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地方暮らしの勧め(東京月80万円と愛媛月25万円の暮らしを経験してみて)

お金は大事です。しかし、人生で必要なお金の量は、どの程度の「生活費」で生きていけるかで変わってきます。ですので、今保持する預金の量を「周りと比べて少なすぎるのでは?」と心配し過ぎる必要はありません。

人はふつう、仕事を求めて大都市圏に住まいます。大都市はたしかに便利ですが、生活コストが高くなります。同じ広さの住居、同じ内容の食料、冷暖房もその他家電も揃っているとしましょう。

私ならWiFiさえ確保できれば、地理的環境を気にしません。

いや、むしろ積極的に「地方」を選ぶでしょう。なぜなら生活コストが安くなるためです(但しクルマが要らない程度の地方である必要があります)。


職業柄(ファイナンシャルプランナー)、こんな質問を受けることがあります。
“わたしの年齢でこれくらいの収入って低すぎないですか?”

みなさん自分の収入を気にされますが、ことお金に関してその人を特徴付けるのは、収入ではなく、毎月の支出額です。より具体的にいえば生活費の中身でしょう。

大都市圏は刺激が多く、文化資本も揃っています。しかし住居費が高くなります。これは生活費に占める住居費の割合が高くなることでもあります。

いっぽう地方に住めば、同じ広さのワンルームマンションでも家賃は半額程度というのは決して珍しくありません。
※試しにスーモで「○○県○○市 賃貸」と検索してみましょう。


「そんなのムリだよ」と却下してしまわずに、まずは思考の訓練として、以下少しだけイメージしてみましょう。WiFiを活用し、リモートで働ける職種に転職する(または事業主となる)というイメージです。

仮にこれが実現できると、世界は違った景色で見えてきます。なぜなら都会という地理的ハードルを乗り越えられるためです。

生活コストが下がって、同じ収入でゆとりある暮らしが可能になります(繰り返しですが、クルマが要らない程度の地方である必要があります)。

かくいう私は現在、愛媛県東温市というところに住んでいます。地方生活5年目です。仕事はZoomを用いて完全オンラインでこなしています。

地方は人が密集しません(のんびりしています)。豊かな自然もあります。生活リズムがゆったりしていて、自分と向き合うには程よい環境だと思います。いっぽう刺激やさまざまな出会いを求める人には、物足りなく感じることでしょう。

WiFiがあれば、ネットフリックスやアマプラで、ドラマや映画やドキュメンタリーを観られます。また、YouTubeで勉強も出来、ニュースやその他情報も充分収集できます。もちろん、地方特有の不便さはありますが、私は今この場所であれば月25万円程で生きていける自信があります。


では、私は根っからの地方暮らしタイプだったのか?答えはNOです。私は以前、東京で12年間暮らしていました。港区のタワーマンションに住み、月80万円くらい生活費を使っていた時期もあります。それはそれで面白く、刺激に満ちた生活でした。

月80万円(生活費)都会暮らし
月25万円(生活費)地方暮らし

少々極端かもしれませんが、どちらも変わらぬ個人の生活です。

Aでは月90万円の収入があっても、残るのは10万円のみです。いっぽうBはたとえ収入が半分の45万円になっても、手元に20万円のお金が残ります。家計にとってまず重要なのは、収入の多さではなく、支出額(生活コスト)の管理なのです。


たまに「東京と愛媛、どちらが生活のクオリティーが高いですか?」と質問されます。両方経験して思うのですが、「どちらも高い」です(笑)
物質的、社会的インフラの充実は東京が圧倒的です。いっぽう愛媛は自然環境の豊かさ、歴史文化に裏打ちされた心地よさがあります(つまり、クオリティーの高さの「種類」が違うわけです)。

大都市暮らしと地方暮らしは優劣があるわけではありません。あなたが何を求めるのか、何を重視するのかを(まずは)自問自答してみる必要があるでしょう。

仮にですが、あなたの性格が、流行を追い求めたり、刺激や変化に敏感だったり、たくさんの人との出会いを求めるタイプで「なければ」、地方暮らしはお勧めです。

私自身は都会っ子で、コロナ禍以前は自分が地方に住むなんて全く想像できませんでした。今振り返ってみて、なぜ馴染めたかというと、ある程度年を重ねていた(当時52歳)からだと思います。

地方暮らしはどちらかというと、都会でひと通り、酸いも甘いも経験を積んだ人に合うのかもしれません。自分に向き合い、自分に問いかけ、内省するのに適した環境といえるためです。


ところで、お金について云えば「お金って多ければ多いほどよい」というのが一般的な価値観でしょう。

例えば「今より月20万円多く稼ぐ」→「多くお金を使える」→「違う暮らしになり」→「違う自分になれる!」と多くの人は夢想します。ふつうは量としてのお金に評価軸を置きがちなのです。

私自身、東京で月80万円の暮らしと、愛媛の小さな町で月25万円の暮らしを経験してみて思うことがあります。「自分という人間は変わらんな」と。

何処に住まおうが、どんな仕事をしようが、月にいくらお金を使おうが、あなたという人間は変わりようがありません。人生においてはお金が主役ではないのです。

量としてのお金が重要なのではなく、お金の使い方やその中身が、あなたという人にマッチしているかどうかが大事なのです。

ずっと都会暮らしだった人にとって、地方住まいという変化は、今まで気付かなかった自分を発見できるチャンスになるかもしれません。

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