梨食べたい人の自戦記解説3局目その3
初めましての方は初めまして。
そうでない方はいつもありがとうございます。
『梨食べたい』です。
今回は自戦記解説3局目の続きとなります。
前回までの記事はこちらです。
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わずかな綻び
第6図以下の指し手
☗7七桂☖8一飛☗6五歩☖4五歩☗5六歩☖4四角
(第7図)
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第7図から飛車を追い返されたので、攻めが無くなったこともあって☖4五歩としました(第7図A)。しかしこれは疑問手で眠ってた角銀桂が目を覚まします。一例ですが、以下のような順で先手有利となります。
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第7図A以下の指し手
☗4五同桂☖4四角☗5三歩☖6二金☗3七角
(第7図B)
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先手の攻めが始まると角銀桂の活用が図れます。第7図Bまで進むと、☗6四歩~☗6五歩とされて陣形が不安定になります。先手玉は最下段にいるのが大きく、互いの攻めが到達するまでの手数が違います。後手の攻めが遅いので受けに回りますが、一方的に攻められ続けると勝つのは困難です。機を見て反撃したいところですが、この場合はノーチャンスです。
本譜は☗4五同桂ではなく☗5六歩でした。取ると☗5五歩とされますが、☖4四角としておけば銀を守れる上に先手の右桂が活用しにくくなります。
わずかな綻びは見逃されました。
歩以外の駒を求めて
第7図以下の指し手
☗5九飛☖5六歩☗同金☖5五歩☗4五金☖6七歩
☗4六金
(第8図)
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先手は5筋に戦力を集めました。対して後手はあっさりと歩を取り、駒損覚悟で☖5五歩と打ちました。この誘いに先手が乗った場合は☗5五同飛まで進みますが、☖6六銀とされて攻めの足掛かりを作られてしまいます。
それを嫌がった先手は☗4五金として銀桂の活用を見越してきました。後手は☖6七歩として金駒が入ったときに活かせるように楔を打ちました。金駒を与えるのを嫌がって指したのが☗4六金でした。
ここで後手に良い手があります。
良い手はあるだけじゃ意味がない
第8図以下の指し手
☖5三金寄☗4五桂☖4三金☗5三歩☖6二金☗3七角
☖2二角
(第9図)
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第8図で☖5三金寄として歩を払いましたが、ここは☖7五歩とする方が良かったです。一例ですが、以下のように進んで後手勝勢となります。
第8図以下の指し手2
☖7五歩☗同銀☖5三角☗6六銀☖8七歩成☗同歩
☖8六歩☗同歩☖同角
(第9図A)
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後手の狙いは☖6五銀です。部分的に損しますが、角が間接的に飛車を睨んでいます。☗8七歩としても構わず☖6五銀とします。☗8六歩には☖6六銀、☗6五同銀には☖7七角成~☖6五桂があります。
従って飛車を逃がすしかありません。それでも後手は☖6五銀から攻め続けます。駒損ですが、駒の働きが勝っているので攻め潰せるでしょう。
本譜は自陣を気にし過ぎました。その結果、先手が盛り返して互角以上にしています。まだまだこれからですが、先が長い展開になりました。
その3はここまでになります。その4(最大のチャンスと先手の粘り)に続きます。