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10年10万kmストーリー 第12回 シトロエンBX GTi 16Valve(1992年型)23年8万1000km強烈な造形が空間を切り裂いている



 昔の東京の面影が色濃く残る住宅街の路地を歩いていたら、交差する路地の奥から、何かの磁力が発せられていた。
 眼を向けると、シトロエンBXだった。BXは最近ほとんど見なくなった。それはヨーロッパでも変わらない。
 家の一階に停められたBXの鼻先だけが、こちらからは見えた。特徴のあるヘッドライトやバンパーなどノーズ部分の形は間違いないくBXだ。
 おまけに、そのBXはバンパーに赤いストライプが入っていて、その下にはエアスポイラーまで付いているように見えるではないか。
 最近見掛けなくなったBX、それもスポーツモデルらしきものを乗り続けているからには、相当な好き者に違いない。
 BXの磁力に吸い寄せられそうになってしまったが、同行者との次の予定が迫っていたために、泣く泣く振り切った。
 後日、改めて再訪してみると、BXは同じところに停まっていた。敷地の中に停められているので、入り込んで見るわけにはいかない。壁には自転車がたくさん吊り下げられている。それも、Y字型のカーボンファイバー製フレームが特徴的な自転車が2台もある。BXだけではなく、自転車も好きなようだ。
 呼び鈴を押してみると、女性が出た。自己紹介して、BXのことでお話ししたいと頼むと、BXは夫のものなので連絡させると取り次いでくれた。

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