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#37 「ちいちゃんのかげおくり」3時間目までこうやってみました

先週から「ちいちゃんのかげおくり」の授業を始めています。
今朝#36で、1時間目の授業を紹介しました。


運動会の準備などでバタバタしていて、なかなかまとめられなかったのですが、忘れる前に気づいたことや考えたことをメモしておこうと思います。



【2時間目】(T:教師 C:子ども)

この2時間目の授業では、「題名を掘り下げてどこまで作品を読めるか」ということを大まかに考えていました。

・まず「ちいちゃんのかげおくり」という題名は「主人公の名前+キーワード」の題名です。
・T「このような形の題名になっている物語は他にもあったかな?」と子どもたちたずねました。
・子どもたちは「スイミー」「春風をたどって」「大きなかぶ」…など今まで習った物語を思い出していました。
・「主人公の名前」もしくは「何かキーになるアイテム」は割と題名になりやすいです。
・今回のような「主人公の名前+キーワード」の題名で、子どもたちから出てきたのは「ミリーのすてきなぼうし」と「スーホの白い馬」でした。

・主人公は「ちいちゃん」で、キーとなるものが「かげおくり」であることを確認した後に、
「なぜ、かげおくりが、この物語の重要な言葉なのだろう?」という疑問がふと浮かびました。教師である自分もその理由を考えたいし、面白そうだったので、これをこの「2時間目のめあて」として黒板に書いてみんなで考えることにしました。


T「なぜ、かげおくりが、この物語の重要な言葉なのだろう?」という問いに対して子どもたちから次のような答えが出ました。

・C「ちいちゃん自身も(かげおくりのように)上にのぼってしまったから。
・C「最初に『家族のみんな』とやった思い出の遊びだから」
(T確かにかげおくりは初めと終わりでうまく回収されている伏線になっているなと感じました。)
・C「最後の数十年後に公園で遊ぶ子どもの『遊び』と対比しているのではないか」
(Tこれも子どもたちらしい発想だなと思いました。今の遊びはドッチボール、サッカー、ゲームのように「もの」が必要です。これと対比して昔の遊びは「もの」を使わない「かげおくり」ということだそうです。今の豊かな時代と、戦争で貧しい時代を対比しているといえます。)
・T「なぜかげおくりが重要なのか」→C「戦争に行ってしまうお父さんが教えてくれた大切な遊びだから。」
(ちいちゃんを悲しませないようにというお父さんの優しさなのかもしれません)
・C「かげおくり」をすると「家族がそろう」(これも子どもの意見にやられた!と思った意見です。確かにかげおくりがちいちゃんの家族を引き合わせています。)
・C「最初はうれしいかげおくり、最後は悲しいかげおくり」「わざとかげおくりを2回出すことで意味が変わってくる」(先ほどの意見と同様、前半と後半にかげおくりを違う意味で出してその対比の効果を強めていると考えられます。)
C「かげおくりという遊びを題名にすることで、戦争を知らない今の子どもにも覚えてもらえると思ったから」(これも私にはなかった発想でした。)


途中一人の子どもから「これは本当にあった話なのか」という質問が出ました。
この辺りで授業終了5分前くらいだったので、黒板の左はしに🔍「本当にあった話なのか?」とメモして次回以降考えることにしました。(こうやって🔍を書いておくことで、その後の授業でうまくその問題が解決できることがあります。)

最後に振り返りをしました。
「『ちいちゃんのかげおくり』」はなぜよい題名なのだろう?」
これをノートに書けた人から先生に見せて終わりにしました。



【3時間目】

・1時間目…感想の共有。2時間目…題名について と授業をしてきたので、3時間目のこの日は「登場人物」について迫ろうと考えていました。

・私の印象ですが、このお話で「ちいちゃんはあんまり自分の気持ちを語らない」という所がなんとなく気になっていたのでそのあたりを子どもたちから引き出せるといいなと思っていました。

・まずT「この物語の主人公は誰だろう?」と聞きました。
・子どもたちは間髪入れず「ちいちゃん」と答えました。
・理由としてはC「ちいちゃんはどの場面にも登場している」C「ちいちゃんだけ名前がある。(そのほかの人物はお父さん、お母さん、お兄ちゃん、おばちゃんなど)」

・ここで今日のめあてを「登場人物についてわかることを整理しよう」と黒板に書きました。
・このめあてにすることで、ちいちゃん以外の登場人物のお父さん、お母さん、お兄ちゃんの関係性も図にできるかなとか「登場人物の性格について」…ではなく、「登場人物について分かること」と聞くことで、性格以外のいろんな要素が出てくるかなと思いこのようなめあてにしました。


(ちいちゃんの「名前」)
・まずは主人公の「ちいちゃん」という名前に注目しました。
・T「まずなぜこの名前にしたか。」
・C「ちいちゃんとすることで物語にかわいらしい印象をあたえることができる。」
・C「ちこ」「ちえこ」「ちさと」などの名前かもしれないが、物語と同じ名前にすることで、読んでいる人を混乱させないようにしている。
・さらに子どもから出た補足で「ちびまるこちゃん」という題名も「さくらももこ」という題名だと分かりにくい。「『ちいちゃんのかげおくり』もお話の人物と名前を合わせることで分かりやすくしているパターンが一緒」という話もありました。これも「なるほど」と思いました。
・C「この話はどんどん暗くなるので「ちいちゃん」という明るい名前をいれることで、小学生の子どもにも最初に明るい気持ちで読んでもらえるのでは」という意見もありました。


(ちいちゃんの「性格」)

・名前について話した後に子どもたちと話したのはちいちゃんの「性格」のことです。
・「ちいちゃんはどんな性格?」とはじめ聞いたときに、子どもの反応がいまいちでした。
・そこで「今まで習ったスイミーと、今回のちいちゃんを比べた時どっちの方が気持ちが分かりやすい?」と聞いてみました。
・子どもたちは「スイミー」と答えたので「なんでスイミーの方が分かりやすいの?」と続けて聞きました。
・するとある子が「ちいちゃんはよくわからないから」と発言しました。
・T「よくわからないってどういうこと?」と聞き返すとC「感情が出ていない感じがする…」という意見をいっていました。
・Tじゃあ、ちいちゃんがどんな台詞をいっているか、教科書をみてみよう」といって、ちいちゃんの台詞や、心の背台詞をみんなで探しました。
・ここで気づいたことがありました。
・私が考えていたように、前半のちいちゃんは「すごうい」「お母ちゃん」「とお」「まぶしいな」という一言しか言葉を発さないのですが、物語後半では「私おなかがすいて軽くなったからういたのね」などのように結構自分の気持ちを話している場面があるのです。
・この前半と後半の台詞の多さの変化について、面白いと思ったので子どもたちに、T「なんで前半と後半ちいちゃんの台詞の多さが違うんだろうね」と聞きました。
・子どもたちからはC「前半は、戦争で毎日緊張していて、自分の思いを言葉にすることができなかった。」でも最後の場面で「もう安心して家族と過ごせるという思いから、たくさん言葉を話せるようになったのじゃないかな」という答えが出ました。
・子どもとちいちゃんの台詞を一緒に探したからこそ、台詞の量が変わっていることに気づけたなと思っています。
・結局この日は、「ちいちゃん」について考えることで終わってしまいました。(家族については、次の4時間目にやることにしました。)

・またこの日の授業では扱えませんでしたが、「教科書の挿絵ではちいちゃんの表情があまりわからないように描かれている」という意見もありました。これも今後の授業につながるかもしれないので、黒板の左端にメモ書いておきました。

ここで3時間目の授業は終わりました。



実は今日5時間目まで授業をしたので、そこまでまとめられればと思っていたのですが、書き始めると2、3時間目のまとめまだけで結構長くなってしまったので、続きは明日以降書ければと思っています。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

(追加)
この後の4、5時間目の授業をまとめました。リンクをはっておきます。↓