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【終わったわけではないけれど、今日書いておきたいこと】オウム事件考察

ニュース速報が流れる。

「麻原ら、オウム死刑囚7人、死刑執行」

途端、忌々しい記憶が甦る。

あれほど狂気に満ちた事件は、

未来永劫起こらないことを信じたい。

事件当時は、あまりに目まぐるしく事が展開していくので、

考察するヒマもなかった。

というより、あの禍々しく後味の悪い一連の出来事を

一日も早く記憶から消し去りたかった。

あれから、23年。

今日、一つの区切りがついた。

終わったわけではない、でも、区切りがついた、

から、今日記しておこう。

書いたら、消してしまうかもしれないけど、

でも、書いておきたいと思う。
 

地下鉄サリン事件が起こる数か月前、

当時、「被害者の会」の会長であった、

永岡氏がVXガスで襲撃される事件が起こる。

その永岡氏が、今日の報道を受け、テレビでこんなことを語っていた。


「つい先月も中川死刑囚のところに、面会に行ってきました。

彼は、心から悔いていて、

事件の全容解明のために、協力を惜しみませんでした」

そして、こう続けた。

「何を言われてもいいです、

中川という人間は、オウムに入る前は、

本当に心の優しい医師だったんです、

おばあちゃんの車いすをいつも押してあげるような、
真面目な医者だったんです。

そんな人間を、あんな凶行に走らせた教祖が、

悪魔のような存在だっただけなんです。

被害者の方のお気持ちを考えたら

こんなことを言うべきではないかもしれませんが、

彼は、ああするしか道がなかったのです」

永岡氏は、ご子息がオウムに入信し、

そこから奪還することに成功し、

結果、自らも命の危険に晒された被害者のお一人。

それでも、勇気を持ってこう発言されていた。

「私の息子だって、ああなっていたかもしれないんです、

今日、死刑になった一人だった可能性も、ゼロじゃない。

そう思うと、とても、彼らを責める気にはなれないのです」

何を言われてもいい、

死刑囚を擁護するな、と批判されるでしょう、

でも、私はそう思うんです、と。

生まれつき、「悪人」はいない、

と信じたい。

「悪人」になるしかなかった、、、のだと。

これは、カルトに限らず、

閉鎖的で

外界との接触が極端に少ない環境下では、

どこにでも起こる可能性がある、ということを

忘れてはいけない、決して。

あの、日大アメフト部も、

国を司る、国会も、

ひょっとしたら、

私たちの身近なところにも、

そうした「NO」を言わせない世界が広がっているかもしれない。

――あなたには、その方法しかなかったのですね――

永岡氏の言葉は、

優しく、弱く、
そして、罪深い命に向けた、ねぎらい。

もし、自分の家族が、同じ被害に遭ったとしたら、

とてもこんな投稿はできないと思う、が

それでも、敢えて、今日、記しておく。

被害に遭われた方に心からのお悔やみを申し上げるとともに、

死刑囚という名の、

かつては、希望に満ち正義感に溢れた

被害者がいたことを、記憶に留めておきたい。

少しだけ、頑張るのが疲れたあなたに。 「ねぎらいの物語」を贈ります。