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乗っていたクルマのミニカーだけは買う ⑤ ポルシェ ボクスターとグッドウッド・フェスティバルオブスピード

 ユーラシア大陸をカルディナで横断する旅から戻ってきて、次に乗り始めたのがポルシェ ボクスターでした。その前に乗っていたTVRグリフィス500は旅の資金にするために東京で売ってしまっていました。カルディナはヨーロッパでの足にするためにロンドン郊外の友人宅に置いてきたのです。

 ボクスターは1年乗られた初代986型の最終モデル。2002年にイタリアのフラスカッティで行われたメディア試乗会に参加していて、その仕上がりに感銘を受けていたので決めました。エンジン排気量が2.5から2.7リッターに拡大され、リアウインドが樹脂からガラスへ変更。他にも、サスペンションを始めとした1000か所以上を改め、「これはもう新型ではないか」と驚かされていたくらいだったのです。

 その前のボクスターはというと、引き締められ過ぎたサスペンションによってハンドリングは鋭いのですが、普通に乗っている時の乗り心地がキツ過ぎて疲れてしまっていました。それが最終モデルへのマイナーチェンジで激変したのです。

 中古車なので色や仕様などは選べません。白いボディに黒い幌は常識的でしたが、赤い革内装がちょっと気恥ずかしかったですかね。

 トランスミッションは「ティプトロニックS」。PDKが実用化される前の、トルクコンバーター式の5AT。ハンドルスポーク上のスイッチでも、シフトレバーでもマニュアル変速できました。何が何でも3ペダル式を望まないので、これで十分でした。

 自分のクルマとして使ってみてわかったのは、走りっぷりの良さは当たり前として、前後のトランクが広大で使いやすいことには驚かされました。

 ボクスターは911のような水平対向エンジンを中央部分の低い位置に搭載しているので、幌を開けようが閉めようがリアのトランクには影響しません。畳まれた幌はリアウインド後端とトランクの間に収まるからです。

 畳んだ幌をトランクに収めるタイプのクルマもありますが、それだと荷物を多めに載せてしまうと開けた幌を閉められなくなってしまうのです。幌を開閉か荷物か、どちらかを諦めなければなりません。コンバーチブルの意味がなくなってしまいます。

 さらにボクスターは、フロントのトランクが深く大きい。長距離国際線フライトの機内持ち込み可能サイズのスーツケースをふたつに加えて、デイパックやブリーフケースなどをふたつ収めても、まだ余裕があるのです。そこまで詰め込んでもリアのトランクはまったく使っていませんから、二人分のお土産をたくさん買って帰ってきても空港の駐車場で慌てることにはなりませんでした。

 他にも、凍結路で滑りそうになった時のアラートの出し方や純正のルーフラックの装着方法など、買って乗ってみないとわからない長所がボクスターにはたくさんあって感心させられました。安いクルマではありませんが、それだけの内容があると少しづつ知らされていきました。

2002年のグッドウッド・フェスティバルオブスピード
同上

 ミニカーは、イギリスのグッドウッドフェスティバルオブスピードの露店で買いました。初めて行った2002年にはまだボクスターには乗っていませんでしたから、次に行った時です。ドイツのSchuco製。

 フェスティバルオブスピードは、クルマ好きには楽しいイベントです。それまで無かったタイプのイベントとして非常に上手く運営されていました。自動車メーカーも新しいタイプのプロモーションとして捉えるようになり、参加するメーカー数は増えて、規模も拡大していきます。既存のモーターショーの勢いがなくなっていくのと対照的なのが、通ってみて良くわかりました。

 ボクスターのミニカーは、自分が乗っていた白と黒の組み合わせがソックリです。全体のプロポーションと各部のディテイルの再現が見事ですね。力の入れどころと見せどころの緩急と強弱が上手くコントロールされています。前回のNOREV製プジョー505とは大違いです。

 昔も今もミニカーを集める趣味はなく、乗っていたクルマのミニカーだけを買っているだけでした。しかし、こうしてnoteを書くために1台ずつ眺め直してみると、だんだんと違いもわかってきたところです。


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金子浩久書店
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