見出し画像

クルマにも急速に使われ始めてきたリサイクル素材と再生可能素材

 ボルボの新型EV(電気自動車)EX30には、多くのリサイクル素材と再生可能素材が使われています。

 リサイクル素材とは、何か別の目的に使われていた素材を加工して2次利用されたもの。再生可能素材とは、EX30がスクラップされる際に取り外されて別の用途に用いられるものを指しています。

 EX30のシートで本革のように見える素材は、ペットボトルを再生して作られた「ノルディコ」という生地が張られています。

 背もたれがニットのように見えるものは編み方を工夫していて、シートに用いられるまでの間に廃棄される糸が出ないような編み方をされているそうです。編んだ生地を切って縫い合わせると廃棄される部分が発生しますが、最初からシートに使われる形状に編まれます。

 ジーンズやニット、スエットシャツの製造現場だと、凝ったメーカーでは昔の編み機を使って同じようなことを行なっていますね。そちらの狙いは、縫い目のなさによる着心地の良さと、ゆっくりと編むことによる風合いの特別さです。

 EX30のドアオープナーはアルミ製ですが、再生アルミが使われています。その周辺の斑点が混じったグレーのパネルは主に廃棄されたブラインドなどを加工して作られています。同様のものは他にもありました。

 5月にバルセロナで試乗した新型MINIにも、多くのリサイクル素材と再生可能素材が用いられていました。

 その時、バルセロナで泊まったホテルのバスルームに白い紙箱に収まって置かれていた歯ブラシとカミソリ両方の柄がどちらも、何かからリサイクルされたであろう木製でした。次の日に泊まったミュンヘンのホテルの歯ブラシは、何かから再生されたプラスチック製でした。

 日本ではまだそれほどではないのに、ヨーロッパでは急速に進んでいる流れの一端に触れた思いがしました。クルマに限らず、歯ブラシやカミソリのような日用品でまで行われているということは、マーケティングによる宣伝やポーズなのではなく、社会の本質に直結している価値観の転換なのではないでしょうか?

 リサイクル素材や再生可能素材などの方が製造コストがかさむという声も聞きます。「一時的な流行に過ぎず、長くは続かない」という批判も聞こえてきますが、大きな変化というものは、速やかに少しづつ進んでいくものです。EX30やMINIなどは、その嚆矢に違いありません。

いいなと思ったら応援しよう!

金子浩久書店
チップは取材費に活用します。