デジタルとアナログの狭間での葛藤
おはようございます。
ニッチな市場でNo. 1のシェアを誇る、
ソフトウェア&クラウドサービスを提供する
売上100億円規模の会社で、
CFOを目指す人、suzukiです。
今回は、私自身が会社内のバックオフィスを統括する立場でもあるので、社内の色々な手続きのデジタルとアナログの狭間で揺れ動く心情を吐露したいと思います。
これによって、「あぁ、うちの会社のバックオフィスもこう言うことで悩んでるのか」と少しだけでも事業部門とバックオフィスの間で生じる意見のすれ違いが減らせればと思います。
まず、バックオフィスが紙紙、原本原本とやかましく言う一つの理由は、会社法で定められた重要書類の保管ルールがあるからです。
昨今、電子帳簿保存法が設立され、適宜見直されているとはいえ、まだまだその浸透には時間がかかると思います。
じゃあ、何故会社法は重要書類を紙で保存させるのでしょうか?
(電帳法で電子化される前のことから考えてみます)
ひとつは、会社の業績が正しく公開されているかどうかを、事後的に確認するため、でしょうか。
投資家や株主に対して、正しく会社業績を報告、公開していなければ、利益が正しく還元されないから、そりゃあそうだろうと思います。
もうひとつは、正しく税金を納めたか、これまた事後的に確認するためだろうと思います。
いずれも会社の業績や納税額を再計算するために、元となる情報が必要なのだろうと推測します。
でも、これらの動きが電帳法で、紙、原本からデータでよくなるということですよね。
これは非常にありがたい!
紙を箱詰めして保管しなくていいから。
ただ、次に起こりうるのは、提出されたデータの領収書や請求書って、使い回してないよね?という疑問。
これをどう解消するのかが、各会社に委ねられているのが難しいポイントです。
社員が経費精算してきたものに対して、過去に同じ請求書とか領収書を使ってないのか確かめるという、「社員の良心を疑ってかかる」という非常にタフな仕事が増えるわけです。
紙なら署名や押印によって複製が困難になり、一定の抑止力もあり、お互いに健全な気持ちでいられる訳です。
が、データになったことにより、複製が可能となり仕事の困難さが増しました。
しかも、実際に二重請求や二重支払いが発生してしまう。
これによって、本人は悪気がなくても、会社として「だったら紙のままでいいんじゃない?」という空気になる訳です。
精算に使用された画像データをデータベース化して、今回精算されたものとのマッチングを図り、初回なら受け付ける、みたいなシステムの準備が必要になります。
まだバックオフィス側のシステムがそこまで追いついていないので、どうしても紙かデータか選べるなら紙という状況になる訳です。
なので、皆さんの会社で、なんでまだまだ紙を求められるのか疑問な場合には、「あぁ、データ化するとまだマッチング手法も確立されてないし、システム化されてなければ二重請求二重支払いが起きるからなんだなぁ」と思ってもらえるとめちゃくちゃありがたいです。
二重請求二重支払いをしてしまうと、取引先や社員から返金してもらうことになるので、これまたタフな交渉になります。
世の中、「あぁ、わかりました。じゃあ返金しますね」と快く応じてくれる会社や人ばかりではないというのもポイントですね。
クリーニングに服を出して、帰ってきた時に違う服が混じっている時に、返しに来てくれる人と、それを売りに出す人がいることの違いにも近いと思います。
なので、「うちのバックオフィスは、時代の流れをわかってないな」と言いたくなる気持ちも分かりますが、一方で、まだまだうちの会社の事業部門の仕事のクオリティやメンタル面にも課題があるんだな、ということにも気づいてもらいたいです。
両方がお互いの気持ちを理解出来れば、仕事の仕方も変わって、健全に建設的に前に進むと思います。
今回も最後までお付き合い頂いてありがとうございました。