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【初心者向け】シンセサイザーの音作りに迷わない3つのステップ

初心者の頃、高価なシンセ音源を買ったのに使い方がわからず、結局プリセットを選ぶだけだったダサメロンパンです。

シンセサイザーのつまみが多すぎて苦手意識があったり、どうすれば狙った音になるんだろうかと困っていませんか?

実は、シンセサイザーは、ある程度基礎を理解すれば、誰でも音を作ることは簡単です。

そこで、今回は初心者でもプリセットに頼らず、狙った音が作れるようになる方法を3ステップに分けて解説します

この3つの段階を踏んでいけば、誰でも音色の作り方が理解でき、シンセサイザーでの音作りがぐっと身近になるはずです。

それでは行ってみましょう!

1.シンセの基礎を理解する


まず、シンセサイザーで音を作る時に必要な基礎的な知識を知っておく必要があります。

シンセサイザーとは、シンセサイズ=合成するを語源としており、音を合成する楽器、ということです。

音を合成する、と聞くと難しく考えがちですが、本当に必要な知識はそれほど多くはありません。

ここでは、これだけは押さえておけば音は作れる、というものを紹介します。

なお、ここでは筆者が主に利用しているLOGIC付属のシンセサイザーES2を例に解説していきます。

お使いのシンセによってつまみや名称が異なっていますので、そのあたりは適宜読み替えてご理解いただければと思います。

1.1 ES2の初期画面

たくさんツマミがあり、ややこしそうですが、まず押さえておきたい必要なところは上の画面の3つの赤囲み部分だけです。

1.2 オシレータ

オシレータとは画面左上のセクションです。ES2はオシレータが3つ搭載されています。

オシレータを理解する前に、音とは何かについて、理解しておく必要があります。音とは何かというと、空気の揺れ=波です。

ですので、音声を作るには、まず基本となる波を発生させる必要があります。

その基本的な波の形を選ぶのがこのセクションです。

波形として代表的なものは、サイン波、矩形波、ノコギリ波、三角波などです。

選んだ波形によって発生する音は異なってくるので、それぞれの傾向を押さえておきましょう。

(参考:倍音について)
倍音とは、楽音の音高とされる周波数に対し、2以上の整数倍の周波数を持つ音の成分。1倍の音、すなわち楽音の音高とされる成分を基音と呼ぶ。

弦楽器や管楽器などの音を正弦波(サインウェーブ)成分の集合に分解すると、元の音と同じ高さの波の他に、その倍音が多数(理論的には無限個)現れる。

Wikipedia

サイン波(sine波)・・・倍音がなく澄み切った音

サイン波

矩形波(square波)・・・ファミコンなど古いゲーム機で聞く太い音

矩形波

ノコギリ波(saw波)・・・倍音成分が多く太い音

ノコギリ波

三角波(triangle波)・・・柔らかくて丸い音

三角波

1.3 オシレータの音程設定

また、このセクションでは音の高さについても設定します。

ベースなどの低音楽器については、この段階で低い音を発生させる必要がありますし、ベルなどの高い音については高い音を発生させる必要があります。

ES2では、オシレータの左側のウインドウで音の高さを設定します。

波形のオクターブの設定場所

この赤丸のところをプラス1すると1オクターブ音程が高くなり、マイナス1すると1オクターブ音程が低くなります。

1.4 音を厚くするには?


次に、音を豪華にしたい場合があると思います。この場合は、次の2つの方法があります。

(1)複数のオシレータから音を出す方法
・音の厚みを増やすために、複数のオシレータから別の波形を同時に発生させる方法

(2)オシレータのチューニングをずらす

デチューンの設定場所

複数のオシレータから出力する波形のチューニングを少しずらすことで、音に厚みを出す方法

上記画面の場所で、0cとか3cとか書いてある場所がチューニングの設定箇所です。英語でcとあるのは、セント、という単位で、半音の100分の1という非常に細かい単位を示します。

このセント単位でチューニングをあえてずらすことで、音にうねりが生じ、音が厚く聞こえる、という理屈です。

印象的な音を作る(合成する)時には、よく上記の手法がよく使われますので、こちらも覚えておいてください。

1.5 アンプ・エンベローブ

次にアンプ・エンベローブです。

楽器から発生する音は音色、音量、音色から成り立っています。その中の音量を操作するのがアンプ・エンベローブです。

音量といっても、単純な音の大きさではありません。

例えば、バイオリンの音を想像してみてください。
バイオリンは、弦を弓で弾いて音を出します。それによって、バイオリンの音の出方の特性が決まります。

まず、弓で引く動作を始めてから音が出るまでタイムラグがあります。そして、弓を引いている間、音は持続します。また、弓を引き切ったあと、音が切れるまで余韻があります。

そういった音量の変化が、バイオリンらしさなんです。この音量変化が再現されていれば、人の耳にはバイオリンっぽく聞こえます。

もう一つの例は、ピアノです。ピアノは押した瞬間に音が出ます。そして指を離したらすぐに音が消えます。

人の耳には、この音量の時間変化が再現されていればピアノらしい音だと認識されます。

このような楽器ごとの音量特性が、その楽器らしさの大きな要素です。

これが掴めると、アンプエンべローブの理解が早くなります。

1.6 アンプエベローブの4大要素、ADSR

この、音量の時間特性を表現する4つの指標がADSRです。

A:アタックタイム
D:ディケイタイム
S:サスティンレベル
R:リリースタイム

聞きなれない言葉ですが、ここが理解できればシンセで狙った音作りにぐっと近づくので頑張ってください。

ES2の画面では左下のエリアで設定します。

ES2のアンプエンべローブ設定位置

なお、D:ディケイタイム、とS:サスティンレベルは同時に理解する方がわかりやすいので、先にA:アタックタイムとR:リリースタイムを解説します。

A:アタックタイムとは?

アタックタイムとは、鍵盤を押してから最大音量に達するまでの時間です。
アタックタイムが大きいほど、鍵盤を押してから音が出るまでに時間がかかります。

前述したようにストリングスは音が発生するまで時間がかかるため、アタックタイムは大きくなります。逆にリード楽器、ベース楽器などは、鍵盤をおしてすぐに音が出ますのでアタックタイムは小さくなります。

アタックタイムまとめ

R:リリースタイムとは?

リリースタイムとは、鍵盤を離してから音が消えるまでの時間であり、余韻をコントロールする数字です。

この値が大きいほど、余韻が長くなります。

リリースタイムまとめ

ストリングスなど、余韻が長い楽器を表現するときは、リリースタイムは長めに、プラック音など余韻が短い楽器は、リリースタイムは短めにします。

D:ディケイタイムとは?

ディケイタイムとは、鍵盤を押し続けた後、下記で解説するサスティンレベルまで音が減衰するのにかかる時間です。

この値が大きいほど、鍵盤を押してから減衰するまでに時間がかかります。

ディケイタイムまとめ

S:サスティンレベルとは?

サスティンレベルとは、鍵盤を押し続けた時のディケイタイム経過後の音量です。パーセンテージで示されるものであり、他の3つと異なり、時間ではありません。

この値が大きいほど、音があまり減衰しないということであり、この値が小さいほど、減衰量が多い、つまり音量が小さくなる、と言うことです。

サスティンレベルまとめ

1.7 ディケイタイムとサスティンレベルの理解

ディケイタイムとサスティンレベルの二つの指標は、組み合わせて音の減衰を表します。両者の組み合わせ、兼ね合いによって音の減衰のニュアンスが大きく変わります。

そこで、下記に、ディケイタイムとサスティンレベルの組み合わせについてまとめました。

・まず、サスティンレベルが大きい場合は、音があまり減衰しません。
この場合、ディケイタイムが長くても短くてもあまり影響しません。
(下記表の上段)

・そして、サスティンレベルが小さく、ディケイタイムが大きいとき(下記表の左下)は、鍵盤を押し続けるとすぐに、音が消えます。

さらにディケイタイムが小さくなると、音がぷつぷつと消えて発音しなくなります。

ディケイタイムをちょうどいい具合に調整することで、ほしいニュアンスを出すというイメージです。

このことを下記表にまとめました。

ディケイタイムとサスティンレベルの組み合わせによる音の減衰

ここまでがアンプエンベローブの解説です。

まずは、なんとなくこれらの数字をいじることで各々の楽器っぽさを出していく、ということがわかって貰えば大丈夫です。

どうやって狙った音作りをするかについては、この後、2ステップ目で解説していきますので安心してください。

続いて、フィルタについてです。

1.8 フィルタ


音はいろんな音程の成分を有しています。それらの音程の成分がどのくらいの割合で含まれているのかが音の印象を決めます。

その音の成分の一部を減らして音の印象を変化させるのがフィルタです。

ES2では以下のエリアでフィルタを操作します。

フィルタ設定画面

ちなみに、こうやって音の成分を削って音を変化させる方式のシンセサイザーは減算合成方式と言われています。

フィルタの掛け方によって音の印象は変化します。

低音を削ったり、高音を削ったりするのですが、一番最初は、フィルタはそれほどいじらなくても音は作ることができるので、今回は簡単な解説にとどめます。

以上、シンセの基礎について解説してきました。

これからシンセを学ぼうとする際は、特に、オシレータと、ADSRの理解がポイントになることを覚えておいてください。

ステップ2.音のコピーをする

次に、ステップ2です。

基礎を知ったら、次に大事なのが、音のコピーをすることです。

いきなり自分オリジナルの音作りをしようとしがちですが、もっと早く上達する方法があります。それが音のコピーという方法です。

例えば、「この曲のこのシンセの音がいいな」、と思ったら、それを真似てみる、と言うことです。

とはいえ、いきなり、既存の曲の音色のコピーは難しいもの。
そこで、徐々に難易度を上げる方法を考えてみました。

それが以下の3つのコピーです。


(1)初級編:目コピ

所有しているシンセのプリセットの音を選び、その画面上の設定をみながら、同じようにつまみを設定してみる方法です。

プリセットを真似するだけでも、かなりの音作りの勉強になります。

(2)中級編:別シンセの音色コピー

もし二つ以上シンセを所有しているのなら、気に入った別のシンセのプリセット音をコピーしてみましょう。

実は、シンセは見た目は異なっていても、上記で挙げたようなつまみは共通しています。それらの数字を調整していけば、ほぼ似たような音を出すことができます。

この手法の利点は、自分でシンセのつまみをいじって再現することで、両方のシンセの理解が深まることです。

(3)上級編:耳コピ

最後は、実際の曲の音色を、自分のシンセ、DTM環境で耳コピします。

こんなふうに徐々に難易度を上げていくことが、音作りの迷宮に迷い込まずにシンセを使えるようになる秘訣です。

このコピーをするかどうかが、シンセを使えるかどうかの分かれ目と言えます。ぜひやってみてください。

ステップ3.コピーの数をこなす

最後が、コピーの数をこなす、と言うことです。

ステップ2で既存曲の音色のコピーができるようになったら、どんどん実際の曲のコピーをしてみてください。

そうすることで、2つの点のメリットがあります。

1つは、そうして作った音色をストックしておくことで、実際に自分のオリジナル曲を作る時の音色として利用できることです。

もう1つは、音色コピーの経験を増やしていくと、曲を聴いただけで、音の作り方の道筋が見えてくることです。

こうなってくれば、シンセで音を作ることが楽しくなってきます。

ぜひ、自分で音を作るシンセの面白さを味わってみてほしいです。

まとめ

以上、シンセサイザーで狙った音作りをする3つのステップについて解説してきました。

まずは、基礎的な知識を知る、そして、その知識を活かして実際に音色のコピーの経験を増やしていくこと、それがシンセを使いこなす秘訣です。

ぜひ、一つの音色だけでもいいので実際に手を動かしてコピーしてみてください。その経験がかならず曲作りの完成まで自分を導いてくれます。

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