【和歌山ファイティングバーズ】堅木家3人目の男 堅木大輔
トライアウトの時に
2021年11月。リーグ合同トライアウト受験者の名簿を見てふと目に留まった選手がいた。堅木大輔。
堅木?奈良県出身?
なんとなくバッティングフォームも顔つきも似ている。
まさかと思い、そばにいた06BULLSの堅木「康生」選手に聞いてみた。
「弟です」
そのまま堅木大輔はトライアウトに合格。和歌山ファイティングバーズに指名された。
2019年に和歌山、2020年に06に所属した堅木勇吾、そして2020年から06に在籍する堅木康生選手が、さわかみ関西独立リーグに所属している。
明るくなった
それからしばらく経って、堅木大輔は元気に野球に打ち込んでいた。
チームのムードメーカー・松本聡から「めっちゃ明るくなったな」と言われるほどになった。
「入ってきたときより声が出るようになったり、動きもよくなってましたよ!」と松本が堅木の姿を見ながら話していた。
バッティングピッチャーを担当したり、試合に入るとコーチャーズボックスに入る。チーム最年少ながらよく動き、よくしゃべる。試合前の円陣では「やれるのか!おい!」とどう考えても年相応ではないプロレスネタを引用し先輩たちを沸かせていた。
「早く野球に専念したいと思ってトライアウトを受けました」と受験動機について堅木が振り返る。
「守備に自信はあったんですが、細かい部分や質はやっぱり違いました。毎日課題を持って練習に取り組んでいます」
生島大輔コーチにも指導を仰ぎ、体幹を鍛えている。体幹のブレの多さが課題だという。
「少しずつですがよくなってきていることを実感しています」と堅木も一定の手ごたえを感じているようだ。
兄弟
前述したとおり、堅木の兄2人は和歌山、06それぞれに在籍していた。
ちなみに2020年には勇吾、康生兄弟が同時出場するシーンがしばしば見受けられた。
なかなか兄弟で同時期にプレーする例もないが、兄弟について聞いてみた。
「アドバイスはもらってます。一番上の兄(勇吾)からは素振りを見てもらったり、もうひとり(康生)からはキャッチャー目線でのアドバイスをもらってます。打席の立ち方とか気になるところを教えてもらってます」
試合前後には兄弟らしく話をするシーンも見受けられるが、「試合になったら別」と言い切る。
対決、そしてこれから
出番は突然やってきた。4月19日の06との試合。先発の西垣彰太がピッチャーライナーを受けた影響もあり途中降板。その後もチーム全体で5失策という空気を変えるべく、6回の途中から守備固めとして起用された。
代わったところに打球が飛ぶというのは本当のようで、打者・田中時織が打った打球は堅木のところへ。セカンドゴロに仕留めた。
「急な出場でしたけど、日ごろから準備していた成果が出たと思います」と話していた通り、無難に守備機会をこなした。
そしてこの日の8回。堅木の初打席。打者・大輔、捕手・康生という兄弟対決が実現した。
結果は四球。しっかりと見極めた。
「今はいつチャンスが来るかわからないので、しっかり自分のできることをやって、万全の準備をして備えたいです」
そこから3カ月。同じく06との試合。大量リードの場面で途中から守備に就いた。巡ってきた打席で堅木は初安打初打点となるセンター前ヒットを放った。
嬉しそうに一塁上で先輩たちにこぶしを突き上げ、喜びを表した。
まだまだ発展途上の18歳。少しずついろいろなことを積み重ねて、大きくなっていく。
(文・写真 SAZZY)