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ソフトバンクが子会社化した英アーム(ARM)社は何がすごいのか?

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

6月6日の日経記事「アメリカの有力ヘッジファンド(投資会社)のエリオット・マネジメントがソフトバンクグループ株を取得した」というものがありました。

エリオットがソフトバンク株に目を付けた背景には、2023年9月に上場した子会社、アーム社の存在がありました。

なぜ、有力ヘッジファンドはアーム社に注目をしているのでしょうか?

そこで今日は、アーム社がなぜ注目されているのかということについて調べて考えたことをお伝えできればと思います。


■アーム社とはどんな会社?

イギリスに本社を置くアーム社とはいったいどんな会社なのでしょうか?

何をやっている会社なのかというと、半導体の設計を手掛けているファブレス(設計専業)企業

アップルやグーグル、エヌビディア、サムスン電子などに半導体の設計図を提供して、ライセンス収入を得るというビジネスモデル。

なぜ、IT業界の世界トップ企業たちは、アーム社を使うのでしょうか?

半導体の設計は、極めて高度な研究開発力が求められるため、わずか数社しか市場シェアを取れていないのが現状。代表的なプレーヤーがインテルです。しかしインテルは、設計・開発・生産の全工程を自社で完結させており、設計だけに特化した会社は限られている状態です。

半導体の業界は、パワー半導体やAI半導体など分野に特化した開発が進むとともに、その使用用途も大きな拡がりをみせています。

IT業界においては、生成AIの開発やそれに伴うデータセンターの建設などにおいて半導体の位置づけが高まっており、競争を勝ち抜くためには半導体の設計が大きなカギを握っています

競争が激化する半導体設計の中で、アーム社の技術力は突出していて、競合のインテルですらアーム社の力を借りるほど。

アーム社は、スマートフォン向けの半導体設計で99%の世界シェアを握り、粗利益は約95%営業利益率でも42%ほどと、極めて高い指標をたたき出しています。

■アーム社がさらに注目をされている理由

実は最近、アーム社はスマホ以外の分野で注目を集めています。

それが「エッジAI」と呼ばれる分野

エッジAIとは、インターネットに接続しなくてもスマートフォンやパソコン、自動車などの端末側で動作するAIのことを言います。
生成AIは、ネット上のサーバーで運用するのが一般的。それに対して、エッジAIは、携帯電話が圏外でも利用可能

以下のような利点があると考えられています。
①遅延がなく即座に処理できる
②個人データなどを扱う際のプライバシーやセキュリティー上の懸念を減らせる
③通信コストを抑制できる

生成AIなどの活用でデータセンターが多く建設され、電力消費の増加の問題が懸念されていますが、エッジAIの活用が進むと処理が分散し、データセンターの電力消費が抑えられると考えられており、エッジAIが注目されている背景になっています。

このエッジAIの設計をアーム社が手掛けており、その技術力に注目が注がれています。

■エッジAIのポテンシャル

そのアーム社のエッジAIの設計の技術力にほれ込み、ラブコールを送ったのがマイクロソフトでした。

マイクロソフトはAIとパソコンの融合戦略を掲げており、パソコンの端末だけでAI処理をこなすことができるエッジAIは、その構想にぴったりとはまっていました。そのカギと考えていたのが半導体。そうした中、パソコン向けでは主流でなかったアーム社の設計技術を採用したのです。

香港調査会社のカウンターポイントは、アーム社の設計技術を採用したほうが「AIの処理をより効率的に実行できる」とし、パソコンの出荷シェアでアーム社の技術を採用した半導体が2027年までに25%と足元から倍増すると推定しています。

エッジAIは、パソコンやスマホだけにはとどまらず、自動車や機械などAIを用いた高度な処理を求められる領域は多いと考えられています。

■ソフトバンクが描く戦略にアーム社が欠かせない

AI関連株の急騰でアーム社の時価総額はおよそ1400億ドル(約22兆円)に。そのアーム社の株の約9割を握っているのがソフトバンクグループです。

孫正義会長兼社長は「AI革命」を掲げ、AIや半導体、ロボティクスの最新技術を融合し、あらゆる産業に革新をもたらしたいと考えています。その中核となるのが、大量のデータを効率的に処理できるAI向け半導体の開発・製造事業。その事業への参入を皮切りに、データセンターやロボット、発電事業にも事業を拡大する計画を温めていると言われています。その投資額は最大で10兆円規模

そのAI向け半導体開発についてアーム社内に新部門を立ち上げ、数千億円規模が見込まれる当初の開発資金は、アームの自己資金とSBGの支援でまかない、大量生産の体制が確立した後は開発部門をアームから切り出し、ソフトバンクグループ傘下に置くことを検討しているのではないかと言われています。

ソフトバンクがAI向け半導体分野への参入を検討するのは、この分野の加速度的な市場拡大が見込まれるため。カナダの調査会社プレシデンス・リサーチの推計では、2024年に300億ドル(約4兆6500億円)程度の市場規模が、2029年には1000億ドルを超え、2032年には2000億ドル超に達すると推定しています。

AI向け半導体のシェア首位はエヌビディアですが、需要の急拡大で供給が追いついていない状況で、ソフトバンクは収益拡大の余地が大きいと見ていると考えられます。

孫正義会長兼社長が描いているAI革命が、今後どのように進んでいくのか、とても興味深いです。ソフトバンクの動きとともに、アーム社の動きを今後も追っていきたいと思います。

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