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デザインの韻を踏んでいる。10年10万kmストーリー 第101回 ベルトーネ X1/9(1985年)39年19万3000km
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通っていた区立中学校の向かいのガソリンスタンドに、いつも黄色いフィアット X1/9が駐まっていた。
そのクルマがイタリアのフィアット製のX1/9というミッドシップ2シーターだということを知っていたのは、ちょうどその頃スーパーカーブームが起きていたからである。X1/9もスーパーカーの1台として、雑誌の記事になったり、テレビ番組で取り上げられていた。
横綱クラスのフェラーリBBやランボルギーニ カウンタックがスゴいのは中学生にも伝わってきていた。しかし、スポーツカーと呼べるようなクルマは当時の日本車には無く、まだオイルショックや排ガス規制の余波も残っていたところにあって、中学生にX1/9は物珍しく眩しく映っていた。
ミッドエンジンのドライビングフィールは想像するしかなかったが、ベルトーネによるウエッジシェイプスタイルは理屈抜きにカッコ良かった。
X1/9は1972年から生産が開始され、1982年からは名義がカロッツエリアであるベルトーネに変わった。元々、フィアット名義の頃からベルトーネの工場で委託製造されていて変わりはなく、エンブレムがベルトーネのものに変わり、細部も改められた。そのベルトーネ版のX1/9に新車から39年19万3000km乗り続けている男性を訪ねた。
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