ネオリベはなぜ叩かれるのか

新自由主義(ネオリベ)は、世間的にはよく叩かれる対象になる概念である。
そもそも、自由主義との違いは、政治性か経済性かの違いが大きい。
自由主義も経済を含んでいるが、どちらかと言えば、個人に対して国が自由を制限しない方が良いとする指向の概念であり、新自由主義は、国が企業を経済的に制限せずに、自由市場に任せるという概念である。
小さい政府と言われるのは、これらの自由主義、新自由主義的な政府を指す。

出来るだけ国が経済に手を加えなければ、神の見えざる手によって、経済の自動調整機能で、
市場経済がうまく回るというネオリベの考え方は、何が問題なのだろうか。

そもそも新自由主義を唱え始めた20世紀のフリードマンは、シカゴ大学で自分の弟子(学生)達をチリに送り、
シカゴボーイズとして、ネオリベ的な政策を実践した。それによって、資本家は大きく資本量を増やし、資本主義は加速した。これをチリの奇跡と呼んで、ネオリベの成功例としたが、一方で、格差が大きく広がり、貧困層が増えた。

資本主義の特徴として、市場にとってメリットがある事しかインセンティブがない(自分が良いと思うかではなく、市場の評価によって儲かるかどうかで投資メリットが決まる)→儲かることが正義が成り立ってしまう。
つまり、環境問題、貧困問題は勝手には解決しない。

ただ、ネオリベ派の人はきっとこう言う。
「SDGsなど、資本を環境や社会課題に向ければ、課題は解決するだろう。資本がなければ、社会は何も変わらないし課題も解決しない。社会貢献するにも、クラウドファンディングするにも、全員資本を集めている。なぜそれらに集まるかといえば、資本が資本を生み出し、そのビジネスを資本が動かすことで余剰が生まれるからである。そしてその余剰が、この社会全体を包摂している。」

これは間違いない。

ネオリベ派を叩く人は、資本主義の包摂力に間違いなく恩恵を受けているが、この恩恵を忘れがちなのでネオリベ派の人たちは、話にならない。と思ってしまうんだろう。

ただ、やはりネオリベを叩く人はこう言う。
「ネオリベの奴らが、しっかりと分配をする仕組みの中で経済を動かしてくれるのであれば、確かに社会は好転するだろう。でも、ほとんどの企業、資本家はタックスヘブンのように分配の仕組みから逃れているじゃないかと。労働者を搾取するだけ搾取して、自分の肥やしにしているだけだろう。その為に、国と繋がり、自分たちに有利の政策、制度を作っている。その代表がT中さんだろうと。規制緩和して、民営化して、資本のあるグローバル企業に資本を流す。この売国奴が!」

ただまたネオリベ派は、下記のように言う。
「ESG投資などのように、環境にも社会にもガバナンス的にも良い企業が伸びていく社会を作ろうとしている。つまり、悪質な企業や資本家は外されていく社会を作ろうと自主規制も行なっているし、それらを世間がしっかりと評価できる仕組みはある。それができないのは、君たちが学ばないで怠惰だからだろう。そして、私たちは、性善説であり、人は助け合う生き物だと思っている。だから資本主義が進めば進むほど、その性善説の通り、より多くの人を包摂できる社会になるだろう。実際にもファクトフルネスでも証明されたように、貧困、飢餓の人口が劇的に減少している。逆言えば、反ネオリベ派の方々は、性悪説なのですね。社会はどんどん悪くなっていくと信じている。だから誰かのせいにしたがる。自分のせいとも思わずに。
全て自分のせいだ、怠慢だとは言わないし、構造主義的に仕方がないのはわかるが、多くの部分で機会均等は作られてきている。その機会をどの程度ものにしようと努力してきたのか。文句だけ言っているだけなのは君たちじゃないのか。」

おそらく、ここまで言われると言われるとネットでネオリベを叩いている人たちは言い返せなくなってくる。

ネオリベ派の意見は、実力主義で、成果主義でもあり、説得力がある。
では正しいのか、と言えば、どうなのだろうか。

YouTuberやインフルエンサー、大きな資本を転がすだけでFIREした人たちなどは、
現代の資本主義プラットフォームで、フリーライダーをしているだけであり、社会に対してそれらの資本の価値をほとんど還元していない。自分の欲の肥やしにしている人が多い。(そんなひとばかりではないが)

構造的に平清盛などからそうだが、圧倒的な権威と資本を持つ人は、こうなってしまう人は多い。つまり、資本とは構造的にそのような、私欲を肥やしてしまう人を産みやすいのだろう。その原因は別途考察する。

自分の在り方(利己)が利他と同義としてエネルギーとなり、社会に分配されていく、そんなエネルギーの循環を作り出せる人を、本当のエリートだと考える。
つまり、ネオリベ派の人たちが、本当のエリートであれば、フリードマンが想定した自由市場経済が成り立つんだと思う。

そのようなエリートは、どうしたら育まれるのか、どのような要素があるのか、それに関してはまた追々考える。

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