歴史だろうと現代だろうと
2001年9月11日21:14、アメリカでテロが起きた。
歴史的できごとが現在進行形で起きていることを自覚し、フワフワした感覚を覚えながら、テレビを見ていた。見ている中で、2機目が突っ込んできた。
約3000名が亡くなり、その後は、アメリカが報復としてアフガニスタンやタリバンを攻撃。
テロ後に始まったアフガン紛争は、2001年から2021年にかけて約20年続いた。
約20年。始まった時に生まれた子が20歳になる時間。
アフガニスタン軍は約66,000名、タリバンは約52,000名、民間人約48250名が亡くなった。
アメリカ兵含め多国籍軍としては合計約7000名ほど亡くなった。
そして、2021年、アメリカ軍がアフガニスタンを撤退後、タリバン政権がすぐに復活し、独裁軍事政権が樹立し、現在に至る。
アメリカを始めとした多国籍軍の戦死者はアフガン側と比べれば、少なく感じるが、戦地から帰ってきた者の自殺者数は、30,000人を超えるそうだ。
つまり、戦地での戦死者の約4倍以上が、帰ってきてから自死を選択したということである。
また、現在生存している者の、3割以上はPTSDを抱え、通常の生活を送れていないそう。
この戦争はなんだったのだろうか。
復讐心が強く、アメリカ兵の中で最も戦地で結果を出した(射殺した人数160名以上)者は、帰ってきてからずっと戦地の光景がフラッシュバックして、PTSDになり、お酒に溺れ、何とか復帰するためにリハビリを帰還兵と共に行う中で、帰還兵仲間が発狂しながらその者を射殺した。
一方で、イスラムに恨みのあるアメリカ人は、怒りからアメリカ国内でイスラムの方を無差別に射殺、怪我を負わせた。目を打ち抜かれながらも助かった者は、加害者のアメリカ人を気遣った。なぜなら、イスラムの教えから考えれば、その者は善悪を判断できない精神状況で、その者を死刑にしたところで、この世界は何も変わらない。だからこそ、その加害者には善悪がしっかりと判断できるよう反省して貰うために、死刑ではなく減刑してほしいと願い出た。
どんだけ大義を並べても、どんだけ武器が強くても、戦争としては勝ったとしても、戦争という手段は、この世界を間違いなく良い方向には向かわせない。
今現在も、世界のいろいろな所で不条理に殺されてしまう者がいて、周りの者たちには恨みが募り続けている。一つの戦争が終わっても、それは次の争いに繋がっている。
「歴史を勉強して何か意味あるの?」
と思う生徒がいるのは分かるが、それらを知ろうとしない(勉強しない)、
もっと言えば、知る必要があると思えていない先生や生徒は、
9.11テロが起きたのは、頭の狂った者が起こした事件とした思えないだろう。
今の学生は、そもそも9.11も知らない世代かもしれないが。
『2001年 9.11 アフガニスタン戦争』
と暗記するのではなく、その前後には、どのような人たちの想いと苦しみがあるのか、
それが今、どこにどのように繋がっているのか。
日本人は海外の人が原爆という悲惨な出来事を知ろうとしなければ怒るかもしれないが、日本人は世界のことをどれくらい知ろうとしているのか。
相手のことを分からない、知り尽くせないことは分かってたとしても、分かろうとする努力(自らの当たり前を問い直すこと)をお互いにすることでしか、この連鎖からは抜け出せないのだと思う。
現代の出来事だろうが、歴史の中の出来事だろうが、それが今の社会にどのように繋がっているのかを考えることが、社会科の役目だろう。
NHKを見ていて、思ったこと。