見出し画像

看護師「小論文弁当」。公務員看護師に転職・就職するための小論文解答例を載せています。


■小論文テストは、弁当づくりです。

制限時間内に、規定の文字数で、設問が求める内容を仕上げる必要があります。朝のせわしない弁当づくりに似ています。限られた時間で、数品のオカズと適量のゴハンを弁当箱に詰めなければなりません。けれど、時として、脳の冷蔵庫に食材が何もないことがあります。書くことが、何も浮かばないと焦ります。

■そんな時は、「ヒモノカシテジョージ」です。

■「ヒモノカシテジョージ」とは?

(人)、モノ(物)、(金)、(仕組み)、(テクノロジー)、ジョー(情報)、(時間)という視点から解決策を探る方法です。小論文で、問題解決型の設問が出された時、この方法で考えると書く内容が思い浮かびます。それらを食材として活用することで、「小論文弁当」を作ることができます。

■「ヒモノカシテジョージ」で、献立(小論文の構成)を考えてみる。

たとえば「医療ミス防止に医療従事者はどう取り組むべきか」という設問だった場合。

まず、設問のテーマを定義する。
医療ミスは、「医療過誤」とも呼ばれ、医療従事者に間違いがあって生じた被害を意味する。
そのテーマ(医療ミス)の現状を述べる。
薬や輸血する血液を間違えたり、手術する患者や部位を間違うといったケースが起きている。
③問題点を(原因・背景などと関連づけて)述べる。
医療ミスの原因は主に三つある。一番目は人手不足(忙しいと疲労がたまり、ミスが増える)。二番目は患者の情報が共有されていないこと。三番目は医療従事者の技術・経験の不足。
その解決策を示す。
人、物、金、仕組み、テクノロジー、情報、時間を活用し(それらをうまく組み合わせて)、いろいろ考えてみる。

に関して考えられるのは、人々の意識や行動をどう変えるか(学習・訓練)、人手不足の解消(外国人の雇用)、人材の活用(コンサルタント)、人と人とのコミュニケーションの強化など。
については、施設や設備、道具の活用。(照明や防音が工夫され、疲労回復に配慮した仮眠室。患者にバーコードの付いたリストバンドを装着するなど)
については、賃金アップ(それによって雇用希望者が増える)、予算のやりくり(医療ミス防止のための設備・仕組み作りの資金)。
仕組みについては、リスクマネジメント、働き方改革など新しい制度・システムの導入。
テクノロジーについては、ITやAIの活用(ケアプランの作成、投薬管理システムの導入)。医療従事者の技術の向上。
情報については、患者情報の共有(定期的なミーティング、ヒヤリハット事例の共有)。
時間については、労働時間・体制の見直し(時短・フレックスタイム制)。

⑤以上のように取り組むことが、医療ミスの防止につながっていくと、わたしは考える。

※こうした考え方は、設問が問題解決型(対応型)だった場合、どんな問題にも使えるので便利です。ただし、いつも模範的な解答は作れないかもしれません。不合格にならない程度に、何か書けることが第一の目標です。
オカズ(キーワード)は、なるべく使い回しました。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)という言葉などは、タマゴ焼きのようにいろんな弁当に登場します。その方が、覚えるのが楽だし、構成もしやすいと考えました。

ゴハンの量(文字数)も原則、400字、600字、800字と変えています。

■問題解決型の小論文とは?

大げさに言うと、「どうやったら人の幸せを増やし、不幸を減らせるか」を書くのが問題解決型の小論文です。看護の分野では、QOL(生活の質・人生の質)という便利な言葉があります。どうやったら、その人のQOLを保ち、高められるかが課題となります。

■解答例:医療ミスをなくすにはどうすればよいか。あなたの考えを述べなさい。

■医療ミスについて(400字相当)

医療ミスの発生については、主に三つの原因があげられる。第一は現場における人手不足、第二は患者情報が共有されていないこと、第三は医療従事者の技術・知識不足だ。その対応策だが、人手不足に関しては賃金アップによる雇用の促進AIの活用による医師・看護師の負担軽減などが考えられる。二番目の問題である患者情報の共有については、ミスを最小にする仕組みである「リスクマネジメント」制度の導入が有効だ。その具体例としては、投薬などを複数の人間が確認する「ダブルチェック」の義務化、事故の一歩手前だった「ヒヤリ・ハット事例」の情報共有などがある。最後に医療従事者の技術・知識不足についての対応策だが、求められるのは時間的余裕をもって学べる職場環境だ。医療現場において「働き方改革」を推進することも、ミスのない、患者中心の医療の実現につながっていくはずだ。(367字)

■医療ミスについて(600字相当)

医療ミスとは、医療従事者の誤った診断や治療などにより患者が被害を受けることを指す。その主な原因は、現場における人手不足患者情報が共有されていないこと、今日の医療技術の高度化・職務の複雑化だ。人手不足であれば疲労からケアレスミスが起こりがちだ。ささいな連絡ミスで患者情報が共有されず、それが重大な医療事故を引き起こすケースもある。医師や看護師に技術や知識が不足している場合も同様だ。その対応策だが、人手不足に関しては賃金アップによる雇用の促進AIなど最新テクノロジーの活用による医療従事者の負担軽減が考えられる。また患者情報の共有に関しては、ミスを最小にするための仕組みである「リスクマネジメント」の導入が有効だ。その具体例としては、投薬などを複数の人間が確認する「ダブルチェック」の義務化、事故の一歩手前だった「ヒヤリ・ハット事例」の情報共有などがあげられる。最後に医療の高度化や職務の複雑化への対応策だが、求められるのは医療従事者たちが時間的余裕をもって学べる職場環境だ。医療現場において「働き方改革」を推進することも、ミスのない、患者中心の医療の実現につながっていくはずだ。(489字)

■医療ミスについて(800字相当)

医療ミスとは、誤った診断や治療、患者の取り違えや投薬ミスなど、医療従事者の過失によって患者が被害を受けることを指す。その発生の原因となっているのは、現場における人手不足患者情報が共有されていないこと、今日の医療技術の高度化・職務の複雑化だ。人手不足であれば一人当たりの仕事量や労働時間が増え、疲労からケアレスミスが起こりがちだ。ささいな連絡ミスで患者情報が共有されず、それが重大な医療事故を引き起こすケースもある。医師や看護師に技術や知識が不足している場合も同様だ。それらの問題についての対応策だが、人手不足に関しては賃金アップによる雇用の促進、外国人スタッフの雇用などが考えられる。AIなど最新テクノロジーを導入することで医療従事者の負担軽減も期待できる。また患者情報の共有に関しては、現場における「リスクマネジメント」の導入が有効だ。これはミスを管理するべきリスクとしてとらえ、その対処方法を想定することで、損失を最小にしようとする仕組みだ。その具体例としては、投薬などを複数の人間が確認する「ダブルチェック」の義務化、事故の一歩手前だった「ヒヤリ・ハット事例」の情報共有などがあげられる。最後に医療技術の高度化や職務の複雑化への対応策だが、医療現場における「働き方改革」が重要な意味を持つとわたしは考える。新たな技術や知識の習得には、学習意欲を持ち続けられる時間的余裕が必要だ。それには質のよいワークライフバランス(労働と生活の調和)が求められる。患者中心の医療に向けて、最適な職場環境を作り出すこともミスのない医療の実現につながっていくはずだ。(675字)

オカズ(キーワード)は、太字で表示してみました。

■参考にさせていただいた書籍の一部です。


■ひとつのキーワードで5つの設問と面接に対応できる解答例(有料)は№5の記事に掲載しています。

©Copyright2024 小論文弁当All Rights Reserved.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?