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要チェックや!“インフレ退治の成否”を握る不動産・エネルギー・賃金

株式市場が圧倒的な売りで待ち構えた5月のFOMCが終了した。

FRBは0.5%の利上げを実施し、6月からのQT開始を正式に発表。目先の危機を乗り越え、株式市場は上昇に転じた。

しかし、FRBの利上げはまだまだこれから。その趨勢を左右するのが、アメリカのインフレだ。

そこで今回はアメリカのインフレに関連する着目点をおさらいしたい。

“物価の象徴・CPI”

アメリカCPIの推移(2020年1月以降)

まずはアメリカのCPIだ。“物価の象徴”とも言える主要指標で、アメリカ合衆国労働省(Department of Labor Logo United States Department of Labor)が毎月、月央前後に前月の指標を公表する。

同時に物価の上昇率(インフレ率)も公表される。

CPIの推移を見てみると、2020年2-3月ごろから2022年03月、圧倒的な上昇基調を示してきており、最新のインフレ率は8.5%だ []。

ほかにも物価の指標はあるが、そうしたインフレを示す指標が落ち着いてくれば、FRBも金融引締めの手を緩めてくれるだろう。

住宅価格、CPIの3割を左右

品目別のアメリカのインフレ寄与度

続いて住宅価格(housing shelter costs)だ。とりわけCPIの上昇への寄与ドの面でも、住宅価格からは目が離せない。

現在、住宅価格は、前月比で0.5%上昇 [2] しており、上昇トレンドが続いている。

CPIの約3割を占める分野だけに、もしも住宅価格の上昇に歯止めがかかれば、インフレ率の上昇も鈍化すると見られ、重要な要素だ [3]。

さらなる高騰も!?原油・エネルギー

WTI原油価格の推移

エネルギー価格が上昇すればインフレ効果をもたらすことは、改めて説明するまでもないだろう。

ロシアウクライナ戦争での需給ひっ迫もあり、原油価格は高止まり。さらに上昇するとの見方も出ており、全体的なインフレに向かう雰囲気を形作る要素でもある。

“最右翼のインフレファクター”賃金

アメリカの消費者支出と雇用コスト

最後が賃金だ。インフレの中でも、極めて強力な“賃金インフレ”の推進力となる要素で、現在注意が必要な指標となっている。

賃金インフレでは、賃金が上がり所得が増えると、一需要が供給を上回るために物価が上昇。物価の上昇が賃上げを呼び、さらなる物価上昇に循環的につながる強力なインフレだ。

その賃金についても、アメリカの労働者市場がひっ迫しており、賃金も上昇。転じて、賃金インフレが懸念されており、巷でも話題になっている[4]。

いずれも、アメリカのインフレの今後を見通す上で、また動向を追いかける上で重要なので、最新の情報はいちいちチェックしていきたいところだ。

Notes&References


[1] Department of Labor Logo United States Department of Labor, CONSUMER PRICE INDEX – MARCH 2022, https://www.bls.gov/news.release/cpi.nr0.htm, 5th May 2022
[2] James Knightley, US inflation at a 40-year high and the only way is up, https://think.ing.com/articles/us-inflation-is-only-going-higher , 5th May 2022
[3] アメリカのインフレについては、大きく注目された中古車価格の高騰は一服した一方で、幅広い品目で上昇が続いている [2] 。レクリエーションや服飾などでも物価上昇がみられ、住宅やエネルギーの価格、賃金の上昇に歯止めがかかるだけで、インフレ退治が可能か不透明だ。
[4] アンスティー・クリストファー, サマーズ氏、賃金急上昇がインフレの「スーパーコア」指標に, https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-30/RB4PEWDWX2PS01

関連リンク

アメリカ合衆国労働省(Department of Labor Logo United States Department of Labor), https://www.dol.gov/


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