13.安楽死
■安楽死について、あなたの考えを述べなさい。
■安楽死について(400字相当)
安楽死においては、倫理的な側面や決定プロセスの透明性などが問題視されている。これらの問題の対応策として、まず望まれるのは、緩和ケアの専門施設やスタッフの充実だ。患者が安楽死を選択する主な理由が心身の苦痛であることを考えると、その苦痛が緩和されるなら、あえて死を選ばない患者は多いはずだ。また、安楽死を終末期の医療行為として認めるなら、合法化する必要がある。その法整備にあたっては、客観的で明確な基準が求められる。安楽死を合法化しているオランダではその条件として、患者の自由意思、たえがたい苦痛の存在、医師が決められた手順を踏んでいることなどを定めている。わが国においても、患者のQOL(生活の質)の保持、主体性の尊重を基本理念として、同様に厳格な基準が設けられるべきだと考える。(339字)
※上記の400字相当の場合、文字数を短くするため、問題点から書き始めています。
600字・800字は、本来の型である①定義 ②現状(背景)③問題点(課題)④解決策(対応策)という流れにしました。
■安楽死について(600字相当)
安楽死とは、終末期を迎えた患者の希望により、医師が死に至らしめることを言う。薬品などによって死期を早める積極的安楽死と、延命治療の中止によって結果的に死に至らしめる消極的安楽死(尊厳死)とに大別される。そして、安楽死については、倫理的な側面や決定プロセスの透明性、医師が刑事罰に問われるリスクなどが問題視されている。これらの問題の対応策としては、まず、明確な基準を設けた法制化が望まれる。だが、安楽死についての社会的関心がまだ十分でないわが国の場合、いきなりの合法化は現実的ではない。わたしはまず、リビングウィル(生前の意思表示)についての法整備を整えるべきだと考える。それは、多死社会、認知症患者の増加といった問題に直面しつつあるわが国において早急に望まれることだ。★また、リビングウィルの法制化は安楽死や終末期医療についての社会的関心を呼び起こす契機にもなる。★同時に、緩和ケアやペインコントロールの専門施設やスタッフの充実を図っていく必要がある。安楽死が選択される主な理由が、心身の苦痛であることを考えると、それが緩和されるなら、あえて死を選ばない患者は多いだろう。安楽死においても重視されるべきは、患者のQOL(生活の質)や主体性の尊重といった医療の基本理念であることを忘れてはならない。(546字)
※文字数を減らすなら、二つの★印の間の文章は不要。
※現在、わが国にリビングウィルについての法律はない。アメリカなどには終末期医療において患者の自己決定権を尊重する法律がある。
■安楽死について(800字相当)
安楽死とは、終末期を迎えた患者の希望により、医師が死に至らしめることを言う。薬品などによって死期を早める積極的安楽死と、延命治療の中止によって結果的に死に至らしめる消極的安楽死(尊厳死)とに大別される。そして、安楽死については、倫理的な側面や決定プロセスの透明性、医師が刑事罰に問われるリスクなどが問題視されている。では、こうした状況にどのように対応していくべきだろうか。安楽死に関わる混乱を解消するためには、明確な基準を設けた法制化が望まれる。だが、安楽死についての社会的関心がまだ十分でないわが国の場合、いきなりの合法化は現実的ではない。わたしはまず、リビングウィル(生前の意思表示)についての法整備を整えるべきだと考える。それは、多死社会、認知症患者の増加といった問題に直面しつつあるわが国において早急に望まれることだ。また、リビングウィルの法制化は安楽死や終末期医療についての社会的関心を呼び起こす契機にもなる。積極的安楽死が認められているオランダでも、裁判事例で国民の関心が高まってから、合法化に至るまで30年以上を要した。わが国においても、政府が中心となって、一層の啓もう活動を行うべきだ。同時に、緩和ケアやペインコントロールの専門施設やスタッフの充実を図っていく必要がある。安楽死が選択される主な理由が、心身の苦痛であることを考えると、それが緩和されるなら、あえて死を選ばない患者は多いだろう。安楽死においても重視されるべきは、患者のQOL(生活の質)や主体性の尊重といった医療の基本理念であることを忘れてはならない。(664字)
「ヒモノカシテジョージ」で解決策を整理してみる。
ヒト→人の意識を高める(社会的関心)、専門スタッフの充実
モノ→専門施設の充実
シクミ→リビングウィルの制度化
ジョウホウ→政府主導での啓もう(情報の発信・拡散・共有)
ジカン→早急に
■小論文弁当のレシピ
①安楽死の定義は、こうだ。②現状では、倫理的側面、プロセスの透明性などの問題点がある。③その解決策は、リビングウィルの制度化、社会的な関心を高めること(啓もう)、専門施設やスタッフの充実だ。④もちろん安楽死においても医療の基本理念を重視するべきだ。
※メモ書き
今日の日本は、安楽死を法制化する段階ではない。やや古い資料だが、厚労省が平成25年に行った終末期についての意識調査では、家族と話し合ったことがない人が56%いた。まだ普及、啓蒙の段階。
平成25年に行われた厚生労働省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査」では、事前指示書について法律で定めるべきだと回答した人は一般人、医師、看護師とも50%に達していなかった。そもそも家族と話し合ったことがない人が55%を超えていた。
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