【PTQ2020#2】Deck Tech:長谷川圭の『シミックフラッシュ』
【注意】この記事はDeck Techの真似事をした身内ネタです。
1.茶番
最近はカネタク牧場に全く顔を出さない。
ほとんどツイートもしない。
そんな長谷川が、突然MtGについて感謝を表明した。
その理由とは…?
『引退』
その二文字が私の頭をよぎった。
本質的に、MtGは極めて理不尽なゲームだ。不運な敗北、不条理な裁定、そういった諸々に打ちのめされた経験が一度もない、というプレイヤーはただの一人も居ないだろう。そこにはトッププロと初心者の差はない。それはMtGという名の太陽に近づいた者すべての宿命。
プロまであと一歩という所まで迫った強豪プレイヤーたちが、既にショップから公式スポンサードを受けているセミプロたちが、惜しまれつつも競技MtGを引退する姿を何度も見てきた。
「ファンに対して感謝しかない」。そう言い残して引退していったアスリート達の姿が、最後に見た長谷川の姿と重なった。第一線を退くことを決意するまで悩みぬいた彼に対し、私にできたことは本当に何もなかったのだろうか。そう自問自答しつつ、
「引退するつもりなのか?」
私は恐る恐る、長谷川にメッセージを送った。長谷川は熱心な競技プレイヤーだ。かつての私がそうだったように。長谷川の気持ちは痛いほど分かるつもりだった。
「僕たちは待っている。傷が癒えたら、また一緒に遊ぼう。」
そんなメッセージを書いては消しを繰り返している最中。なぜか長谷川のツイートに「おめでとう」というリプライが付き始める。しかも複数だ。
何かが、おかしい。
もしやと思い、[ PTQ 2020年 2月8日 ]で検索をかけてみると…
何とこの男、PTQを抜けているではないか!!!
その後、PTQ行脚をせずに済むようになった長谷川は急遽2月9日のカネタク牧場に参戦。そんな花マル急上昇中の長谷川に対して、ドラフトの対戦が早く終わって暇だったのでインタビューを実施してみた。
2.インタビュー
今回のPTQで長谷川が使用したシミックフラッシュ。エルドレインまでの環境を席巻していたが、テーロス追加後の環境では鳴りを潜めていた。
――PTQ参加者は何人居たんですか?
長谷川「96人で、市川プロと瀧村プロが居ました。」
――有名プレイヤーを倒したりしましたか?
長谷川「いえ、当たらなかったです。」
――シミックフラッシュはテーロス以前からあったデッキですね。
長谷川「このデッキは松本ユウキさんがThe Last Sunで優勝されたリストが元になっていて、そこからの主な変更点としては《タッサの介入》《急嵐のトリクス》です。」
オリジナルの松本ユウキ氏のリスト。マナ加速が4枚に抑えられており、《成長のらせん》0枚であることが特徴。松本氏曰く「初心者用にチューニングした」とのこと。
長谷川「ここから現環境を踏まえて僕がチューニングしました。もともと《悪意ある妨害》が3枚だった枠に、カウンターとしてもドローとしても強く柔軟性のある《タッサの介入》を2枚採用しました。重ね引いたときマナ効率が悪いことが分かったので、枚数は2枚に抑えています。」
――マナ加速として《成長のらせん》《楽園のドルイド》それぞれ2枚ずつ採用している理由は?
長谷川「《成長のらせん》は重ね引いて手札に土地がない時にただのキャントリップになるリスクを嫌って2枚です。《楽園のドルイド》4枚にしたかったのですが、環境に《時を解す者、テフェリー》がそれなりに居るため断念しました。後手2ターン目に《楽園のドルイド》を出すと、返しのターンに《時を解す者、テフェリー》を通されてしまいゲームが終わります。」
――メタ予測はどのようにしていましたか?
長谷川「メタの読みはcrokeyzさんのツイートを参考にしました。」
長谷川が参考にしたと語る、crokeyz氏のツイート。ちなみにRDWは赤単を指す。環境最強の一角である青白コントロールを「過大評価されている」と評している点が興味深い。
長谷川「このメタ読みが正しければ、シミックフラッシュは非常に立ち位置が良いと考えました。シミックフラッシュはジャンドサクリファイスに不利が付くのですが、最多勢力になるであろうティムール再生とシミックランプにより駆逐されるだろうと期待していました。」
――当日の対戦デッキの内訳は?
長谷川「スイスラウンドで対戦したデッキは赤単1回、シミックランプ1回、ティムール再生2回、ジェスカイファイアーズ1回、バントフラッシュが1回だったので、メタゲームの読みはほぼほぼ当たっていたと思います。」
――しかし、決勝にはジャンドサクリファイスが3つ残っていたと。
長谷川「そうですね。ジャンドサクリファイスが決勝シングルエリミネーションにあれだけ残るというのは予想外で、苦戦を強いられて2マッチで2時間近くかかりました。特に決勝は、相手のマナスクリュー解消があと1ターン早ければ負けていました。ティムール再生ちゃんと仕事しろよ、と思いました。」
――サイドボードについては、標準装備《恋煩いの野獣》が4枚など割とオーソドックスな感じですね。
長谷川「《終局の始まり》は青白コントロールが一定数居ることを見越してサイドに1枚だけ採用しました。勝ち急いで《世界を揺るがす者、ニッサ》や《ハイドロイド混成体》を出して、相手のマストカウンターが通って負ける、という初心者的な負け方を僕は何回も経験したので、徹底的にインスタントで動けるよう《急嵐のトリクス》と《終局の始まり》でプレッシャーをかけるプランです。《終局の始まり》でアドは補填できるので、その場合は《ハイドロイド混成体》を抜きます。」
――《ケンリスの変身》の用途を教えてください。
長谷川「ジャンドサクリファイス相手で《波乱の悪魔》や《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を鹿にします。また、《変容するケラトプス》《パルン、ニヴ=ミゼット》などカウンターされない生物を処理したりもします。
特に《パルン、ニヴ=ミゼット》はドローを許さず無力化できるのがいいですね。3/3が残るのもこのデッキであればそこまで苦ではありません。」
――――《ハイドロイド混成体》を増やすパターンは?
長谷川「アグロデッキ相手にライフゲインしたいときですね。実は《急嵐のトリクス》も入ります。《世界を揺るがす者、ニッサ》が生成するのは所詮3/3なので、4/5飛行の《急嵐のトリクス》の方が優れています。また現環境の赤単は《灰のフェニックス》を採用しているので、それが《急嵐のトリクス》で止まるのもポイントです。」
さらに長谷川は、コントロール相手でも《急嵐のトリクス》は有用だと語った。
長谷川「《急嵐のトリクス》はコントロール相手でも《世界を揺るがす者、ニッサ》が打ち消されなくなるのでマストカウンターになります。トリクスは誰も予想していなかったようで、《大天使アヴァシン》のようにコンバットでシャクりこそはしなかったものの、ダメージレースをずらして勝った試合が2回ありました。」
長谷川は新カードの使用感に確かな手ごたえを感じたようだ。
金田「しかし、コントロールとの対決を考えると、4マナ以上が多い重めの構成なのでもっとマナ加速が欲しい気がしますね。」
長谷川「コントロール戦はどうせロングゲームになるので、土地が止まることさえなければ大丈夫です。それとマナ加速がなぜ4枚なのかは松本さんに聞いてください。」
――ありがとうございました。
3.終わりに
注:この画像はコラではありません
気持ちよくPTQ優勝した翌日の牧場ドラフトで1-5、さらに2月11日の牧場ドラフトでも1-5した長谷川は、この厳しい結果を受けてドラフト技術向上への決意を新たにしたようだ。PT北九州での彼の活躍に期待したい。
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最後になりますが、我々カネタク牧場ではドラフトメンツを常に募集しています。PTQ抜けるプレイヤーが負け越す程度にはコミュニティのレベルも高いので、「5月のPT北九州の権利取ったけどドラフト自信無いから強くなりたい!」という人にオススメです。
参加費はパックのみ、パック持ち込み可能、レア順位取りです。もし興味があるという奇特な方がいらっしゃいましたらカネタク牧場広報担当アベの公式アカウント(@kanetakufarm)までご連絡下さい。
それと拙著『カネタク牧場式テーロス還魂記ドラフト攻略』もよろしくお願いします。
おまけ:前回の長谷川のDeck Tech
おわり
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