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No.4 夜明け前

世界的な新型コロナの流行が始まり、世界中の企業でテレワークが主流となるなか、毎年行っていた展示会への出展が絶望的になり、新規顧客が減っていきました。同時に、研究開発を控える企業が増えてきて、インクのサンプル販売も減っていったのです。さらに、当初の売上計画では黒字化を達成できそうだった顧客とのビジネスにおいても、新規事業の難しさから、なんとインク受注が当初予測の1/10以下に落ち込んだのです。大打撃でした。しかし、ピンチはチャンスだったのです。
 
そうだ、もう一度、立ち帰ろう。そう思った私は、銀ペーストを置き換える可能性でずっと心に引っかかっていた、心電図電極のI社長に数年ぶりにコンタクトを取り、再び会社に訪問しました。そこで、彼らの商品の製造過程を一つずつ、詳細に教えて頂きました。ここまで詳細な情報を頂けるのは、I社長の友情に他ならなかったのです。すると、銀ペーストを用いる生産に極めて大きな問題点があることが分かったのです!銀ペーストはマヨネーズくらいのドロドロの素材で、スクリーン印刷という方法で印刷されます。昔に年賀状を作った方は覚えているかもしれませんが、プリントゴッコと似た方法です。
 
プリントゴッコのインクが詰まった経験がある方はいらっしゃらないと思いますが、銀ペーストは事情が異なります。銀ペーストには、比較的大きな銀の粉が含まれています。これが目詰まりするので、なんと数十枚の印刷のたびに、わざわざシンナーでスクリーンを洗浄する必要があったのです。作業環境も有機溶剤の臭気が充満し、入りたがらない従業員もいるというのは納得できるものでした。それだけでは無く、スクリーン印刷はスクリーンを固定する際のズレ、印刷時にスクリーンがゆがむ事によるズレ、フィルムをセットする際のズレ等がいくつも重なり、熟練の技術が必要とされる手法だということも分かりました。そのため、I社長の会社では、本当は一連のプロセス全てを同じ工場で行いたいのに、熟練した作業員が近くに住んでいる場所から移転させることができず、複数の工場で分断されていたのでした。スクリーンの保管場所も問題で、さらに高価なスクリーンは少しの衝撃で裂けたり、へこんだりして使えなくなる繊細なものでした。こうした銀ペーストの問題はI社長の会社だけでなく、どこでも同じ問題を抱えていたのです。
 
こうした状況は、C-INKのナノインクを使うインクジェット生産を導入することで全て解決できたのです。C-INKのナノインクは安定的に、しかもインクだれすることなく正確なインクジェット印刷を可能とする、世界唯一の材料です。印刷のズレは生じません。さらに、インクジェットは画像ファイルから即座に印刷できます。スクリーン印刷のように、スクリーンを外注して納品してからでないと生産できない、そんなタイムロスはありません。インクジェットでは、同じ生産機で多品種生産も可能になります。印刷速度も問題ありません。C-INKのナノインクは水性インクなので、作業環境を劇的に改善できます。ようやく、世界市場1兆円と言われる銀ペーストをどんどん置き換えていける、そんな確信を持った瞬間でした。
 
こうした確信が得られたのは、C-INKが地道に積み重ねてきた製品の改良や、産業用インクジェットメーカーとの協力体制構築が背景にありました。いつのまにか、岡山大学の研究室からC-INKに入社してくれた藤原さんはレシピ開拓の鬼となっていて、彼女が作り上げたレシピのおかげで、製造能力を倍増以上に増やすことに成功していました。樫崎君は顧客の要望に応じたサンプル作成やインク開発だけで無く、製品製造も担当して、まさに彼がいなくてはC-INKが回らない人材へと成長しました。副社長の塚田は地道に製造装置の改良を続けて、スイッチを入れれば無人でもナノ粒子が製造できるまでに完成度を高めていました。加えて、ISO9001と14001という国際規格取得の際には中心的な働きをしました。専務は博士取得者として開発のサポートをしながら、裏方として会社を支え続けました。皆で作り上げたC-INKの地力があったからこそ、来るべきタイミングがガッチリ噛み合ったのです。
 
そうなると、あとは目標に向かって進むだけです。インクジェット量産装置は国内パートナー企業との連携で顧客に提供できる目処が立ちました。しかし、量産に進む以前に、まずは顧客にインクジェットに慣れてもらう必要がありました。インクジェットは新しい方式で、どの顧客もほぼ実験機すら持っていない状況だったのです。そのため、インクジェット実験機を何としても普及させる必要がありました。もちろん、国内にはインクジェット実験機を製造できるメーカーがいくつもあり、品質も良いのですが、いかんせん価格が高く、少なくとも1000万円程度は覚悟しなければならない状況でした。もう一度、C-INKが責任をもって、実験機を供給できる体制にチャレンジしよう。そう決断しました。とはいえ、C-INKは創成期に実験機の自社開発に失敗しています。その経験から、自社開発ではなく、ファブレスでの展開に方向転換し、世界中のインクジェット印刷機メーカーへのコンタクトを開始しました。すると、極めて精度の良い印刷ができるにも関わらず、国内引き渡し価格200-300万円という、まさに価格破壊を実現できる目処が立ったのです!!
 
よし、ここからだ!ガンガン行くぞ!!イークラウド波多江社長との出会いは、こんなタイミングだったのです。初めは、クラウドファンディングってなんか怪しそうだなと思っていました。とはいえ、せっかくの機会だし話だけでも聞いてみようと思い、初回のzoom面談をしました。そうしたら、私の見方は一変したのです。まず、波多江さんは、令和の金融業を作りたい、そんな情熱を持った人でした。そんな人、好きに決まっています。それに、株式投資型クラウドファンディング(ECF)は、これからのベンチャー企業の成長を支えることができる、可能性に満ち溢れたものに思えました。IPO(新規株式公開)を目指すC-INKにとって、イークラウドは大和証券グループとの深い提携などをしており、十分に実現可能だと分かりました。
 
早速、C-INKの経営会議での話し合いが持たれました。役員には、イークラウドではなく、ECF国内最大手で募集するべきとの意見が根強くあったのですが、波多江さんに魂のこもった提案を何度もしていただき、目標額達成をコミットする最高に力強いイークラウドのみなさんに、C-INKの将来を託す決断をしました。そして、その決断は間違っていなかったのです。この記事が世に出る今、たくさんの方に応援いただき、すでに目標額を突破し、さらに応援してくれる人が増え続けています。C-INKの公開資料を作っていただいたのは、なんと文系のみなさんでした。これほどまでに分かりやすい資料に落とし込むのに、徹底的な技術への理解、分かりやすい表現のご提案など、献身的な働きをして頂きました。とにかく、みなさんの情熱のすごさを目の当たりにして、C-INKだけでなく、ポテンシャルを持つ全てのベンチャー企業にもっとECF、そしてイークラウドを知ってほしいと思い、この記事を書いています。
 
来年度、2023年には、米国NASDAQ上場企業での航空機制御システム向けタッチパネルの生産にC-INKが採用される、そんな最後の詰めの段階に来ています。航空機向けですから、非常に高い信頼性が必要とされる製品に、ゼロからスタートしたC-INKが採用されるまでたどり着くことができました。この応用も、銀ペーストの代替です。波多江さんからのご紹介で、銀ペーストビジネスを置き換えたい、そんな情熱をずっと持っていた商社の社長さんたちと意気投合し、また新しくパートナーとしてジョインしてくれました。C-INKを必要とする顧客は世界中に沢山います。ECFは、ワンピースのルフィたちのように、皆でこの航海を楽しむのです。C-INKの航海は、本格的に大海原に出る、そんなタイミングにきました。みなさん、この航海にジョインしてみませんか!

イークラウドさんで株式投資型クラウドファンディングを募集しています。是非ご覧ください。


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