10頭分の牛糞ガスで1日走るインドのスズキ ワゴンR
幕張メッセで行われているモビリティショーに行ってきました。
正式名称は「Japan Mobility Show Bizweek 2024」。同じ会場で行われている「CEATEC 2024」側の入り口から入ってしまったら、その賑わいぶりと小さなブースがひしめき合っている様子に圧倒されてしまいました。
シーテックがホール2から8までの広大なスペースで開催されているのに対して、モビリティショーはというと端っこのホール1だけでした。
展示の多くはスタートアップ企業やサプライヤーなどによるもので、日本の完成車メーカーはあまり広くはない一角で出展していました。
眼を引く展示はいくつもありましたが、最初に引き寄せられたのが、インドのスズキ ワゴンRのCNG車。
なんと、このクルマは牛糞から発生するガスで走るのです。10頭の牛が1日に排泄する糞から作られるガスでワゴンR1台が1日走ります。
本来は天然ガス(CNG)で走るように造られ、販売されているのですが、ユーザーが天然ガスの代わりに牛糞ガス(CBG)を入れてみたら問題なく走ってトラブルもありませんでした。
CBGはインド社会に普及していて、生活のさまざまな用途に用いられ、また牛はインドで聖なる存在です。機械的な故障も発生していないことなどを受けて、スズキ本体が乗り出すことに。現在、グジャラート州に4つのCBGプラントを建設中で、今後、そこで製造されたCBGと有機肥料の製造販売を行なっていく予定だそうです。
メーカーが研究開発して推進してきたプロジェクトではなく、ユーザーの応用使用例を後追いしたかたちです。
カーボンニュートラル社会の実現や農村経済の活性化、エネルギー自給率向上、有機肥料の促進などスズキだけでなく広くインドの社会全体にとってメリットのある取り組みとなるはずです。
地域の特性や事情を上手くビジネスに結び付けているスズキらしい取り組みです。真にグローバルとはこのことで、素晴らしいですね。