マニュアル専用モデルとなったポルシェ 911T
ポルシェが商売上手なのは昔からのことですが、今度は911Tをマニュアルトランスミッション専用モデルとして仕立て直してきました。
他にも、911カレラよりも最大42kg軽量化したり、リアアクスルステアリングを標準装備したりして、911Tのキャラクターを明確にしようとしています。
以前は、トランスミッションはマニュアルと2ペダルの「PDK」から選べたのですが、あえてマニュアル専用とし、軽量化を打ち出すことによって911Tのシリーズ内のポジションニングこそ変わらないものの独自性を強めたわけです。
数年前に、空冷時代の赤い911Tが駐まっていたのでオーナーさんと立ち話をしたことがあります。10年以上乗り続けていて、空冷911Sにも乗ったことがあると言っていました。
TはSよりもアンダーパワーだけれども、エンジンの吹き上がりの鋭さは変わらないので、運転の楽しさは一緒だとも言っていました。
空冷911のエンジンの吹き上がりの鋭さはみなさん指摘されますが、僕は回転の落ち方の鋭さの方に空冷911の強い個性をより一層と感じます。
エンジン回転が上がっていくのは加速中なので、どんなクルマでもエキサイトメントを伴います。しかし、何の抵抗感もないかのようにストッというか、フワッというか落下するように回転が落ちるのは空冷911の特徴です。もちろん、その感覚は911を含めた現代のクルマとは全く違います。だから、自らの運転でコントロールできた時の喜びが大きいのでしょう。
重量物であるエンジンがリアに搭載されていることによる操縦安定性の癖もそこに加わるわけですから、ドライバーは常に緊張しながら運転することになります。赤い911Tのオーナーさんは、それも含めての空冷911Tなのだと教えてくれました。