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知っておくべき共同経営の落とし穴

一人でビジネスを行うことへ不安やお金の問題などから、友人とお金を出し合って会社を作るという人もいたりします。

仕事柄こういった共同創業の例はいくつも見ていますが、成功している方が珍しいというのが現実なんですよね。

スタートする時はポジティブなことしか目に入らなかったりしますが、現実はそんなに甘いものではなく。

基本的にはビジネスやお金が関わると人間は変わりますし、少なくとも今までの人間関係が終わるリスクは頭に入れておくべきです。

今回は共同創業で知っておくべきポイントをお話ししようかと。

友達同士だから起こるトラブル

まず、友達同士での創業のデメリットは、ビジネス以外の人間関係を持っているからこそ起きる甘えや遠慮があります。

一緒に経営をするのであればビジネスとしての人間関係が土台になければいけませんが、そうなりきれないパターンですね。

例えば

自分は成果を出せていないのに相手に甘えてしまう
「これぐらい良いか」というルール違反をしてしまう
相手がルール違反をしているのに厳しく注意できない

みたいなものですね。

こういった甘えや遠慮によって少しずつ相手に不満が溜まり、最終的には共同経営を解消するという例は珍しくありません。

もちろんデメリットばかりではなく

距離の近い相手だからこそ本音を言い合える
モチベーションが高い人がいるので行動が加速する

というメリットを生かせる場合もあるので、必ずしも共同創業がダメだという訳ではありません。

ただ、こういったメリットの方が強く出ることは残念ながら珍しいと思います。

株の出資比率で知っておきたいこと

法人であれば社長が一番偉いと思っている人もいるかもしれませんが、会社で一番権力を持っているのは株主です。

私が見たことのある共同経営の株の出資状況はざっくり次の2つです。

① 50%ずつ出資する
②どちらか1人が100%出資する

それぞれのポイントについてお話ししますね。

まず、①の場合は何も物事が決まらなくなる可能性があります。

例えば、役員報酬をいくらにするかといった話も株主総会で金額を決めることになります。(正確には株主総会で総額を決めて、役員間で具体的な金額を決める場合もあります)

株主総会は多数決で動きますから、50%ずつでは意見が対立したときに何も決まらないんですよね。こういった時に最悪なのは、正式な手続きを踏まずに物事を決めてしまうということです。

株主総会で決めなければいけないプロセスをすっ飛ばして、役員が勝手に動いてしまうというものですね。

この典型的なものが利益相反行為で、具体的には次のような行為です。

社用車を個人が買い取る
役員を務める別の会社とコンサル契約を結ぶ
会社を役員個人の借金の保証人にする

これは役員(または役員の関わる別の会社)の利益を優先させて会社に損害を与えることを防ぐために株主総会(または取締役会)で決議をすることが求められています。

このような場合に、必要な手続きを無視して役員が勝手に契約してしまうトラブルが起きたりするんですよね。

そして、共同経営を解消する場合には、会社に残る創業者が相手の株式を買い取る必要があります。

こうなると結構な泥沼なんですよね。売る方は高く売りたい、買う方は安く買いたいというのが本音ですし、なかなか話がまとまらない場合も珍しくありません。

最悪なのは株を持ったまま飛び出してしまう場合で、この後始末は本当に大変です。

②については100%出資している立場かそうでないかで全く事情が変わります。

100%出資していればその会社はあなたのものです。

会社の意思決定をできることはもちろん、共同創業者のことが気に入らなければ解任することもできます。

一方で出資をしていない場合は「雇われ経営者」です。

相手の判断によってはクビを切られますし、あなたが大きな成果をあげたとしてもリターンを決めるのは相手です。

このような立場に納得できずに自分で新しい会社を設立することもできますが、今まで築いた資産は元の会社のものです。(もちろん、経験やスキルなど自分の中にあるものは次にも生かせますが)

それだったら最初から自分だけの会社で頑張れば良かった・・・って思いますよね。

まとめ

このように、個人的には友達同士の共同創業はお勧めしていません。

もちろん少なからずメリットもありますが、残念ながらトラブルが起きてしまう可能性の方が高いのが現実なんですよね。

それでも友達同士で創業するのであれば「この人とはもう友達には戻れない」というぐらいの気持ちでスタートするべきでしょう。

私なら、友達とは独立した事業主という立場で必要に応じて同じプロジェクトを回すぐらいに留めると思います。

もちろんビジネスなので相応の覚悟は必要ですが、共同創業に比べればリスクは少ないですしメリットを享受しやすいのかな、と。

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