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あなたは両親よりもお金持ちになれると思いますか?

私の職業はファイナンシャルプランナーです。
資産運用の相談を受ける際に、ご収支、ご資産の情報だけでなく「55の質問」にもお答えいただきます。正式には、「マネー問診票・あなたとお金の親密度を測るための55の質問」と云います。

その質問の32番目が、
「あなたは両親よりもお金持ちになれると思いますか?」なのです。

いかがでしょう、あなたは「ご両親よりお金持ちになれると思いますか?」


上記問いに対する答えは、世代によって異なります。より正確に記すと、私の仕事上では、20数年の月日の中で回答の中身が変わってきたと実感します。

私がまだこの仕事を始めて間もない頃です。2003年、2004年当時は、「あなたは両親よりもお金持ちになれると思いますか?」と伺うと、「はい」と答える人が9割位を占めました。

弊所のお客様の平均年齢が2004年当時、50代でしたから、お客様のご両親は「戦前」に生まれ、経済的な苦労を重ねて、なんとか人生を積み上げてこられた方が多かったのです。


こんな具体例を挙げてみましょう。
2004年時点で52歳のお客様(1952年生)。ご両親が30歳の時のお子さんだとすると、親御さんは1922年、大正11年生まれとなります。

ご両親・・1922年生まれ
ご本人・・1952年生まれ

たった30年ですが、時代背景はまるで違います。

「ご両親」が多感だった頃、日本はまだ貧しく、若さも漲るエネルギーも、戦争によって吸い取られてしまった世代でした。

いっぽう「ご本人」が成長してきた年月は、日本の高度経済成長とシンクロし、日本が先進国の仲間入りを果たす飛躍の時期とちょうど重なるわけです。

「あなたは両親よりもお金持ちになれると思いますか?」という問いに、「はい」と答えるのも、ある意味当然でしょう。


では、今(2024年)はどうでしょうか。弊所のお客様は40代がメインになっています。ご両親が生まれたのも「戦後」です。どちらかというと、親御さんのほうが高度経済成長と共に人生を歩んできた方が多いのです。

以下、別の具体例です。
2024年で42歳のお客様(1982年生)。ご両親が30歳の時のお子さんとすると、親御さんは1952年生まれになります。

ご両親・・1952年生まれ
ご本人・・1982年生まれ


この場合、「あなたは両親よりお金持ちになれると思いますか?」という問いに、「いいえ」と答える人の割合が増えます。私の肌感覚で言えば、4割を超える人が「いいえ」と答えられています。

日本の成長はすでにピークを過ぎ、「ご本人」が生きるこれからの時代は(親世代と違って)、経済的には厳しくなることを予期されているわけです。


一般に「今日より明日がよくなる」と楽観できるような経済成長は、人口ボーナス期とともに発生します。総人口が増え、かつ生産年齢人口(15~64歳)の比率が高まっていく時期です。これは通常、ひとつの国で「一度」しか現れない現象とされます。

現在のインドやベトナムやインドネシアで、「あなたは両親よりもお金持ちになれると思いますか?」と問えば、おそらく過半の人が「YES」と答えるでしょう。今まさに人口ボーナス期を迎えているためです。

逆に、総人口が減って、かつ生産年齢人口の比率が減じていくのが人口オーナス期です。社会を支える人が減って、支えられる人の比率が上昇するわけです。

重要なポイントは「人口オーナス期を迎えた国も、かつて人口ボーナス期を経験した」という事実です。そして人口オーナス期にある国は、再び人口ボーナス期を迎えることはありません。ここに、日本人が世界に投資を行う理由があります。


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カン・チュンド
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