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席替えどうしてます?・・・くじでいいんじゃないですか?
ずっとずっと若い頃、子どもが下校した後の職員室で、子どものネームプーレート(黒板に貼るマグネットシート)を机上で動かしながら思案している先輩の先生を見かけました。(この先生、すごくいい先生、まじめだし、やさしいし、子どもたちにも大人気、ボクもあこがれていたし・・・)
その先生は、子どもたちの座席配置決めは、教師の学級経営戦略の要でもあり、教師の大切な任務だと考えています。たしかにサッカーやバスケなど勝ちにこだわるチームプレーでは、配置決めは監督の裁量の是非が問われます。
学級でも視力・聴力・人間関係・・・その他も諸々の要因があり、配慮が必要な場合はあります。
しかし、その裁量が時に、過剰になってしまうこともあります。
・あの子は、落ち着きがないので、前の方のろうか側にしよう。
・あの子は、学級委員だから、全体が見渡せる後ろの中央にしよう。
・あの子とあの子は、となりになるとすぐにおしゃべりしてうるさいので、絶対にくっつけないようにしよう・・・
苦労して出来上がった座席配置がうまく機能した場合は、それで1年間固定し、うまくいかなかったときは、また新たに座席決めを行う・・・こんな感じかな?
ボクはというと・・・(確たるモノはないので・・・こんな感じ ↓ )
4月当初は、とりあえず、男女混合名簿順。一週間で、顔と名前を一致させ、子どもたちの特性を、身体面、生活行動面をある程度つかみます。
なお、机は標準的な一人用を想定しています。今は、感染予防への配慮で、机は1つずつ離すことが多いと思いますが、以前は机は2つずつペアにしていました。
こんな感じで、次はこんな展開で・・・
「新しいクラスになって・・・日たちました。みなさんの協力のおかげでとってもいい感じになっています。・・・・・というトラブルもあったけれど、全てみんなの成長につながっています・・・」
「今の席にもなじんできて、名残惜しいけれど、変化することも大切だから・・・席替えをします!」
「やったあ!」と叫ぶ子もいれば、ちょっぴり不安そうな子もいます。
「席は、先生が決めるの?」
「先生が決めるのではありません。」
「じゃあ、ぼくたちが決めるの?だったら好きな子どうし!」
「みんなでもありません。」
「????」
「それは神様というか、運命というか、偶然というか、つまり くじで決めます。」
「約束があります。」
「くじだから、どこになるか分かりません。だれと隣同士になるかも分かりません。はじめて隣になる子もいれば、前と同じ場合もあります。座る位置は変わっても、隣の子はまた同じという場合もあります。」
「でも、どこになっても、だれとペアになっても、大げさに喜んだり、がっかりしたりすることを表情や言葉に出してはいけません。なかなか難しいことかもしれませんが、これができることが大人への第一歩なのです」
「席替えは、朝の会の5分以内で、完了します。最初は説明しながらやるのでもう少し時間がかかります。それでも10分かな」
自分でいうのは何ですが、ボクは時間合理主義者です。さっと済ませて、授業時間をきちんと確保したいのです。
<やりかた>
子どもたちの名前が書いてある名札カード(名刺の半分サイズ)を、裏向きにして、今、子どもたちの座っている机に一枚ずつ配ります。
「このカードは、合図があるまで、見てはいけません。」
全部、くばり終わったら
「いまから、カードに書いてある名前を、他の人には絶対に見えないようにそっと静かに見ます。声を出してはいけませんよ・・・名前を覚えたら、カードは裏向きで机の上におきます。」
「今からが難しいですよ・・・自分の席にくる子、カードに書いてある名前の子に、そのことを知らせます。無言テレパシータイム!」
「ただし声を使わず、目と手振りだけで伝えるください。伝えると同時に、自分もどこに行くのかを誰かから伝えてもらってください。」
「これはなかなか難しいので、最初はうまくいかなくてもいいですよ。」
「自信がない子は、教室の後ろで待っていてね。」
・・・その子たち向けの追加の無言テレパシータイム
「それでは、自分の席だという所に移動してください。」
「カードを表向きにしてください。 あたっていましたか?」
「まちがえた人は、正しい席に移動してください。」
「それでは、いったん元の席にもどってね。今まで隣だった子や、近くだった子に、お別れ?あいさつしてね。」
「では、机を移動させます。 安全第一で、静かにね。」
***小さな子にとっては、机は重いので、今までのペアで運ばせるなど配慮が必要です。・・・ここでけがをさせたらシャレにならない・・・
「さあ、新しいペア・・・あっ、また同じになった人もいるけど・・・よろしくねのあいさつを・・・」
こんな感じです。
このような活動を定期的に繰り返していくと・・・どんな効果があったのでしょうか? ご想像にお任せします。
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この「くじで決める席替え」・・・子どもたちには、好評ですが、現場の先生方にはなかなか認められません。ときに批判もされました。
席替えだけなく、ふだんの授業も遊び心満載のやり方がボク流ではありますが、いつもいつもうまくいくわけでもなく、試行錯誤の連続です。・・・ボク自身も悩みつつ、迷いつつやっているわけですが、外から見ると、ボクは子どもたちのご機嫌取りながらお気楽に、ある意味いい加減にやっているように見えるのかも知れません。・・・ボクは、いい加減が、良い加減・・・なるようになるから、まあいいでしょう・・・そんなのどっちでもいいでしょ・・・こんなめんどうなこと、ボクはやらないよ・・・なんてよく言っているし、板書の字も汚く、計画的でもないので(板書がきれいだけで、授業を判断する先生って結構いますので)低レベルな教員という烙印を若い頃に押されて今に至っています。(期待されていないおかげでいろいろなことが自由にできるというメリットもあります・・・究極のポジティブ変換?)
さきほど、席替えで使った名前カードは、くじとしても多用します。
この名前カード・・・あみだくじをもじって、なみだ(涙)くじ(うれし涙か悲し涙か?) と呼んでいます。
グループ決め、代表決め、授業中の指名、あまった給食デザートをだれがもらうか・・・ボクが使うだけでなく、子どもたちもけっこう使います。
くじの結果だから、仕方が無い、その結果を受け入れよう・・・
先生があれこれ思案して、心配して先回りして、操作するのではなく、運を天に任せよう・・・その結果を受け入れ、その中でベストをつくそう!
競争社会、お節介社会に疲れてしまったら、なみだくじもいいですよ。
次回・・・(明日とは限りませんが)
スクラッチで 「運命の出会いくじ」を 紹介します。スクラッチの使い方としては、かなり珍しいかも?
2022/02/12 カネッチ