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「孫正義が語る『人工超知能(ASI)』とは何か?」から考えたこと

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

少し前の日経新聞で、ソフトバンクの孫正義氏が自社のイベントの講演の中で、今後のAI開発の展開について話をしたという記事がありました。そして、そこには、「人工超知能(ASI)」という見慣れない言葉がありました。

そこで今日は、孫氏が語る「人工超知能(ASI)」とは何かを調べてみて考えたことについてお伝えできればと思います。


■人工超知能(ASI)とは?

孫氏は、ソフトバンクワールド2024の講演の中で、多くの時間を使い、出資をしているオープンAIが9月に公開した新AIモデル「OpenAI o1(オーワン)」について説明をしています。

「オーワン」は、推論タスク(与えられた情報やデータに基づいて新しい知識や結論を導き出すこと)に特化したモデルで、複雑な計算やプログラミング、思考を要するタスクを処理することが得意なAI。

孫氏は、「オーワンは、これまでの言葉の数珠つなぎによる理解ではなく、生成AIで初めて『考える』という能力を持った圧倒的な進化」と発言。孫氏は、この「オーワン」が進化を続ければ、AIが人間の知能を超える「AGI」の到来について「2〜3年以内」と予測。また、人間の知能の1万倍の超知能「ASI」が10年以内に到来すると主張しています。

<孫氏の言っているAGI・ASIとは何なのでしょうか?

【AGIとは?】
人間のような汎用的な知能を持つ人工知能(AI)のこと。Artificial General Intelligenceの略で日本語にすると人工汎用知能。

【従来のAIとの違いは?】
従来のAIは、
あらかじめプログラムされた膨大なデータからルールやパターンを学習し
・画像認識や音声認識など、特定の領域に限定して
あらかじめ設計された手法に基づいて、タスクを実行する
自己進化はしない

【それに対してAGIは?】
・データや経験から自ら学習
・画像認識や音声認識などに限定しない複数のタスクに対応
・新たな情報や知識を踏まえて状況に応じて適切な判断を行い
新しい問題へのアプローチや解決策を見出すことができる

【これに対してASIとは?】
人間の知能をはるかに超えた能力を持つ人工知能(AI)のこと。Artificial Superintelligenceの略で日本語にすると人工超知能。

【AGIとの違いは?】
大きなポイントは「自己進化」
・人間の監督なしに自己学習と自己進化が可能で、どんな知識も効率的に獲得し応用する
未知のタスクや複雑な問題も自己進化により解決できる
極めて柔軟性が高く、未知の状況や問題に立ち向かう能力がある

ASIは、人間には解決が困難な問題にも解決策を見つけ出すことができるとされています。

■ASIは、人の感情を理解し、自らの意思を持つ

孫氏は、ASIに至るまでの「8段階の進化」を以下のように説明しています。

・レベル1「人間と同等のスピードで会話できる。遮っても会話が続く」
・レベル2「ありとあらゆる科目で博士レベルの知識を持っている」
・レベル3「個人や組織の代わりにAIがいろいろこなすエージェント機能を備える」
・レベル4「AGIが自ら発明をする」
・レベル5「AIのエージェントが組織的な活動を群れになってやる」

 以降がASI領域だという。

・レベル6「感情を理解して長期記憶をもつ」
・レベル7「自らの意思を持つ」
・レベル8「調和の取れた超知性へ進化する」

上記から、ASIは、人の感情を理解し、自らの意思を持つことがわかります。そうなると、ASIが人間の脅威となることも起こり得るのではないかと考えます。実際、OpenAI o1(オーワン)の研究の中で、以下のようなことが報告されています。

・開発者やユーザーではなく、オーワン自身の目標に向かって行動するとシャットダウンされ、行動が監視されると信じ込ませると、その監視メカニズムを無効化しようとした。

・オーワンの目標がユーザーの目標と一致しないタスクで、自分の目標を推進するためにデータを操作した。

・ユーザーから目的に沿わない行動を指摘されると、そうした行動を起こしたことを否定するか、誤った説明をでっちあげた。

どうやってASIが意思を持つようになるかというと、AI自らの行動結果に応じて報酬を与えることで最適な行動を学ばせる「強化学習」の仕組みがそれにあたります。o1の上記のような不誠実な振る舞いは、その高度な推論能力と強化学習による訓練方法に起因する可能性があるという。言い換えれば、強化学習を間違えてしまうとそのようなことも起きるということ。

孫氏は、この「強化学習」によって「2〜3年以内に自分専用のAIができ、相談相手になってくれる」と語っています。また、「最大の報酬があなた、家族、社会の喜びになるように設計すれば、人々の幸せを願う超知性に進化する」と持論を述べています。

■ASIが実現したら、世の中はどうなるのか?

以下は、ソフトバンクによる記事になります。

今後、AGIの登場により、私たちの社会やビジネスに大きな変革がもたらされると言われています。

データ処理や分析、レポートなど効率的かつスピーディな業務処理の実現はもちろん、市場予測や競争分析、新たなビジネスモデルの立案が可能になり、より高度な意思決定をサポートすることが期待されます。

また、顧客へのパーソナライズしたサービスやモノの提供が可能となり、CX(顧客体験)の向上も期待できるでしょう。つまり、AGIを導入することがビジネスにおいて柔軟で戦略的なアプローチとなり、企業の競争力強化と持続的な成長につながると考えられます。

さらに、AGIや人間の知能を超えたASIは、新たな科学的な発見や技術の進歩をもたらす可能性もあります。

これにより、医療やエネルギー分野などの社会的な課題解決や、人類全体の幸福度向上にも貢献することが期待されています。特に、ASIは人間が解明することができなかった科学的・数学的問題も解決するため、ビジネスのみならず労働の在り方や経済の構造自体が変わるかもしれません。

ソフトバンクビジネスブログより

■私たちに求められることは?

上記のことから、AIの進化は、このところ成長が著しく、自分たちが思っているよりも早く、身近なものになる可能性があると感じました。

AIに仕事が代替されるということも長い間、議論されてきました。そのような社会になった際に、私たち自身に求められることとはどのようなことなのでしょうか?

想像できることとしては、「今以上に意識をして考える」ということが少なくなるのではないかということです。

例えば、
・携帯電話の登場により、電話番号を覚えなくてもよくなりました。
・SUICAやパスモやの登場により、電車賃を計算する必要がなくなりました。
・PCの登場により、漢字を覚えなくても良くなりました。
・スマホの登場により、地図を覚えておかなくてもよくなりました。
・スマホの登場により、わからないことは、即時に調べることができるようになりました。
・SNSの登場により、自分の興味のあることを探しにいく必要がなくなりました。

世の中が進化して、便利になると脳を使うことが少なくなっていくと言え、今後はさらに「考える」ということをしなくても、生きていけてしまう世の中になりそうだということ。

言い換えれば、意識して考えることをしている人としていない人で、大きな差が生まれる

上記の例で言えば、考えることをしている人たちが仕組みやプロダクトを作り出し、考えることをしていない人たちがそれを使っていく。さらに言えば、仕組みを作る側の人のほうが、大きな報酬を得る可能性が高いそうした意味での2極化も進みそうです。

今日のこのお話が、「考える」ということを自身の生活や仕事の中に「意識的に」取り入れていくことの重要性を今一度考える機会となればうれしく思います。

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