『成功企業の罠』~ある経営者の話から考えたこと~
こんにちは、お金が入るでかねいりです。
今日は、成功された企業経営者の話から考えたことをお伝えできればと思います。
■A社の経営者の話
その企業は商社で利幅の小さなビジネスだったことに課題を持ち、ニッチではありますが、商社でも利幅がしっかりと取れる強固なビジネスモデルをつくりあげました。
そのビジネスモデルは、景気の動向を受けづらく、リーマンでも、コロナでも業績は安定で高収益。競合もほぼいなく、まさに成功企業と言える状態でした。
そこで、私は次の質問をしてみました。
「社員の方々の成長意欲は高い状態ですか?」
すると、その経営者は
「そこが問題なんです。主体性や積極性があまり感じられず、現状に留まっているように思えます。」
実は、私はA社のような企業の事例に何度か立ち会ったことがありました。
■『成功企業の罠』とは?
どんな企業もA社のような成功企業になることを望んでいると思います。しかし、この状態になると、社員の成長意欲が高まらないという課題が高い確率で起こります。
それはなぜなのか?
くしくもビジネスモデルが強固で競合も少ないことが原因です。
外部環境の影響をほとんど受けないため、社員は外への関心が薄くなっていきます。その結果、目線は社内に向きがちになり、愚痴や不平不満を言う社員が多くなっていきます。
また、自分のがんばりで会社の業績が大きく変化するわけでもないため、がんばってもがんばらなくても変わらないと考えるようになり、成長意欲が低下していきます。
そうなると社員は「こんなもんでいいか」という状態になります。
短期的には、この課題は大きな問題にはならないのですが、長期的に考えると非常にまずい問題になります。
それはなぜか?
成功は長くは続かないからです。
外部環境の変化をほとんど受けづらいという話がありましたが、ビジネスなので全く受けないわけではありません。じわじわと世の中は変化していきます。そして、時が経つとその変化は大きなものへと変わります。
気づいた時には、その大きな変化に対応できずに、市場から取り残されるということが起こり得るのです。
成功企業は、成功したがために、社員の成長意欲が低下し、外への関心が薄くなり、目の前のことに意識が偏りがちになる。そして、変化への対応が遅くなったり、変化を感じづらくなり対応できなかったり、という体質になりやすい傾向があります。これが成功企業の罠です。
■『成功企業の罠』から脱却する方法はあるのか?
このような状態になっている成功企業には、ひとつ共通項があります。
それは何かというと、「ビジョンがない」もしくは「ビジョンが明確ではない」ということです。
ビジョンとは「少し長い時間軸での会社のありたい姿を言語化したもの」です。例えば、ソニーとメルカリのビジョンは以下の通りです。
ビジョンの特徴は、具体的でイメージがしやすい。例えば、さきほどのメルカリ。「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」、具体的ですよね。もしこれが実現できたらと考えることができ、そこからワクワク感が生まれ、そんな未来をつくりたいと社員は動機づけされる。社員が動きやすくなる効果があります。
「成功したらそこで終わりではなく、そこはまだ通過点で、我々が目指す先はここなんだ」というもの=ビジョンを示すことで、社員を動機づけすることができます。
そして、このビジョンを実現するための戦略と計画を検討し、その内容を社員に示します。そうすることで、より具体的な道が見える化されるため、一歩踏み出す不安な気持ちを減らすことができます。
具体的な事例に興味のある方はこちらをご確認頂ければと思います。
成功し続ける企業になっていくためには、中長期のことを考え、自社がどんな会社になりたいかを検討することが重要になります。このことを私は、「長期事業構想を立てる=経営計画を立てる」と定義しています。もし、『成功企業の罠』のような傾向があるということでしたら、ぜひ長期事業構想の検討をお勧めします。