』
■第2話『結婚の理想と現実・・』
■第3話『死の覚悟をした出産』
■第4話『フリーターとワンオペ生活』
■第5話『職場復帰で感じた恐怖』
■第6話『新世界!ネットワークビジネスとの出会い』
■第7話『まさかの投資詐欺?!』
■第8話『儲かる魔法はない!』
■第9話『DX・CX』
■第10話『これぞインターネット集客』
■第11話『最終章』
■追記『薬機法とネットワークビジネス』