少数株主としての戦い(敵は身内にあり)④
1.前回のサマリ
みなさま、こんにちは。前回、「少数株主としての戦い(頼む弁護士先生)③」で、少数株主として、相手の会社(祖母が創業した会社なんですけど。。。)と会社乗っ取り疑惑をあるX氏(その会社の代表取締役)と戦うことを決め、弁護士を味方にすべく、弁護士ドットコムなどから、何名かの先生へ法律相談を行い、敏腕弁護士C先生へ依頼することに決めました。
2.株主総会案内到着
C先生へ事件解決への委任契約する方向で母へ打診し、異論なく手続きを進めることで合意が取れました。母は遠くの都道府県へ住んでおり、弁護士へ委任契約締結に当たり、本人の意思確認をする必要があることから、はるばる、大都会へ訪問することとなりました。ちょうどそのころ、会社から株主総会の案内が届きました。X氏が代表取締役になったのは平成18年であり、届いたのは平成30年、この間1度しか総会の案内がなかったことから、前回、定款や計算書類を出せと言ったことに対して、相当慌てて準備をしたものと推察されます。
なお、株式会社は「会社法296条」によって、会社の最高意思決定機関として最低年1回開催しなければならず、取締役の選任・解任、計算書類などの承認を得る必要があります。実は、弁護士曰く、中小零細企業では株主総会を開催していないところ多く、責任追及をするうえで一つの材料となりますので覚えておいてください。
3.味方と思っていた監査役が実は敵だった
地方に住んでいる母が弁護士へ面会するため、大都会へやってきました。もともと、大都会で生まれ育った母であり、ホームに戻ってくる感覚です。そこで、まず、以前、信頼できる方に会社の監査役になっていただき、会社清算の手続きをお願いしておりました。祖母、母もその監査役家族とも家族ぐるみで良好なお付き合いしておりました。しかし、監査役の方が亡くなられて、いつの間にかその義理の息子が監査役に就任しておりました。その新監査役を「Y氏」とします。飲食店や娯楽関係の経営を当時の監査役から引きつ継ぎ、傍ら祖母の会社の監査役をやっておりました。当然、母はY氏へ会社のX氏の対応や今後のことについて相談し、弁護士を使って解決をことを事前に報告しました。いや、べらべらしゃべってしまったのです。その会話の中で、Y氏やその妻などから、「どうしても、こういった場合(株主が会社と戦う場合)は会社が有利になりますからねー」と言っていたことを母が私に話をしてくれました。母はそうなんだという感覚しかなかったのですが、この話を聞いて著しい違和感を感じました。なぜなら、こちらの味方をしてくれるだろうと思った方が、遠回しにそれを否定しており、後にわかることですが、監査役Y氏は、X氏(代表取締役)とべったりくっついていており、もちろんこの情報は筒抜けとなっておりました。こういった違和感、その違和感には理由があり、その違和感こそが危険信号なのです。その違和感を大事にしてください。そして、戦う場合、相手に準備する時間を与えないようにしてください。そうすればミスをするので、そこから矛盾を見つけて攻撃ができるからです。
4.弁護士と面会
その後、母と弁護士と面会し、委任契約に署名を行い、正式に契約締結を行いました。祖母がもっていた計算書類(X氏が就任後の平成18年の計算書類)を提出し、偽の株譲渡承認書を提出し、計算書類をみるとびっくり、現預金が約1億円、土地3千万円、負債ほぼゼロ(少額の買掛金)と、借金がなく現金が潤沢な零細企業であったのです。しかも、X氏(代表取締役)以外に従業員はX氏の息子、なるほど、会社を乗っ取りしたくなるわけです。普通に考えれば誰でもわかることかなと。
<振り返って思うこと>
法律が絡むことについて、株主として戦うことを決めたら、その事は誰にも漏らしてはいけません。信頼できると思っていた人が実は敵の味方ということが事実あり、珍しいことではないかと思われます。事前に情報が漏れてしまうと、相手に準備する期間を与えてしまい、戦いとしては不利に働きます。少数株主は、立場が弱く、正面から戦っても、負ける可能性が高いので、短期間かつ集中的に戦うことが重要です。特に違法行為の証拠を会社が所持しているケースがあり、隠蔽されてしまう可能性があります。よって、相手に不意打ちを行い、時間的な猶予を与えず、猛烈なプレッシャーをかけ続け、相手のミスを誘うようにしてください。まるで、ステルス戦闘機のように。
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