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ロータスから大型4ドアGTタイプのEV(電気自動車)「エメヤ」登場。何から何まで大違い!?

 大雨の中、青山で開かれたロータス・エメヤの発表会に出席してきました。

 ロータスは1947年にイギリスで始まったスポーツカーメーカーで、これまで数々のスポーツカーを製造販売してきました。モータースポーツシーンでもつねに第一線にあり続け、F1では何度もチャンピオンに就いています。現在は、中国の浙江吉利控股集団の傘下にあります。

 エメヤは、エヴァイヤ、エレトレに続くEV(電気自動車)で、4ドアGTタイプ。注目すべきポイントを以下に書き出してみます。

エメヤは、ロータスが2028年までにオール・エレクトリックのグローバル・ラグジュアリー・ブランドを目指す一環です。

 これはジャガーと同じですね。ジャガーはすでにエンジン車の製造を順次停止し始め、より高級なEVだけを製造販売していくことを「Re-imagine」戦略として発表し続けてきました。

 その第1号車のスタイリングは2024年中に発表されることを4月のフォーミュラE選手権東京大会の時に確認しました。1号車は4 ドアGTである点もエメヤと変わりません。同じプラットフォームを用いて、さらに2台の高級EVを順次発表していくそうです。  

 ラインナップを縮小する代わりに、特徴的なスタイリングを施して価格を上げて独自性を高めるという方向性です。ギャンブルであることは間違いありませんが、話を聞いていても納得させることの方が多く、検討に検討を重ねた上でジャガーとして進むべき道が決められたようです。

 ジャガーはセダンやSUV、ステーションワゴンやコンバーチブルまで造っていたので、その戦線を縮小し、リソースを集中させるという方向性が鮮やかに見えます。しかし、ロータスはスポーツカー、それもピュアな2シーターがほとんどだったのでブランドの独自性が高く、路線変更の必要性はジャガーほどには高くなさそうでした。

 しかし、そうではなかったということは、電動化とそれに伴う自動車のあり方やメーカー経営の変化のハードルがとても高いからでしょう。

最高出力918hpを誇るエメヤは、0-100km/h加速2.8秒以下、0-200km/h加速9秒という世界最速の1台です(エメヤRの場合)。

 航続距離は、エメヤとエメヤSが500-610km(WLTP,コンバインド)、550-695km(WLTP,シティ)、エメヤRが435-485km(WLTP,コンバインド)、480-530km(WLTP,シティ)。強力なモーターを前後に1基ずつ搭載。

電子制御エアサスペンションシステムは、路面状況の変化に反応し、車両のセットアップを自動的に調整します。

 これまでのエンジン車のロータス各車に乗って感心させられたのは、サスペンションに一切の電子制御の類が備わっていないので、運転のすべてを自分で行わなければならず、その結果もすべて返ってくる点でした。

 他のクルマは何らかの電子制御が施されているので、それが介入し、失敗しそうなコーナリングを助けてくれたり、アクセルワークやブレーキングなども補正してくれていました。

 しかし、ロータスにはそれがないために運転には全神経を集中させなければならず、それが面白く、まさに“スポーツドライビング”そのものだったのです。

 エメヤをはじめとするロータスのハイパーEVは、そうした過去のロータスの世界観をもはや追うことをせず、まったく新しいものを構築しようとしています。

 マニアは嘆くでしょうが、この世のすべてのものは変化していきます。クルマだったら、なおさらです。かつてのロータスとその世界観は、これからはクラシックカーとしてむしろ輝きを増していくのでマニアのみなさんは心配ご無用です。

5つのマッサージモード(強さは3段階)があり、すべてのシートに装備。

 マッサージまで!
 マッサージ機能が付いたシートはこれまでにも高級車を中心に設定されていましたが、ロータスのものがどんなものなのか、とても興味が湧いてきます。

ファッションシーンで使用される新しいリサイクル繊維の高級糸「ワイロン・トゥルーサイクルド」も含まれます。これを採用した自動車メーカーはロータスが業界初となります。

 リサイクル素材の採用は、もはやヨーロッパ車では珍しくなくなりました。フルモデルチェンジしたMINI COOPERでも、インテリアの要所々々に用いられています。以前は眼に見えない裏側などに使われることが多かったですが、品質が向上して表側にもどんどん使われるようになりました。この面で日本車の取り組みが遅いようなのが気になります。

次世代ハイパーEVにおける急速充電機能を実現するため、ロータスはセル・トゥ・パック・バッテリー構造を採用しています。これは、標準的なモジュール機能と比較して、同スペースに20%多くのセルをパッケージできることを意味します。エメヤはまた、バッテリーの熱性能と効率を向上させるために設計された新しい冷却システム構造を採用しており、非常に高いレベルの繰り返し性能にも貢献しています。

 EVのバッテリーは日進月歩です。各社それぞれの改善策で急速充電性能と繰り返し性能を上げようとしています。冷却方法もさまざまに開発が行われています。

3バリエーションの車両本体価格(税込)は次の通り。エメヤ(エントリーモデル)1634万6000円、エメヤS(充実装備のハイパーGTモデル)1793万円、エメヤR(フラッグシップモデル)2268万2000円。すでに生産が開始されており、日本では2024年末からデリバリー開始予定。

 これまでのエンジン車のロータスよりも、はるかに高価格となっています。小型で軽く、シンプルな構造がロータスのスポーツカーの特徴で、それを100%活かすことで魅力を形作っていました。

 エメヤは大型ラグジュアリー4ドアGTですから、何から何まで正反対です。でも、それが“変わる”ということです。新しいシステムや素材などを積極的に取り入れ、独自の価値を作り上げていく姿勢はこれまでと変わらないようなので期待できます。早く乗ってみたいですね。

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