職員室の白い小さな机
職員室の奥に白い小さなテーブルがある。
先生たちが集まり、コーヒーを飲んだりおしゃべりをする。
そんな机がどこの学校にもあったが、勤務中におしゃべりをするな。職員室で匂いの強いコーヒーなんて飲むなと、あれもダメこれもダメと禁止事項がたくさん増えた。先生自身が雑用に追われておしゃべりする余裕もない。職員室がギスギスして、いつの間にか机が片付けられた。
それに伴い、さらに職員室がギスギスし、それが原因かどうかはわからないが、ミスも増える。他の職員の悪口も増える。
職員室の白い机は、職員の息抜きのリフレッシュの場だった。
という話が昔、よくされていた。
どんな話だったかなとパソコンを開いた。でも、私の調べ方が悪いのか、その原話が見つからない。誰かご存じないだろうか。
ネット検索をすると、「休憩室の重要性」に関する記事は多くヒットするが、職員室の机の話は見つからない。白い机じゃなかったかも知れないが、よく覚えていない。
それはともかく、職員室だけでなく、職場には休憩室が必要だ。
法律によると、「休憩室」の前に「休養室」を設けなければならないとある。体調を崩したときの保健室のようなものだ。まあ、こっちは50人以上の職場となっている。
「休憩室」に関してはこうなっている。
職場の人数制限はないけど、「休憩室」を作ることは「努力目標」となっている。
「絶対作れよ」ではない。でも、法律で「努力目標」ということは「作れよ」と言っているのと同じようなことだろう。「できないところもあるかもしれないけど、作れよ」ということだ。
法律でも作らなければならないと言う。それなのに、学校現場では休憩室がなくなっていく。
休憩室があることによって、オンとオフのメリハリがつきリフレッシュできる。コミュニケーションの場となり交流、情報交換ができる。会議では話すのをためらっていたことも、休憩室では話せるので、みんなの声を聞き、新しいアイデアが浮かぶこともある。
ただでさえ忙しい教師にとって、リフレッシュと交流の場は大切だ。
生徒の暴力、逆に無気力、発達障害、親からの不満。会議でいちいち話すほどのこともない事件がいくらでもある。それを雑談の中で出し、ヒントをもらうことはいくらでもある。
また、担任一人で対応するのではなく、他の先生の協力ももらえる。教科担任制ならば、他の教科での様子が知られる。学級経営のヒントももらえる。だって自分がホームルームをしている時間に、他のクラスのホームルームは見ることができない。雑談の中でヒントをもらえる。
子どものことだけではない、苦情を言ってきた保護者の対応も教えてもらえる。ひょっとしたら、学級で苦情を言う親は、部活動ではむちゃくちゃ協力的で、顧問の先生とはツーカーの仲かもわからない。そんなことも会話がなければわからない。
まあ、苦情を言うということは、興味があるからで、苦情を言う人を味方にすれば、むちゃくちゃ協力的な保護者になる。クレーマーは将来の協力者になる可能性を秘めている。そんな話も先輩からアドバイスしてもらえる。
わけのわからない事務作業の方法も教えてもらえる。
こういうコミュニケーションの場は、作ろうと思えばいつでも作られる。わけのわからない施策にお金をかける必要もない。職員室に白い小さな机を置くだけだ。
そんなにお金をかけなくてもできることが、なぜできないのか。
休憩室が必要だという意識が少ないのだろう。管理職にも休憩室が必要だという思いがないのだろう。
職員室に机を置き、そこでの雑談によって意識を変える先生が一人でも増えてほしいなあ。
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