3台のモンテベルディ
あるコレクターさんのガレージをグループで見学させてもらいました。幹事役からの事前の連絡では全部で156台あり、どれも走行可能状態にあるとのことです。
「156台を置くだけでも広いスペースが必要になるし、走行可能状態を保ち続けるのは大変なことだ。どんな基準や好みから集められた156台なのだろうか」
幹事役も紹介に次ぐ紹介で訪問が可能となったようで、コレクションの詳細は把握していませんでした。
日本車ばっかりなのか、反対に外国車が多いのか?
特定のメーカーに注力しているのか?
乗用車が多いのか、スポーツカーが主体なのか?
訪れる前にさまざまに想像していましたが、いざガレージに案内されると圧倒されてしまいました。
以前は大きな工場だった2階建ての建物にビッシリとクルマが保管されています。モデルはさまざまです。古今東西の有名どころが揃っていました。グロリアやスカイラインスポーツなど、プリンスは全部ありました。
「これでロイヤルとR380があれば全部揃うのですが」
ビニールカバーで覆われたクルマとクルマの間を身体を横にしながら進んでいくと、大きな4ドアセダン2台とファストバックの2ドアが縦に並んでいました。
モンテベルディ!
1960年代中盤から1970年代中盤に掛けて、スイスのバーゼルで製造されていた超高級車が3台もあるではありませんか。製造台数が限られていて、僕もヨーロッパのミュージアムでしか見たことがありません。
さまざまな逸品が保管され、時間も限られており他のメンバーもいたので、この3台ばかりに執着し続けるわけにもいかず、後ろ髪を引かれる想いが募るばかりでした。
帰宅してから、山口寿一さんの『知れば知るほど外車術』にモンテベルディのことが書かれていたことを思い出し、読み直しました。
山口さんは日本で初めてモンテベルディを輸入し、販売したことがあるのです。とても山口さんらしい経緯が本には書かれています。
我慢できずに山口さんに電話したら、どうやら3台のうちの1台は本に書かれている375/4(1974年型)そのものではないかと推察できました。
山口さんがどんな思いから最初のオーナーに勧めて納めたのかは本に詳述されています。次回は、現オーナーの思いをじっくりと聞いてみたいですね。