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新型アストンマーティン・ヴァンキッシュのV型12気筒エンジン
アストンマーティンのトップモデル、「ヴァンキッシュ」がフルモデルチェンジして、イタリアのサルディニア島で乗ってきました。
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2000年に発表された初代ヴァンキッシュが東京モーターショーに展示された時に、元F1ドライバーの鈴木亜久里と一緒に展示を眼にして、その美しくも迫力満点のスタイリングと高性能を予感させられるV型12エンジンの存在感に圧倒されたものでした。
僕はただ指を咥えているだけでしたが、亜久里は直後に1台を注文。納車された濃いめのシルバーのヴァンキッシュにはカーナビが付いておらず、大枚叩いて日本で装着しなければならない時代でした。
新型ヴァンキッシュは3代目になります。V型12気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するというトラディショナルな構成です。モーターを付け加えたハイブリッドやEV(電気自動車)ではない、純然たる内燃機関車であるところも大きな特徴となっています。
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いまや、スーパースポーツカーでもハイブリッドだけでなくEVであるクルマは珍しくはありません。電気の力は偉大なので、特にその強大なトルクによる加速はエンジン車では望めません。
しかし、EVにはエンジン音がありません。実用車のエンジン音は単なるノイズですから抑えるに越したことありませんが、ヴァンキッシュのV12ともなると出番が待っています。排気音は徹底的に調律され、ドライビングの喜びを称揚してくれるかのような調べとなって奏でられるのです。
新型ヴァンキッシュのV型12気筒エンジンは新開発されたもので、排気量5.2リッター、ツインターボ、最高出力835馬力、最大トルク1000Nm。性能は、0-96km/h加速3.2秒、最高速度345km/hと並外れたものです。
カーボンファイバー製のエンジンフードを開けると、そのV12はボディの中心側に搭載されていました。ヘッドカバーや排気管などはカバーされていて見えないのは最近の傾向通りですが、プレートにはイギリスにて手作業によって組み立てられたことと最終検査を行った人物の名前が誇らし気に記されていました。
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ターボ過給によるレスポンスの遅れのようなものは一切感じられず、そのメリットである低回転域からの濃厚なトルクを十分に享受することができました。
電動化されたクルマの日進月歩ぶりに驚かされることが多くなりましたが、ヴァンキッシュは電動化されていないことをむしろ逆手に取るような感じで内燃機関の魅力を解き放っています。
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今では“悪”の象徴のように言われることの多い内燃機関ですが、やりようによってはそれ自体がクルマの魅力そのものにまだなり得るのです。新型ヴァンキッシュは、それを見事に証明しています。ただし、それを証明できるのは年間1000台未満に限られます。V12エンジンの製作に手間と時間が掛かるからです。
多大な代価も求められます。日本での販売価格は約5000万円のベース価格からと本社広報ダイレクター氏が教えてくれました。
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