白い色は純白の花嫁衣装か、死に装束か、それとも恋人の色~ナツフジ、ネムノキ、ジャングル大帝
ナツフジの白い花が咲いていた。
フジは藤色という言葉があるように、山に生えているフジは紫色をしている。初夏の頃、山一面を紫に染めることもある。
公園の色とりどりのフジは山のフジより大きな花が咲く。公園のフジどころか、山のフジよりももっともっと小さな葉っぱで小さな白い花が咲くのがナツフジだ。
かわいい姿とともに、白い色の花に惹かれる。
白い花といえば、白い花のネムノキがあった。
ネムノキの花はピンクだ。木によって、濃いピンクや薄いピンクの花がある。みんな一緒ではない。兄弟で姿形、性格が違うように、自然の木々も種から生えた木は、みんな違っている。それにしても白いネムノキの花は初めて見た。
近づくと、真っ白ではなく、少しピンクはある。けれど、遠くから見たら白い花。白いネムノキだ。
白いのが珍しい花には、タンポポやヒガンバナもある。黄色いタンポポしか知らなかった私が、シロバナタンポポの群れを初めて見たときは衝撃だった。白いヒガンバナを初めて見たときもびっくりした。ヒガンバナは赤いのが当たり前で、赤い「火事花」だと思っていた。今では白いヒガンバナを植えている場所も増えて、いろんなところで目にする。
白いツユクサをさがしたこともある。ツユクサは、青色の花ではなく、紫色の花のも希に希にある。ちょっと色素が薄くなっている。この紫の花の苗は、気温が低くなったときに紫ではなく、白い花が咲く……と思うけど、本当のことはわからない。白い花のツユクサをちぎってきて、水栽培したら(水につけるとすぐに根が出てくる)、咲いたのは紫の花になった。本当に白い花が咲いていたのだろうか。パパッとネットを見てもわからない。誰かツユクサの謎を教えてほしい。
たまたま見つけた白いクズの花が咲く木もあった。葛粉や葛餅の原料になるクズの花は赤紫をしている。それが、全部白い花が咲いているツルがあった(クズはツルで、他の植物にまきついて育つ)。
白い花に惹かれる。白い色は、恋人にも、花嫁にも、死体にも似合う。「白い色は恋人の色」はベッツィ&クリス。花嫁衣装や死に装束はいつの間にか白い色になっている。白い服は人生の節目の時。
西武ライオンズのマスコット、ジャングル大帝のレオは白いライオンだ。ジャングル大帝と同じシチュエーションでディズニーのライオン・キングがある。登場人物が一緒。アニメで出てくるマンドリルのマンディーなんて、普通はライオンと一緒には考えない。ディズニーのスタッフはどこからそんなものを考え出したのだろう。ジャングル大帝を見たとしか考えられない。
ジャングル大帝のマンガが1950年。テレビアニメが1965年。アニメはアメリカでも放送された。鉄腕アトム(アストロボーイ)が白黒アニメで、カラー化のアメリカではだんだん受け入れられなくなってきた。ジャングル大帝は輸出用にカラーにした。色の映える動物としてマンドリルを選んだのだろう。アメリカでも多くの人が1960年代にジャングル大帝を見ている。そして、ライオンキングの映画が1994年。完全なパクリだ。
日本の虫プロダクションはディズニーに苦情は言っていない。手塚治虫がディズニーに憧れていたから何も言わなかったのだ。苦情を言ったのは、アメリカの日本アニメファンだ。
ジャングル大帝の主人公は白いライオンだが、ライオン・キングの主人公は白くない。
日本人は白い色が好きだ。日本では、白ヘビが神の使いだといわれるように、白い動物を敬うことがある。ベタベタ塗りたくった色よりも、何も塗らない白い色が尊重された。
白い色は不思議な色だ。いろんな色を混ぜ合わせれば黒くなるが、いろんな色の光を混ぜ合わせれば白くなる。全てを拒絶する色であり、全てを受け入れる色でもある。
白い色の花を見ていると、なぜか心が癒やされる。ちょっと周りを見てみよう。そこに白い花が咲いているかもわからない。
今夜は満月。空を見上げればまん丸い月が見られるかもわからない。耳を澄ませば虫の声が聞こえるかもわからない。