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【06ブルズ】波乱万丈の5年間 白戸颯

5年という年月

2017年、当時BASEBALL FIRST LEAGUEと呼ばていたこのリーグの試合を始めて見に行ったときに、彼はファーストを守っていた。

しかしこの後、投手にコンバートされ、長年06ブルズのブルペンを支えることになるのだから、先のことはわからない。

それが白戸颯選手だった。

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(2017年、ベンチでチームメイトを出迎える白戸(写真中央))
一塁を守る白戸


波乱万丈

10月26日、今季最終戦、円陣は当初虎弥太捕手が務めるはずだった。しかし、「ここはやっぱり白戸さんで!」と水を向けたとたん、早くも泣き出した。

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朝からずっと泣いてましたよ、というのはチームメイトの談
なお、最後のミーティングで遊馬ジェシー選手に再度泣かされたという

引退を決めての試合。そしてマウンドへ。
1点は取られたものの、そのあと味方が逆転。最後の登板で今季初勝利を挙げた。

7回に登板した白戸
登板後、同期入団の虎弥太と握手を交わす白戸

「5年間いろんなことがありましたねぇ」
試合後、一通りのことを終えたあと、白戸が語ってくれた。

「トライアウトで野手として合格して、でもレギュラーになれなくて。当時の村上(隆行)監督から投手をやってみないかといわれて。野手としては戦力外だったのかなと思っていたのですが、最後のチャンスだと思って投手に転向することを決めました」

こうして投手として出番が増えてきた。そして2018年の白戸は、結果的に「二刀流」という形でシーズンを過ごした。代打などでも試合に出て、投手としても出る。本人は「どっちつかずのシーズンだった」と振り返った。

そして3年目となる2019年、ようやく投手一本での起用となった。起用法はクローザー。140キロを超える速球を生かし10セーブを挙げ、最多セーブのタイトルにも輝いた。

しかし4年目の春先に故障、そのあと病気にもなり、思うように練習ができない時期が続いた。
成績もついてこず、苦しい1年になった。

「肉体的にも精神的にもしんどかったですがここでやめたらもったいないなと思って今季も続けることにしました」

今季はキャプテンに就任し、自分のこと以外にもチーム全体のことを見るようになった。
「孫入(優希)がチームに帰ってきたんで、途中からは投手だけを見るようになりました」
と言いつつも、投手からも野手からも慕われた。

「本気でやる野球は今年が最後だなとは思ってました。しんどいことも色々ありましたけど、好きを突き詰めて5年間プレー出来てよかったです」

虎弥太の待つマウンドに向かう白戸

この試合、同じく2017年に入団した虎弥太、宮前晴輝も最後の出場を果たした。
「同期の3人はプライベートでも仲が良かったんでこの3人でやり切れてよかったなと思いました」

ある日の試合前、宮前に膝枕をしてもらう白戸

悔いはない

今後は指導者の道に進むことを希望している。
「少年野球から指導を始めていければなと思っています。今季キャプテンになりたいと思ったのも、今後指導者になるのに活きるかなと思って希望しました。指導者になるための勉強を積みたいと思います」

こうして関西での現役生活を終えた。野手から投手への転向、タイトル獲得、怪我、病気、キャプテン就任……酸いも甘いも経験した白戸は、きっと良い指導者になっていくだろう。

「やり切りました!悔いはありません!」
そう言って晴れやかな表情でグラウンドを去っていった。

現役生活が終わっても、人生は続く。次の道での白戸の成功を祈りたい。


(文・写真 SAZZY)

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