永遠の片想い
私と世界の境界線がまだ曖昧だったころ、わたしはあの子が好きで、あの子もわたしを好きなのだと思っていた。
おはよう、と言われて嬉しくておはようと返す。
詠子ちゃんの持ってる消しゴムかわいいね、と言われて美衣子ちゃんの鉛筆もキラキラしててかわいい!と返す。
初めて一緒に買い物に行ったのは、初めてのブラジャーで、お互いに勇気が出なかったので、一緒なら買えるかも……と行くことにしたんだった。
そのあと2人でディズニーランドも行った。
あんなにいつも一緒にいたのに。
朝学校に行くと、「あっち」のグループで喋っている美衣子。
「おはよう」と言うと「おはよう」と返してくる美衣子。
休み時間。
また「あっち」のグループで笑ってる美衣子。
楽しそうだなぁ。
って物欲しそうに見てちゃダメだ。
見ないようにする。見なければ、気にしなければ、落ち込まないから。
「詠子ちゃん、キスしたことある?」
って言われた時(もちろんないけど)、すっごいドキドキした。
「どんなかなぁって、目を閉じて指先でくちびるを触ってみるの。でもホンモノじゃないからね……」
「う……うん」
美衣子ちゃんはわたしになにをして欲しいんだろう?
結局、一度だけだけどしたんだ。キス。
試しにしてみたかっただけなんだよね。美衣子は。
大丈夫。別に。ひとりでもする事、したい事いっぱいあるから。
そういえば、みんなわたしのこと「詠太君」てあだ名で呼ぶのに、美衣子ちゃんは「詠子ちゃん」ていつも呼んでた。だから勘違いしたんだ。
「あたしは特別なトモダチなのかも」
って。
オシャレに目覚めた美衣子は、オシャレグループに行ってしまった。
13歳の秋。
了
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※ずっと下書きに入りっぱなしだったのを虫干し的に公開。漫画にしてみようかと思ったけど、無駄なような気もして、この雑文自体も消そうかどうしようか……と思って、とりあえず公開。後悔はしてないけど、あとで消すかも。
ありがとうございますサポートくださると喜んで次の作品を頑張ります!多分。