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自動車ブランドのロゴ入り服を着ていますか?

 ポルシェライフスタイルの新シリーズ「AHEADコレクション」のジャケットやシャツなどを試着してみたくなりました。

 これからの季節にクルマで出掛けるのにピッタリしていそうで、PORSCHEのロゴマークがあまり目立たないのが良さそうです。

 今でもときどき読み返す伊丹十三の「ヨーロッパ退屈日記」の中の「ミドル・クラスの憂鬱」というエッセイに、次のように書かれています。

 車を持っていない筈だのに、あるいは、ダットサンに乗っている筈だったのに、どういうわけか、ベンツのマークのネクタイ留めをしている。(これはミドル・クラスだねえ)ただし、ベンツに乗っている奴が、ベンツのマークのネクタイ留めをしてたら、もっとミドル・クラスだろうが。

 伊丹十三が俳優としてヨーロッパで生活しながら海外の映画に出演していた1960年代前半に、日本の「洋酒天国」をはじめとする雑誌に寄稿したエッセイが一冊にまとめられた本です。1965年に出版された後にもいくつかの判型を経て、文春文庫に収められた1976年8月に2刷されたものを買っています。

 クルマについて書かれたエッセイもたくさん収められているので、機会を改めて紹介させてください。

 ベンツ・マークのネクタイ留めの一節が頭から離れなかったからなのか、自動車メーカーのロゴや車名が記された服を仕事以外で着たことがありません。

 自分で乗っているクルマの場合も、乗っていないクルマの場合もありませんでした。ポルシェでも、TVRでも、プジョーでも、シトロエンでも、トヨタでも、いすゞでも、マツダでも、ホンダでもです。

 例外が一枚ありました。アメリカのラグナセカサーキットの露店で買った、“ポルシェ917を思わせる”Tシャツです。

 ポルシェ917という1960年代終盤に大活躍したレーシングカーに塗られていた「ガルフカラー」と同じ水色の生地にオレンジのストライプを入れ、白い楕円形の中に917と黒文字でプリントされています。

 どこにもPORSCHEとプリントされていませんが、クルマ好きやポルシェファンが見ればニヤッと一目瞭然という海賊版です。

 僕は無礼にもこれを着てポルシェのメディアイベントに参加したことがあります。当時の広報マネージャーが近付いてきて、「面白いシャツですね」と笑われました。タイトル画像は、その時のものです。

 フェラーリもファッションには積極的ですが、デザインはポルシェとは対照的です。ロゴや跳ね馬マークが大きく、それをデザインとしてこれでもかと強く押し出しまくっています。最近のハイブランドのファッションブランドを思い起こさせる押し出し方ですね。

 どうも、ファッションブランドはロゴをデカデカと打ち出す路線と、流行りの“クワイエットラグジュアリー”を標榜するロゴなし路線の両方を展開しているように見えます。つまり、顧客によって造り分けているのです。自動車メーカーもそうなるのでしょうか?

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