【神戸三田ブレイバーズ】競争と信頼
Case1 柏木寿志 他球団のライバルへ
「今年は盗塁王絶対取りたいんですよ!」
無観客で行われた5月18日のダブルヘッダーで、2試合で6盗塁を決めた二瓶洋輔が「盗塁王を取る」と宣言した直後に、待ったをかけたのが隣にいた柏木寿志だった。
その日から出塁すればとにかく走った。いつの間にか盗塁の数は一気に増えていた。
「何かで1番にならないといけないとなったときに盗塁がいいかなと思いました。次の塁は狙っていこうと思ってます。思い切りがないとできないですし、試合に入り込まないとできないです。見せるポイントにつながると思って力を入れています」
6月22日の06ブルズ戦、2回に、相手のエラーで出塁すると、言葉通りに二塁への盗塁を決めた。さらにその直後、三塁への盗塁を試みこれも成功。その間に送球がそれたことで柏木はそのまま先制のホームを踏んだ。
(ベンチから出迎えられる柏木)
「(盗塁トップの)大神(康輔・堺シュライクス)さんとはちょっとが差がついてますけど、走れるときはいつでも走ります!」
(打撃ランキング)
ホームランも現時点でリーグトップ。魅せる武器を多くしてアピールを続けていく。
Case2 小倉寛夢 チーム内競争
「やっぱり試合に出れないのは悔しいですよ」
4球団中最多の選手が在籍し、入れ替えも頻繁に行われている神戸三田ブレイバーズ。そんな中で捕手の小倉寛夢がふと漏らした。
「他の球団の中のいい選手から『なんで試合出てないの?』って聞かれるのが今は辛いですね」
開幕スタメンを射止め、フェンス際のプレーも全力でぶつかる。しかし、田渕航平を筆頭に若いキャッチャーも台頭している。小倉は抹消さえされていないが、捕手陣の入れ替えも激しい。
「去年は小山(一樹)さんがいてそもそも試合に出られる機会が限られていたんですけど、やっぱり試合にもっと出たいですね。そのために途中出場でも、代打でも、しっかりアピールできるところでアピールしないといけないですね」
イニングを投げ切った選手たちを率先して出迎え、ベンチでも声を出す、投手とのコミュニケーションもしっかりとる。この試合も9回に小牧顕士郎投手とともに途中出場。しっかり無失点に抑えてみせた。
「抑え捕手ってやつです!」と胸を張った。
与えられた出番で輝く、小倉は出番を見据えて準備を続ける。
CASE3 ブルペン陣と先発投手陣
神戸三田ブレイバーズの投手陣は近くで見ていると楽しい。
いつも誰かが笑っているし、とんでもなく声が出ている。
そんな投手陣に異変が。
友田大悟投手が泣いている。
と思ったら笑っていた。まさかの泣き笑いだ。
犯人はこの人。中村巴瑠投手。MAX144キロのストレートを誇る右腕だ。
その中村が放つ言葉一言一言が、まるでその球威のあるストレートのようにズバズバと友田のツボに入ってしまい、涙が出るほどウケている、というわけだ。
(念のため。マウンドに上がれば真剣な表情の中村)
ちなみに以前から何度も何度も友田が「笑い泣き」させられてるところを目撃している。この日、ベンチが静かになったのは、リリーフ陣が肩を作りにブルペンに行ったわずかな時間だった。
「面白い人、という風にしてもらってます」と当の中村本人は言うが、中村を中心にブルペン待機のメンバーはとても明るい。
「中継ぎの絆を感じてます!」と中村は笑顔で話した。
そんな中継ぎ抑え陣を見て先発投手はどう思っているのか。西村太陽投手に聞いてみた。
「リリーバーの雰囲気がいいので、僕も含め先発が初回から全力で投げられるんだと思います。右には大津(直希)さん、小牧さん、中村さんがいますし、左も來間(孔志朗)さんがいます。早い回で降りることになっても友田さんが長い回を投げてくれるので、僕は安心してマウンドに立つことができます」
今季、西村を筆頭に、小笠原智一、式田悠生と安定した先発投手陣を誇る神戸三田ブレイバーズ。そのバックには、笑って頼れるリリーフ陣がいた。
(基本、ブルペンは笑顔でいっぱい。ブルペンが外にある球場も多いので、ぜひご注目ください)
(取材日:5月9日、5月18日、6月22日 取材:SAZZY)
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