読書要約

【ふつうのエンジニアは営業でこそ活躍する セールスエンジニアとして最短で評価される方法】

著者:時光 さや香
   2002年に日本IBMにSEとして入社→2018年に株式会社セールスフォース・ドットコムに転職→2021年からセールスエンジニアのオンボーディング教育担当

【要約】
現在エンジニアとして働いている人、もしくはセールスエンジニアとして働き始めたから向けの本になっています。
自分の将来について考えたときの一つの選択肢としてのセールスエンジニアという道を示してくれて
そのための技術・現実・必要事項をまとめてくれています。
今すぐ実践できることから今後のキャリアのことまで網羅されているので、何かしらの解決策が見つけ出してくれます。

第0章【働く前に知っておきたいセールスエンジニアの原則】
いろんな仕事を担当することになる
商談対応・プロジェクト対応・マーケティング・教育を行うことになる。
つまり自分が評価される頻度が高まるとともに経済的リターンが増え、時間の自由度が高くなる。

評価対象は4つに増える
売上:個人的な売りア上げではなくチームベースの売上が多い
顧客満足:顧客の満足度をアップして長く継続してもらうこと
マーケティング活動:担当製品を宣伝して連絡が来るようにする(講演、Webコンテンツ、SNS発信)
教育活動:担当製品の学習コンテンツや研修・セミナーを開催して支援する

働き方
新製品:商談よりもマーケティングや教育に時間を割くことが多い
既製品:ノウハウが蓄積されているので商談対応をすることが多い、その他に受注ルートを増やすためにマーケティング活動をしたり、トラブル防止の教育活動をすることもある。
いろんな仕事を担当することは多種な人とかかわることになる
(営業、ソリューションアーキテクト、サービスを提供するパートナー会社、社外向け研修チーム、サポート・製品開発チーム、マーケティングチーム)

第1章【必須知識を効率よく身に付ける「学習」の技術】
営業や他のセールスエンジニアと差別化するためにSME(Subject Matter Expert)になることを目指す。
①製品の概要と通読みを学び30秒以内で説明する
②製品研修を受けて専門知識を得る
③製品・技術を触って利用のイメージを持つ
④勉強会・セミナーで教えてユーザーの疑問点をつかむ
⑤制限事項・注意事項を知って提案後のトラブルを防ぐ

①担当製品が「誰のために何ができて、競合とは違ってどう良くなるのか(=ポジションステートメント)
 差別化要素を入れたエレベーターピッチ(エレベーターに乗る短い時間で自分の製品を紹介するプレゼン)を作成するのに効果的。
 30秒以内にあまり詳しくない人にどんな製品なのか理解してもらえれば製品概要を理解できたと言える
 
②以下の二点を理解する
 ・製品にはどんな機能があるのか
 ・実際はどんな風に使われているのか(顧客事例など)

③ハンズオン研修課実際に自分で環境を作ってみる
 →ユーザーが使い始めるまでに必要なこと、利用までの時間、利用して困ったときの問い合わせ窓口の状況が分かるようになる

④社内勉強会やセミナー、カンファレンス、壁打ちなどなんでもよい
 その際に担当製品のメリットが響く話し方、製品や機能の利用イメージをしながら話すといい

⑤確認しておくこと
 サービスメンバーに向けて:担当製品の実装する際の注意事項、提案フェーズで気を付けること
 連携製品のセールスエンジニアに向けて:連携するときのアーキテクチャ上の考慮、制限、注意事項
 同じ製品を販売しているセールスエンジニアに向けて:販売所外リストの製品、機能、パフォーマンスに関する制限
 プロダクトマネージャーに向けて:サポートされている製品の機能、パフォーマンスに関する制限

優先的に学ぶのは「担当製品・サービス」、「バリューチェーン」、「自社の思惑」の三つ
この三つの学び方に関しては以下を注意して学ぶといい
・When :勉強に集中できる「学びの期間」の設定(担当製品が決まってから・商談対応し始めてから・商談をいくつか経験してから)
・Who :深い知識を得るには「一緒に勉強する」と効率がいい(同僚のセールスエンジニア・直販営業・パートナー企業のセールスエンジニア・開発元・コンサルティングセールス・サービスチームのメンバー)
・Where:自分に最適な「学習場所」を選択する(一匹狼タイプ・短期集中タイプ・コツコツタイプ・コミュニティタイプ・好奇心旺盛タイプ)

第2章【高確率でクローズまで導く「商談対応」の技術】
商談受注までのマイルストーン
担当する商談を見極める→商談にかかわる情報を集めて整理する→提案書を作成する→プレゼンテーションをする→デモンストレーションをする→購入前の不安を取り除く

商談の角度
・顧客の拡張・追加商談はおいしい商談:自社に対する信頼や購入の検討が見込まれるため
既存客:お客さんの意欲を見極めて商談の対応時間や協力メンバーを変えていく
新規客:クローズまでの時間がかかるものの、信頼感を生みやすい・長期的な提案をしやすい等のメリットがある

事前に確認・準備しておくこと
①商談の金額:どの変数が変わればどれくらい価格に変動があるのか理解すれば、商談金額の見積もりがやりやすい
②受注までの期間:設定された目標に対して、どの商談にどのくらい時間をかけるのか決める目安になる
③お客様情報:過去案件、商談化した理由、業界課題、先方の技術知識レベル(誰でどこに興味を持ち、技術理解の度合い・バックグラウンドを確認する)
④想定質問の解答
⑤圧倒的な練習

困りごとを聞き出すヒヤリング
◎どのように業務しているかヒヤリングして、その場で業務フローを書き出してみる。完成したフロー図を見ながらヒヤリングすると課題が出やすい
 システム間の連携図、アーキテクチャ図を描いたりしてデータの流れを確認しながら、原稿の課題がビジネスにどんな影響を与えているのか確認する
×「何に困ってるか」
○「なぜそれが欲しいのか」「何をしたいのか」
確認すること:「商談に関係する人・先方の予算・提案製品・スケジュール」

提案・プレゼンで意識すること
・事例紹介を織り交ぜる(イメージ◎)
・メリデメを正直に話す(信頼◎)
・ポジティブな話し方・言葉(印象◎)
・準備する時間があればデモンストレーションを行う

PoCは避ける
PoC(Proof of Consept):実際のデータや環境を使い、インストール・稼働・接続などの検証確認を行うこと
→先方と対等な立場が保てない、セールスエンジニアの負担が増える
 →もしやるなら購入条件(〇〇できたら確実に購入するなど)を約束させる
代替案:研修を受けてもらう、カスタマイズデモ

第3章【商談の角度をグンと高める「コミュニケーション」の技術】
営業とのコミュニケーション
積極的にかかわれる姿勢を持ち、難しいケースはその旨をはっきり伝える
営業の仕事:購入権限のある人とのセッティング、困りごとのヒヤリング、予算とスケジュールの確認、良好な関係の構築、課題の解決策の作成、提案書提出

営業とのかかわり方
商談前に確認すること
①営業の強み・弱み、経歴
②自社製品のカバー範囲のすり合わせ(提案できるもの・できないもの、提案しやすいユースケース、購入しやすいお客様の特徴)
③自分の強み・弱み、得意・不得意

お客様とのコミュニケーション
◎自分の転職先だと思い、ヒヤリングに時間を割くこと
 熱意を伝えても子乳に至らないケースもあるが、次回に向けて好印象を残す
・課題を意識してもらうためにお客様の口から課題を引き出す
・自社製品のできる範囲を伝える(対応範囲、他社に頼らなきゃいけないポイント、どの部分の使用するのか等)
・将来的なメリットを数値で語る
・将来のアーキテクチャ図を見せてあげる
◎ポジティブな言い回し、解答前に深呼吸して一泊置く
・無理難題は柔らかく断る「難しいと思いますが、社に戻って確認してみます」

第4章【限られた時間の中で結果を出す「時間短縮」の技術】
・クローズできない商談に時間を割かない
 優先商談:顧客の拡張・追加商談、契約のほぼ確定している見込み顧客の商談、見込み顧客に常駐メンバーが声をかけた商談
・苦手な仕事に時間をかけない
 自分の弱みを分析する「クリフトンストレングステスト」
 同僚とサポート試合、すぐにできることは真っ先に行う
・質問は持ち帰らずにメールの時間をカットする
 丁寧な回答が必要な場合がある、追加質問が来る可能性がある
・不要なものは削除する
 紙・デジタルデータ・メール
 どれも増えすぎると探すときに手間になりますし、不要なものは見返すこともないのでどんどん削除して効率をあげましょう

第5章【外資系企業で自信を持って働く英語の技術】
・中学レベルの読み書きができていれば問題なし
 使用場面:英語のドキュメントを読む、メールやコミュニティで文章を書いたり、確認したりする
 翻訳アプリがあるし、正確性の確認は中学レベルで問題なし
・文化の違いがある
 ①職務範囲以外のことを聞くと二度手間になる(担当範囲がきちんとしていて別担当者に回される)
 ②物事はダイレクトに聞く
 ③差別につながりそうな個人情報の共有やグレーゾーンは避ける
・聞き取るときの注意点
 聞き取るにしてもすべてを理解するのは難しいので以下の点を注意して聞き取りを行う
 新機能、リリース時期、制限事項、金額情報
◎会話で使うフレーズは決まっているので覚えていれば大丈夫
・TOEICの点数に応じて仕事の幅が広がる

第6章【勝率の高い商談を引き寄せるセルフブランディングの技術】
・自分の得意な商談だけ担当する仕組みを作る
①自分の強みと勝ちパターンを理解する
 セールスエンジニアとして強み=得意なもの(技術分野、製品、業務分野、スキル)+得意な人(営業、お客様、業界)
  業務分野:データガバナンス、デジタルマーケティング、人事、経営戦略、グローバル展開やインバウンド
  スキル :情報収集や資料作成、開発スキル、デモ、プレゼン、商談の効率的な捌き方、語学などのコミュニケーション
  営業  :商談の終わるたびに振り返り、相性確認をする
  お客様 :企業サイズの把握(性格によって力の発揮がができる場合もある)
  業界  :金融、公共、流通、製造、ITなど
②声をかけやすいキャラクターを設定する
 営業の気持ちがや立場が理解できる人、製品購入につながる対応ができる人
 コミュニケーションがとりやすい人:日頃の挨拶、井戸端会議、商談をうまく回す方法を聞く、困りごとを聞いてみる
                  小物や外見を特徴的にする、声のかけやすい場所にいる
③上記の強みやキャラクターを発信する
 SNS発信:一貫性のあるプロフィールを作成する
 同業者に専門家の推薦をもらう:担当製品のコミュニティに参加することがいい
 社内勉強会の参加
 イベントでデモに参加

第七章【セールスエンジニアの先を見据える「キャリアデザイン」の技術】
・セールスエンジニアの次の7つの道
①マーケティング
 セールスエンジニアチームに所属したままエバンジェリスト職になれることも。
 マーケティングの知識は必須代表的なフレームワークを知り、実際に使えることが望ましい。「MBA」の資格もよい。
②教育担当
 自社やパートナー企業に教育することもある
③マネージャー
 10人に1人くらいの狭き門で、製品の立ち上げ時期から参画している必要がある
 今のスキル+マネジメントスキルが必要。練習として後輩のメンタリングをしてみるのもよい。
④営業
 特化できる得意分野があれば、売り上げが少なくても重宝され、長く活躍しやすい傾向にある。
 ヒヤリングから提案内容を作り上げる能力や、説得のための高度なコミュニケーション能力が必要。
⑤コンサルタント
 「製品販売事業内でのコンサルタント」と「事業コンサルタント」の二通りに分かれる。
 前者は今までの経験や知識を生かしたコンサルティングになる。
 後者は今までのスキル以上に必要なものがあり、コンサルティングの会社に転職するといい。
⑥プロダクトマネージャー
 担当製品について企画や開発、営業マーケティングなど企画立案管理する人のこと。
 開発に終わりはなくずっと開発し続け、品質改善、機能拡張が主な仕事内容になる。
⑦サポートエンジニア
 担当製品の導入後に起きた問題の対処をする人のこと。

・キャリアを検証する方法
①一週間で強みを発揮できる仕事があるかどうか
②次のキャリアに進んでいる人のSNSを見てみる
③副業やボランティアをしてみる
 例)海外製品知識を日本市場に紹介する、記事を書いてみる、書籍執筆、講演活動、プログラミング教室

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