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lazy_planet
やっぱり、徳富蘆花。
カレンダーを見ながら「今頃、お盆なんだな。」と、ふと日本を想う時・・
テーブルの上にある、『自然と人生』(徳富蘆花著)に手が伸びます。
ここの自然も、大好きですが・・・
当時の文体で、蘆花が「文筆によって自然を写生し、かつ感慨を述べ」ているこの本を読むと、やさしい日本の風景が、ゆっくりと脳裏に映し出されるのです。(以前書いた記事は、こちらとこちら。)
今日も、この1ページに心を洗われました。
《 舟を川に浮かぶ 》
舟を浮(うか)べて、御最期川(ごさいごがわ)を 遡(さかのぼ)る。
日落ちて、残照(ざんしやう)水にあり。
山には蝉の音(ね) 蜩(ひぐらし)の音(ね) 猶(なほ)流れぬ。
舟は 暮色(ぼしょく)と共に 次第に 川を遡る。
夕潮(ゆうしほ) 満々と堪(たた)へて、青蘆の州(しう)も 半(なかば)水にあり。
舟行(ゆ)く方(かた)は、山影(さんえい)碧(あお)く 水(みづ)に臥し、
時々 鯔(いな)あり、高く跳ねて 白き紋を 畫(えが)く。
日暮(ひく)れて、水(みづ)白く、両岸(れうがん)黒し。
鈴虫、松虫、きりぎりす、水(みづ)を 挟(さしはさ)みて 鳴き、
山の闇(くら)きには 梟(ふくろう)咽(のど)を鳴らす。
空に 五位(ごゐ)鷺(さぎ)の 聲(こえ)あり。
(「自然と人生」 湘南雑筆 八月十日 から)
素敵なお盆休みを、お過ごしくださいませ。
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