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投資は勉強ではなくスポーツに近いです

人生の階段は最終、
「死」という地点につながっています。
限りある「生」の時間の中で、
投資を暮らしの一部に取り入れるか否かは(ほんらい)些末なことです。

ところが、人は社会的な生き物なので、
世間で「投資」が注目を集めると、
「自分も投資に取り組んだほうがよいのでは?」と思い始めてしまうわけです。

新たなことに興味を持つのは、
暮らしの退屈さを避ける妙薬のひとつですから、
「投資をやってみる」。
これは決して悪いことではありません。

ただし、ひとつ注意点があります。

それは、
仕事に取り組むイメージで、投資に取り組まないこと。
投資の実践は、仕事の実行とは異なるのです。


お仕事でプロジェクトを立ち上げる際、情報収集、類似サービスの研究、またライバル会社のリサーチは欠かせません。

そのプロジェクトに付随する様々なリスクを隈なくピックアップし、それらリスクへの対応策を練っておくことが望まれます。要は仕事ですから、周到に準備しないといけないわけです。

しかし投資では、
「周到に準備!」と思い過ぎないほうが無難でしょう。
なぜなら周到に準備し切れるものではないためです。

投資の場合、
相手は巨大な資産市場(マーケット)であるため、
大小の不確定事項が多すぎるのです。

偉そうに述べているわたしですが、
実は内気で心配性なA型です。
何をするにもしっかり情報を仕入れ、
きちんとこなしたいと願うタイプです。

・中途半端に始めてミスをしたら・・
・思わぬ失敗をしてしまったら・・

と事前に考えてしまいます。

ですので「きちんと準備しないと!」と思う気持ちはよく分かります。


投資に関することでいえば、
検討すべき「項目」は山のようにあります。

・月々の貯蓄からいくら位投資に回せばよいか
・どんな資産配分にするのがベストなのか
・投資の窓口(金融機関)はどこにするか
・NISAやiDeCoや企業型DC、どの窓口から優先的に活用すべきか

・株にも投資すべきか(投資信託のみでよいのか)
・具体的にどの投資商品を選ぶべきか
・まとまった預金からも投資に回すのか
・積立と一括投資はどちらがベターなのか・・

考えれば考えるほど、検討項目は増えていきます。

細部までしっかり勉強し、
各項目について完璧に「答え」を出そうとすると、
―つまりは勉強を重ねてしまうと―、
知るべき事柄はどんどん増えていきます。

学べば学ぶほど、学び足りないと感じるわけです。

「カンさん。まだまだ勉強が足りないので、まだ投資は始めません」。

このことばを何度聞いたことでしょう。

仕事においては上記のような準備作業が、他者より抜きんでる秘訣だと思います。しかし、投資という行為は勉強ではありません。どちらかというとスポーツに近いものです。


この冬、初めてスキーをすることになったとしましょう。

スキー道具について、また滑り方の基礎、
あるいは「絶対やってはいけないこと」は、
事前に勉強して頭に入れておいたほうがよいと思います。

でも、スキーのYouTube動画を観ても、スキーが上手くなるわけではありません。

基本知識さえ吸収すれば、あとは「実践」していくのみです。
これは投資も同じです。
六分くらい準備が整ったらさっさとスタートする。
そして、走りながら適宜調整し、修正していくわけです。


例えば、資産の配分をどうするかは、
最初から「これ!」という正解があるわけではありません。
あなたにとっての正解は(実践を重ねる中で)何年も経ってから見つかるのかもしれません。

そもそも、投資商品(価格)がどのように動き、どれくらいの振れ幅で価格変動が起きるのかも、実践してみないと「感覚」が掴めません。

巷では「オルカン」とか「S&P500のインデックスファンド」が良いと言われたりします。
しかしこれらは、株式100%の投資信託(投資商品の一種)です。

価格変動の振れ幅は、あなたの想像よりドラスティックになり得ます。

小さく始めて、長く続けることを重視するなら、無難な選択肢は株式と債券を併せ持った「バランスファンド」でしょう(投資信託の一種です)。
株式と債券の組み入れ比率を「固定」するタイプのものであれば、それだけで資産配分は完成します。

また、月々の貯蓄からいくら位投資に回せばよいのか。
こちらも最初から正解があるわけではありません。

「少額から始める」ことを鉄則とすれば、
NISAという優遇口座がありますので、
そこで月5000円とか月1万円の掛金で、
毎月同じファンドを積立投資していきましょう。


自分のお金がかかっていますから、「失敗したらどうしよう?」と思う気持ちは分かります。

でも、はじめてスキーをする人は、
いったい何回くらい転ぶのでしょうか。
(もう、数えきれないくらいです)。
スキーに関しては、正しい転び方という項目があるくらいなのです。

そもそも、投資初心者にとって
「うまく行かないこと」の発生は、織り込み済みです。

投資において正しく転ぶためには、

1.小さな投資額で始める
2.価格変動の振れ幅(リスクの大きさ)を抑えるバランスファンドで始める

といった工夫が必要でしょう。

実際、転んでしまっても、
―つまり、あなたのお金が一時的にマイナスになっても―、別にそれで投資が失敗になるわけではありません。

うまく行かなかったという瞬間は、うまく行くようになるためのプロセスの一部なのです(スポーツを経験したことがある人なら、うんうんと頷けるはず)。

最後に、スキー場に通って、滑り方のコツを会得したあと、上級者のゲレンデに移る人もいれば、そのまま初心者用のゲレンデで滑り続ける人もいます。そこに優劣はありません(投資も同じです)。

あなたにとっての「正解」を見つけ、それを長く続けることが大切なのです。

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カン・チュンド
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