ユアグローがロックダウン下のNYで正気を保つために書いた掌編小説(No. 889)
考える人 メールマガジン
2020年11月12日号(No. 889)
ロックダウン下のNYで正気を保つために書かれた小説はなぜ日本で評判を呼んだのか?
バリー・ユアグローの緊急寄稿を柴田元幸訳で掲載!
『一人の男が飛行機から飛び降りる』などで知られる、アメリカの作家バリー・ユアグローさん。日本では柴田元幸さんの翻訳で親しまれています。
バリー・ユアグローさんは、ニューヨークがロックダウンされている間、正気を保つために掌編小説を書き、柴田さん宛てに一篇ずつ送っていました。
目の前で起こっている事実そのままではなく、寓話というかたちを借り、何かにすがるようにして書かれた12篇の物語が、英語圏に先んじて、2020年5月に日本の ignition gallery から『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』として発売。44ページの小さな本は評判を呼んで、現在4刷にまでなっています。
『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』が生まれた背景、そしてなぜNYで生まれたこの掌編小説が、とりわけ日本の読者の心をつかんだのか――バリー・ユアグローさん本人がLITERARY HUBに寄稿した文章を、柴田元幸さんの訳でお届けします。
また、『ボッティチェリ』より「スプーン」を全文掲載いたします。
祝・角川財団学芸賞受賞!
今福龍太×真木悠介「宮沢賢治の気流に吹かれて」
『宮沢賢治 デクノボーの叡知』(新潮選書)の著者・今福龍太さんが、第30回宮沢賢治賞に続き、今年度の第18回角川財団学芸賞を受賞されました。これを記念して、「新潮」2020年1月号に掲載された真木悠介(見田宗介)さんとの特別対談を公開しました。
真木さんの『気流の鳴る音―交響するコミューン』に影響を受け、若い頃にメキシコ行きを決めたという今福さん。インディオ、石牟礼道子、グレタ・トゥンベリ、そして他ならぬ宮沢賢治をめぐって大いに盛り上がったこの初めての対話を、是非お二人の著書とあわせてお楽しみください。
「こんなにヘンで、こんなに凄い冒険家は見たことがない」
高野秀行氏も驚愕! 新時代の冒険家・春間豪太郎の新刊『草原の国キルギスで勇者になった男』試し読み!
「リアルRPG」を合言葉に、キルギスで「新しい冒険様式」に挑んだ春間豪太郎さんによる連載が『草原の国キルギスで勇者になった男』として、好評発売中!
人生は、RPGだ。愛馬を引き連れ、広大なフィールドを駆け巡れ! 舞台は中央アジアの秘境・キルギス。ほかにもイヌワシとの共同生活、羊飼い珍道中、はたまた誘拐婚に遭遇したりと、トラブル満載。最新ガジェットも駆使した、これぞ、リアルRPG。新時代の冒険譚だ!
冒険家・春間豪太郎が生まれるまでの経緯を綴ったプロローグ「さあ、冒険をはじめよう!」と、キルギスでの写真を紹介する「ぼうけんのきろく」を公開しました。
遠出もままならない近頃ですが、この本で、ともに勇者になりましょう!
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■第1位 ジェーン・スー「マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること」
突然の"SOS"
コラムニスト、ラジオDJとして人気を博すジェーン・スーさんの新連載が初登場1位! 介護未満の父を娘が支える現在進行形ドキュメントに、初回から「身につまされる」「他人事じゃない」「人生の予習になる!」と大好評です。今後の展開も目が離せません。
■第2位 Superfly越智志帆「ウタのタネ」
毛髪一本勝負
先日のオンラインライブも大成功だったSuperfly越智さんの悩みは「髪質」。とにかく剛毛! 伸びるのが早い! 紆余曲折の末、たどり着いた答えは? 自分のコンプレックスと明るく向き合う姿勢に、勇気づけられたという声が多く寄せられました。
■第3位 道草晴子「よりみち日記2」
3. 入院中のさんぽコース
緊急事態宣言発令中、なにもせずひとりでいたら気が滅入ってしまった道草さん。気分転換に散歩していてふと気づくと、そこは10代の初めに入院していた病院の散歩コースでした。自粛期間中の空気を切り取ったような描写に支持が集まっています。
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呉のクリームパイ
新潮新人賞を同時受賞した太田靖久さんとのトークイベントを終えた小山田さん。新人賞へ応募したころの気持ちなどを思い出しながら、翌日は呉へ。クリームパイも美味しそうですが、タコ天丼も美味しそう……。
■柴田元幸「亀のみぞ知る―海外文学定期便―」(11/9)
(28)Don’t call me anything
〈アメリカにおいて、人を区別する上での最重要要素は性差と人種と貧富である〉。ところがキャサリン・レイシーの小説「Pew」の主人公はそこがわからない語り口で――。魅力的な小説2篇をご紹介。
■加藤ジャンプ「ロビンソン酒場漂流記」(11/10)
第2夜 そうだ、亀有は交番だけじゃない
どの駅から歩いても遠く、「なぜこんな不便な場所に?」という立地に忽然と現われる、それがロビンソン酒場だ!
コの字酒場でおなじみ加藤ジャンプさんが、亀有の名店で堪能する酒と肴と人情ドラマ。
編集長のお気に入り
◎映画「TENET テネット」
ちょうど一ヶ月前ぐらいに流行っていたクリストファー・ノーラン監督の新作映画。周りの後輩はみんな観に行っているのに、恥ずかしながらまだ観ていませんでした。
後輩の話を聞いたり、雑誌やラジオでネタバレも含めて作品評をよく目にしたりしていたので、なんとなくもう分かったような気持ちでいたのですが、それでも遅ればせながら、実際に観てみると、なかなか驚きますね。説明過多と言われる「鬼滅の刃」と逆に、あれだけ事前に情報を入れていてもよくわからない。
時間を逆行できる未来人との戦いを描くSF映画なのですが、逆行している映像と、通常の動きの混じりあいがものすごい。特にカーチェイスのシーン、いろんなことが同時に画面の中で起きていて、情報量が非常に多く、新しいものを見せられているという気持ちになりました。
初期の「メメント」から始まって、特に近年、「インターステラー」「ダンケルク」と時間にこだわった映画をずっと撮っているノーランですが、50歳で、「逆行した変な映像を観たい」という、子供の頃の初期衝動みたいなことを軸に、これだけ大がかりな映画を撮ってしまうというのは、つくづく変わったクリエイターだと思います。決してわかりやすい映画を作るわけではなく、かと言ってシネフィルからは敬遠されているのに、「ダークナイト」以降、常に新作が話題になる人というのも他にいません。
ちなみに、7月に出来たばかりの「Hareza池袋」内「TOHOシネマズ池袋」で初めて観てきたのですが、この付近、新宿歌舞伎町の「TOHOシネマズ新宿」と似て、雑踏のなかに急に現れる、広々とした空間でよかったです。西口公園と同じく、池袋の中でホッとできそうな空間です。「Hareza池袋」内の3棟の建物をつなぐ、ガラスを使った壁画作品《ミルチス・マヂョル/Mirsys Majol / Planetary Commune》は岡崎乾二郎さんのものだそうです。
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