スピルバーグとロールス・ロイスのビスポーク
先週、NHKのBSテレビで「最後の秘密 スピルバーグ 映画と人生」というフランス/ドイツ/ルクセンブルク製作の2024年のドキュメンタリーが放映されていました。映画製作に軸足を置いた彼の半生記です。
僕が最初に観たスピルバーグの作品は「激突」でした。小学生の頃に、テレビで放映されているのを観ました。もちろん、まだ監督の名前など意識することもなく、ただただ画面に強烈に引き込まれていっていたのを憶えています。
次の「ジョーズ」からは映画館で観ましたが、封切りではありませんでした。レンタルビデオ屋はまだ一般的でなく、その代わり名画座が街にまだたくさんあった時代です。雑誌の「ぴあ」や「シティロード」で上映予定を確かめながら通っていました。
1977年の「未知との遭遇」も名画座でした。学者役として出演していたフランソワ・トリュフォーが誰なのかを知っていたのは、それまでに名画座で多くの彼の作品を観ていたからです。
名画座は300円や500円の入場料で、出入り自由の2本立てや3本立て興行を行っていました。懐は寂しいけれども時間はたっぷりある高校生にはピッタリの場所です。通っていた高校までのJRと私鉄のすべての途中駅の駅前に名画座があり、一つ残らず観覧していました。
ビッグネームになって以降のスピルバーグ作品は封切館で見たり、ビデオで観るようになってきていました。
その後ずいぶん経ってから、思わぬ場所でスピルバーグの名前を見ました。タイトル画像が、それです。
You shouldn’t dream your film, you should make it.
直訳では、「あなたはあなたの映画を夢見るべきではない、それを作るべきだ」となります。スピルバーグは映画監督なので「映画」という言葉を使っていますが、「目標」とか「人生」とか「将来」とかいった、漠然としていながらも為すべきものについて言及しているとも受け取れました。
2015年3月のジュネーブ・モーターショーのロールス・ロイスのビスポーク(誂え)部門のスタンドの壁に掲げられていました。
スピルバーグだけではありません。ウインストン・チャーチルやココ・シャネル、アンリ・マティスなどの言葉も別の壁にありました。