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ブルズの「打たれない投手」と堺にやってきた新たな元NPB選手

06ブルズ

緊急事態宣言が解除

2021年6月22日、緊急事態宣言が明け、ついに花園セントラルスタジアムで有観客試合が開催された。

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矢白木崇行オーナーが「この状況で来ていただいた方は本当にありがたい」と一言。また、遊馬ジェシー選手も「練習も外でできるのは気分がいい。ブルズのファンは𠮟咤も激励もすごいので、お客さんの前で野球ができてうれしい」と話した。

試合も神戸三田ブレイバーズに逆転勝利。その立役者となったのは川口陽太郎、20歳の右腕だ。

打たれない理由は

試合前まで防御率は0.38。神戸三田ブレイバーズの橋本大祐監督をして「先発投手の数字としては驚異的」と語る。

しかし、ストレートは130キロそこそこ。去年と何が変わったのかを関係者複数人に聞いてみたが皆が首をひねっていた。

この試合も2回にエラー絡みで失点したあと7回に梶木翔馬にタイムリーを許すまでほぼ打たれることがなかった。9回に至っては無死三塁という大ピンチを背負いながら無失点で切り抜けた。

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(快投を続ける川口)

きっと何か見ている側にはわからない何かがあるのではないだろうか。完投勝利後、アイシング中の川口に聞いてみることにした。

「・・・・・・いや、実は自分にもわからないんですよ。逆に何か変ってるように見えますか?」

まさかの回答だった。
写真を撮っていてツーシームの握りが印象的だったので、その点を指摘したところ、「確かにそれはあるかもしれない」とのことだった。

「なんだろうな・・・ツーシームは投げるようになりましたけど、あとカットボールが大きく曲がるようになったのと・・・あれで三振取れるのも一つなのかなぁ・・・」

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しかし細かく聞いてみると色々は事が出てきた。

「体をオフの間に10キロ絞ったり、わだちさん(わだち整骨院)に通ってケアしたり、そういうところも結果につながったりしているのかなと思います」

近くにいた白戸颯キャプテンにも評価を聞いてみた。
「練習中、群れずに一人で練習する時間が増えたってのもあるんじゃないですかね?それが去年と違うところかなと思います。あとは『ちょっと大人になったんじゃないかな』と思います」

昨年まではランナーを出すと四球などで自滅するパターンも多かったが、今季はそういったところが本当に見られない。ランナーを出しても粘り強く投げられている。

「谷口GMから『感情の波を抑えよう』という話を聞き、実践しています。例えばエラーでランナーが出ても『自責点が付かないからいいか』ぐらいの気持ちで・・・・・変な言い方かもしれませんが、どんな状況でも『何も考えず』に投げています」

これで川口は3勝1敗。防御率は0.55。前の試合でも完封している。2試合連続の完投となった。

「今怪我人が多くて、先発ピッチャーの数も足りないので、何とか長い回を投げようと思ってはいました。結果的に完投できましたが、素直に勝ててうれしかったです」

チーム事情に合わせ、自分のやるべきことをする。ところが白戸の言う「大人になったところ」なのだろう。

7月9日の交流戦メンバーにも選ばれた川口。今後の快投にも期待したい。

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(取材日:6月22日 SAZZY)

堺シュライクス

始まりはSNS

堺シュライクスの畑康裕球団代表がはあることが気になっていた。
「戦力外通告を受けた選手って今どうしているんだろう」

選手の進路を確認し、気になった選手にSNSを通じてメッセージを送ってみた。返事が返ってきた選手がいた。折下光輝。2020年まで読売ジャイアンツの育成選手だった男だ。

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(写真は2018年6月30日のBFL選抜対巨人三軍の試合のスコアボード。折下は9番サードで出場。巨人の4番は村上海斗(堺))

巨人を退団した後は地元の徳島に帰り、就職していた。

「実は最初メッセージに気づかなくて、村上さんに『メッセージ来てるぞ』って言われてようやく気がづきました」

大西宏明監督も「サード、セカンド、ファースト一通り守れてパワーもある」と期待を寄せる。

6月28日に、堺の徳島遠征の時にチームと顔合わせ、7月3日に入寮、そしてこの日の試合からベンチ入りすることになった。

自分なりの野球をしたい

「12球団トライアウトも結果が出なかったんですが、野球をやるならプロにしか興味がなかったんです」

堺からのオファーには「相談します」と返信し、家族や友人に相談した。徳島に戻ってからは特別なトレーニングなどをしていたわけではなく、仕事の傍ら、草野球などをする程度だった。

「村上さんからは『よく決めたな』って言われました」

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それでもまた野球の道に戻ってきたきっかけになった思いがあった。

「プロでやっていく中でいろんな葛藤がありました。今回話をいただいて、年を取ってから『もっとこうしておけば』みたいな後悔をしたくないなと思って入団を決めました」

巨人での3年間でも「こうしていれば」ということはたくさんあったという。

「自分なりの野球ができればいいですね。もちろんチームのルールとかはあると思いますが、自分が決めたことをしっかりやりたいと思います」

チームに合流してすぐの試合前、大神康輔とともにトスバッティングをし、同い年の赤城圭佑と並んでキャッチボールをするなど、早速チームになじんでいるようだった。

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「堺は楽しいチームですね!」

アピールポイントはバッティング。
後悔を取り戻し、満足をするまで。折下の野球人生第二章が始まる。

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(取材日:7月3日 SAZZY)


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