4輪よりも先に進んでいる2輪のOEM事情
8月8日に、ホンダから大変に興味深いニュースリリースが発表されました。以下、そのまま紹介させていただきます。
「Hondaとヤマハは原付一種市場において、強化される保安基準や排出ガス規制など法規制への対応、さらには電動化の推進など二輪車メーカーとして取り組むべき課題の解決に向け、2016年10月より協業に向けた業務提携についての検討を開始しました。主に「50cc原付スクーターのOEM供給」「次期50cc原付ビジネススクーターの共同開発・OEM供給」「原付一種クラスの電動二輪車普及に向けた協業」について検討を行い、2018年3月から50cc原付スクーターのヤマハへのOEM供給を行っています」
2輪については門外漢なので知りませんでしたが、すでに2018年3月からホンダは原付スクーターをヤマハへOEM供給しているのですね。ホンダが「タクト」や「ジョルノ」というエンジンを使った原付スクーターに使われているフレームやエンジンなどをヤマハにOEM供給しているそうです。
“やっぱり”と思うと同時に、驚きはあまりありません。“原動機付き自転車”として排気量や最高出力などが法律で決まっていて、ユーザーの用途なども概ね見通せます。メーカー同士が競争しても特色も打ち出すのは難しく、商品力が向上するわけでもないでしょう。だったら、どこかがまとめて製造するのが合理的です。もっと早くに取り組んでも良かったぐらいだと思います。
このニュースリリースを読んで最初に思い付いたのは、4輪の分野でもいつOEMが現れてもおかしくはないだろうということでした。
軽自動車などは、その最たるものでしょう。排気量と最高出力だけでなくボディの最大サイズまで決められているのですから、スーパーハイトワゴン、ハイトワゴン、2ボックス型ハッチバックなどと業務用バンとピックアップなどを各社で分担し合って製造し合ったらどうでしょうか。
いまの軽自動車はどれも似通っていて、メーカーごとクルマごとの違いが見出しにくいです。開発もし尽くされたのではないでしょうか?
どれも良くできているから、開発陣はなおさら苦心されているように見えます。小さな違いと違いの間にさらに分け入っていくようなキチキチの商品企画にしか僕には見えないのです。開発陣のリソースを、もっと他の大切なことに割かないともったいないと思います。
4輪のOEMは軽自動車だけでなくて、ミニバンでも検討してみたらどうでしょうか?
全部は無理だとしても、パワートレインだけ各社ごと独自のものを用いて、シャシーとボディは共通化してもいま売られているミニバンの形式なら成り立つと思います。ミニバンもOEM化を進めて、開発陣のリソースを他のもっと大切なことに割いた方が良いのではないでしょうか?
ニュースリリースは、さらに続いていました。
「また、Honda、ヤマハに川崎重工業株式会社、スズキ株式会社を加えた4社は、2019年4月に日本国内における電動二輪車の普及を目的とした「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」を創設しました。電動二輪車普及の課題である、航続距離や充電時間への解決手法の一つとして、共通利用を目的とした交換式バッテリーとバッテリー交換システムの標準化検討を進め、2021年3月に標準化(共通仕様)に合意しました」
4輪のEVでも検討に値しますね。中国のEVメーカー「NIO」(ニオ)は交換式バッテリーを採用していて、交換ステーションを2400か所に展開して、他メーカーとの協業も進めています。4月に北京でNIOのバッテリー交換の様子を街中の交換ステーションで見ることができましたが、ガソリンを給油するのよりも早く、全自動で行われる様子に舌を巻いてしまいました。
「こうした取り組みに続き、Hondaとヤマハは、日本で個人の移動とビジネスに活用されている原付一種において、引き続き多くのお客様のニーズに答える電動二輪車を提供していくために、共通仕様に適合した交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を動力用電源とするEM1 e:、BENLY e:Ⅰをベースとした車両のOEM供給に合意しました」
確実に、4輪よりも2輪の方が先に進んでいます。現在、自分は2輪に乗っていないのですが、4輪のためにも注目しておく必要があることを強く感じました。
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