少年と耳鳴りと狐耳 1
「んん…な、なんだ…?」
12月の真夜中。いや、はっきり言って真夜中か朝方なのか、それともまだ夜に入ってまもない時間帯なのかはよくわからない。そんな中、まだ中学生ほどの少年は布団の外から聞こえる耳鳴りのようなおとで目覚めた。
少年は少しの間、その布団の中に潜り込みまた眠りにつこうとしたが、その音は異様に耳に響き、嫌々ながらその“耳鳴りのような音”の正体をたしかめるため、布団からむっくとその身体を起き上がらせた。
どうやら、その音は少年の家の外から聞こえてきているようだ。 まだ外は暗い。
唯一の家族の母はもう寝ているようななので何処かで見たマンガのようにそろりそろりと階段を降りていき、玄関を目指した。
キーーーーーーーン キーーーーーーーン
音は玄関に近づくにつれだんだんと大きくなってきていた。
「なんなんだよ…一体…」
少年はそう呟くと玄関をそっと開けた。玄関を開けると12月の冷たい空気がその小さなドアの隙間から我先にと入ってくる。ドアノブを持つ手もどんどん冷たくなっていった。少年は「さぶっ」と身を震わせたがドアを半分ほど開けて身体を半分ほど外に出し様子を伺った。
…!!
少年は目を疑った。それもその筈、そこにいたのは倒れ込む少女の姿だったのだから。キーーーーーーーンという音は何故だかその少女から発されているようだ。よくわからないが少年はすぐさま少女に駆け寄り
「だ、大丈夫ですか!?」
と、声をかけた。すると少女は少し目を開け、「大丈夫です…」と全く信用出来ない弱り果てた声で答えた。これはダメだと少女をおぶさり少年は自分の家へ駆け込んだ。