漁師が創る森
少し時間ができると、NHKワールドプレミアムを見る。
今回ヒットしたのがこれ!
「ニッポンの里山ーふるさとの絶景に出会う旅」という番組で、「コンブをよみがえらせた漁師の森」だった。
北海道のえりも岬の海の再生のために、昆布漁をしている漁師さんたちが、砂漠化されたえりも岬の山に木を植えた。
明治の始め開拓のために移住してきた人たちが伐採し燃料として使ってしまった森は、一瞬のうちで砂漠化し、その砂漠の砂が海に流出して、特産であった日高昆布が壊滅状態になってしまったのだ。
砂を止めるために、砂漠に漁師が木を植える!
「木を切って使うのは一瞬で無くなる。しかしそれをもとに戻すには、半世紀がかかる。」と、強風で木が根付かない広大な土地に、気が遠くなるようなプロジェクトを60年前に父親が立ち上げたと、2代目が言う。
たくさんの困難を乗り越えて、今では小さな森になった。
そしてきれいな海に、青々とした昆布が生き返った。
今ではその意志を孫が受け継ぎ、子供を育てるように木を見守り、そしてまた次の代へと植えていた。
「自分が幼い時、父親と一緒に植えた木が、今ではこんなに大きくなりました。」と、木を見つめながら、誇らし気に3代目は言う。
砂漠に森を創ってしまった。
その再生力!そして、その持久力!!
それも自分だけではない、代々かけて相続させていくことができる、再生力であり持久力なのだ!!
そういえば、東京の明治神宮の森も、約100年前に作られた人工の原生林だ。
またえりも岬の森は、「漁師」が木を植えて森を創ったのだ。これは海や土地に対する愛情がなければ、できないことだろう。漁師たちは、森と海は一体の生態系であるともいう。そんな自然との付き合い方が、見事である。
中国の北京における砂漠化の問題は、中国だけではなく周辺国家である韓国や日本にもPM2.5や黄砂問題として、多大な被害を及ぼしている。
漁師が森をつくるという、日本にとってはごくごく普通のことであっても、世界からすればある意味考えられないことがたくさんある。
「うわ~~!これって、スゴすぎない~~!!!」と言いながら、テレビの前で大騒ぎしている私って、いったい何人なのだろうか・・・とも思ったりしてしまう。