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投資のスタートまであと5ミリ足りないあなたへ

未知のこと、それは経験がないわけですから不安です。
目の前はぼんやりした空間で、距離感がなかなか掴めません。
か細いイメージと、わずかに知っている単語だけが、染みのように点在しています。

私は職業柄(ファイナンシャルプランナー)、数多の人から、実にたくさんの質問を受けてきました。「投資」に関して、長い年月の中で、変わらずいただくのが以下のような質問です。

“投資をやってみたいが
お金が減るのは耐えられないです。
預金しかやったことがないので不安です。”

上記は質問というより、気持ちの吐露でしょう。
日本では投資をやったことがない人が(やったことがある人よりも)大勢としては多いのです。

したがって、

“投資をやってみたいが
お金が減るのは耐えられないです。
預金しかやったことがないので不安です。”

というお気持ちは、
日本中のあちこちで聞かれる、偽らざる本音なのでしょう。


やったことがない事に不安を覚えるのは当然です。
その不安を和らげるには、その対象(投資)について努めて知るしかありません。
漠とした印象から脱して、
より深く対象を知ることで、解像度は徐々に上がっていくはずです。

また、お金が減るのは耐えられないという気持ちも当然でしょう。
これまで「お金を預ける」(元本保証)というのが唯一の道だったわけですから。
それ以外の別の「道」について、少し疑いの目で見てしまうのは致し方ない部分があります。

さて、一行目だけ「太字」にしてみましょう。

投資をやってみたいが
お金が減るのは耐えられないです。
預金しかやったことがないので不安です。


「投資をやってみたいが」ということばの奥底には、あなたの「変わりたい」という気持ちが見え隠れします(興味がないわけではないのです)。
翻って「お金が減るのは耐えられない」の部分は、(現状からは)「変わりたくない」という意思表示です。


「変わりたい」。
けれど、
なかなか「変われない」。


投資未経験者の一定割合は、このようなアンビバレントな心情を抱いているのではないでしょうか。

考えてみますと
日常生活の中では、

一人暮らしをする(しない)
仕事を変わる(変わらない)
引っ越しをする(しない)など、

常に「変化」と「現状維持」が綱引きが行われています。
しかし、ふつうは「現状維持」が優勢でしょう。なぜなら「変化」を選択すると、根こそぎこれまでの前提が変わってしまうという恐れがあるためです。


ただし「変化」にもいろいろあって、
大きな竜巻のようなものもあれば、小さな波のようなものもあります。
重要なことは以下の2点と思われます。

1.変化そのものに「好奇心」を持つ。
2.変化をまずは「小さなもの」に保つ。

仮に、変化(投資)に対して好奇心が湧かなければ、やはり投資はしないほうがよいと思います。「新しい道」に踏み出すには、知的好奇心というエナジーが必要ですから。

もしも「好奇心アリ」なら、
まずは変化を小さなものに保ちましょう。
幸い「投資」に関しては、変化の大きさをある程度自分でコントロールすることが出来ます。

―投資を始める際、小さな変化に拘ることがポイント。―


以下、具体的にアドバイスしていきます。
小さな変化に保つカギは「投資する金額」「投資対象」にあります。

まずは、投資する金額です。
最初から大きな金額で投資しようと思わないでください(そんなに頑張る必要はありません)。
「積立投資」という、毎月決まった金額で金融商品を定期的に買っていく手法があります。最初は月5千円位の掛金で十分です。

そして、最初から長く続けようと頑張らないでください。
まずは10ヵ月限定の「トライアル」をお試しください(10ヶ月経ってイヤになったら、積立の設定を解除すればいつでも投資は止められます)。

積立投資の窓口には、SBI証券か楽天証券(ネット証券)を選びましょう。
いわゆる「口座開設」をするわけですが、その際「NISA口座も開設しますか?」と訊かれるのでYESと答えましょう。

・ネット証券(SBI証券 or 楽天証券)
・NISA口座で
・積立投資(月5千円)


ここから先に進む前に、大事なことを述べないといけません。
投資をすれば、あなたのお金は一時的に「減ることがあります」。


生鮮食料品と同じように、投資商品の「時価」は変動するためです。
もちろんあなたのお金が「増えることもあります」。
価格が上下するので、収益が生まれたり、損失が生じたりするわけです。

妙な言い方かもしれませんが、
「損の目」が出ないと、「得の目」(=お金が増える)も生まれません。
実際、「損の目」を経験していない投資家なんていないと思います。
ここが預金とは根本的に異なる点でしょう。
いわば、上下動付きの「乗り物」に乗り込むわけです。

「そんなの生理的に耐えられない」という人は、無理して投資をすることはありません。でも、他の大勢の人たちも最初は恐る恐る、上下動付きの「乗り物」に乗り込んだわけです。

小さな変化に保つカギの二つ目、投資対象です。
投資対象としては、1個の株式とか1個の債券を選ぶやり方は外してよいかもしれません(上下動の「幅」が読み切れないためです)。


小さな変化に留めるためには?
なるだけたくさんの銘柄を持つ=分散投資をする必要があります。

また、価格変動が激しい「株式」よりも、価格の変動が緩やかな「債券」をメインに持つことです。話を具体的にしますと、

〇世界中の株式を網羅的にパッケージ化したもの
〇世界中の債券を網羅的にパッケージ化したもの

上記をそれぞれ一定比率(固定)で組み合わせて、
ひとつの「投資商品」として保有することが出来ます。

一例を挙げれば「全世界債券」を7割、「全世界株式」を3割組入れた「バランスファンド」と呼ばれる投資信託が選択可能です。
俗な言い方ですが、小さな変化に保つために、極力つまらない投資対象を選ぶべし。ということなのかもしれません。


整理してみましょう。

・ネット証券
・NISA口座で
・積立投資(月5千円)
・10ヶ月のトライアル
・世界債券7割、世界株式3割を組入れたバランスファンド

いかがでしょうか?

あなたのやる気さえ起これば、投資はすぐに始められます。
それを「やってみる前から」あまり考え過ぎるのはよくないでしょう。
実際、着手してそれを続けてみないと(自分がどう感じるかは)所詮分からないですから。


月5千円の掛金で10ヶ月ですから、計5万円です。上記のバランスファンドは、もっとも悪い予想で(一時的に)13%~15%程度マイナスになる可能性があります。
※これは標準偏差と呼ばれる、金融商品のリスクの大きさを測る指標から導いたものです。

株式と債券合わせて約24,000銘柄に隈なく分散投資を行うことで、もっとも悪い予想でも13%~15%程度のマイナスに抑えられるという点が、重要です。

たとえ、計5万円のお金が一時的に減ったとしても(仮に15%のマイナスになったとしても)、それは7500円の「損失」です。

この7500円を「損」ではなく、投資という経験を買うために支払う「レッスン料」と捉えてみるのはいかがでしょうか。

最後に、興味深いことを付記しておきましょう。
上下動付きの「乗り物」に乗って、最初はびくびくしていたのに(気付けば)知らぬ間に長く乗っていたよ。という人は(実は)大勢います。



投資のスタートって、始めるまでがとてつもなく長いのです。

本日想定した「債券」7割「株式」3割のバランスファンドは、「楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)」という投資信託です。※商品の名称に「楽天」とありますが、当ファンドはSBI証券でも購入可能です。

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カン・チュンド
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