カサンドラ症候群4 自助グループの抱える課題とは
発達障害とグレーゾーン、そしてその家族やパートナーが陥る『カサンドラ症候群』について、講演、カウンセリングをしている神田裕子です。
1 メルマガについて
メルマガを5月15日からスタートさせます!研究会や学会で得た知識や心理学、人間関係、コミュニケーションなどもちろん発達障害やカサンドラ症候群についても^^登録はコチラ↓↓↓
2 カサンドラ・ラボ札幌の進捗状況
カサンドラ・ラボ札幌も今週末にはHPができるかな♪
さらに7月17日からの講演会をはじめとして、オンラインでの5回連続講演会を予定しています!まだこれから日程調整に入りますが・・
劇団四季のボイストレーニングもされている野口千代子先生には、発声による呼吸法でパニック発作などを予防する方法、そして先生ご自身もアスペルガー症候群ではないかと言われたことがあり、カサンドラ症候群へのメッセージを含めたお話をしていただく予定です。7月17日13時半~オンラインです(申し込みはもう少し待ってくださいね^^)
鳥飼康二先生と村上由美さんには、今月末にお目にかかります。ご両者ともとても発達障害にはお詳しいので、鳥飼先生には法律知識を、村上さんには療育を受けることと受けないことの違いや、パートナーの方もアスペルガー症候群であることから、当事者として、そして家族を支える立場からのお話をいただきたいと思っています。
こちらは、講談師の田辺鶴瑛さんです。先日お家にまで押しかけちゃいました♪とてもお優しい面倒見の良い方です。介護講談をされているので、発達障害講談をお願いできないかな~と画策しています^^
こんなふうに4月に立ち上げたカサラボは順調に成長しています。
7月からの講座開催を目指して、あらゆる方面と手を取り合って進めたいと考えています♪
3 自助グループの現状
さて、そんな中、カサンドラ症候群の自助グループなるものを主宰していらっしゃる方々に、ヒアリング調査をさせていただきました。そこから感じたことを今回は書いていきます。
当会が、今後‥自助グループとどう連携しながら運営していくのか、どんな役割を果たすとよいのか、などを調査しています。
自助グループには、いろんなタイプがあることを知りました。
一番印象深かったグループ主宰者によると・・オンラインでシェア会を開催していると、海外からも(!)参加されるとか。そこでは、日本の参加者と海外在住の参加者では、参加の動機・目的には違いがあるようなのです。
海外在住者の場合は、これからの夫婦生活を、より良くしていくために参加される方が多いようです。つまり、お互いの特性を認めたうえで、前向きに、互いの特性や態度をどう理解し、どの点を改善しながら付き合っていくのかを悩んでいるということでしょう。
1996年にアメリカオレゴン州のポートランド市(当時は中心地だけなら人口30万人程度の町です)で、カウンセリングの調査を実施した際、カウンセリングについての電話帳のページが、8ページもあったことを思い出しました。私の住む札幌では、各種療法のところにカイロプラクティックや占いと一緒に、1,2件開業しているカウンセラーの名前がある程度の時に、です。
気軽に、日常の心のざわつきを整理するためにカウンセリングを利用する風習が、その頃のアメリカにはすでにあったのです。日本でのカウンセリングって、いまだに”病気だから”受けるところ、というイメージがあります。積極的に夫婦生活にもカウンセリングを取り入れている欧米と、男尊女卑の歴史に基づく家制度の名残なのか、女性側が我慢する慣習がある日本とではかなり違ってきますよね(九州と似ている気がします💦)。そんな社会的背景がある中での、シェア会であることを考慮しなくてはなりません。
いっぽう日本のグループでは、あちらこちらでパートナーへの不満・愚痴が叫ばれています(まさに悲痛な叫び!)。発達障害の種類によって、そして個人差も含めると特性には大きな差があります。ですから、本来なら個別にカウンセリングが必要です。カップルまたはどちらかお一人が来られるにしても、しっかりと時間をかけてカウンセリングしていきたいところです。
「あなたの」夫はそうかもしれないけれど、別のカップルは発達障害といっても同じ言動はしないのかもしれないのです。それなのに発達障害をまるごと悪者扱いしているカサンドラさんもたまに見受けられます。
私は、愚痴を吐くのが悪いと言っているのではありません。どこかで吐き出さないと、おかしくなってしまいます。誰に相談していいかわからないし、友だちに打ち明けても・・「何、それ?」と返ってくるがおちです。医師に相談すると「あなたが、しっかりサポートしてあげないとね」の一言で終わってしまうこともあるでしょう( ノД`)シクシク…
サポートすることに努力をしていても、疲れるとやはり不満はたまりますよね。
他にもこんな課題があります。
グループのあるカサンドラさんご自身が、発達障害を抱えていたらどうしますか?
メンバーの発達障害を抱えるパートナーへの怒りが、その方を傷つけるかもしれません。そして、そのことを聴いた他のメンバーたちは、気を遣うがあまり言いたいことを言えなくなってしまうことがあるかもしれません。
また、”不幸比べ”が始まってしまったら?
「あなたはいいわよね、ADHDだとこの点は楽だから」
「グレーゾーンの人はいいよね、それほど(特性が)ひどくないから」
というように・・。
こうした自助グループの運営における課題の背景には、「自己の問題」と「発達障害全体の問題」のはき違えがあると予測します。
そしてもう1つ!
私はカサンドラ自身にも、「カサンドラ症候群になりやすい、何かしらの素地」があると感じています。
例えば、前回お話ししました「愛着障害」もそうです。また、アダルトチルドレンや幼少期の虐待が関係している人もいることでしょう。そこまでつらい経験はなくても、親子関係がしっくりいっていない場合も考えられます。
カサンドラさんたちが、パートナーへの怒りや苦悩を言葉にしたいだけしたなら、自己を見つめることにエネルギーを向けてもらいたいです。そうして気づきが起こり、行動変容につながっていくと、その方の人生はもっともっと楽しく心地よいものに変わります。かつて、うちに来られたクライエントちゃんたちがそうであったように・・
何が原因で夫婦不和なのかがわからず、苛立っている「カサンドラ予備軍」含めて、もっと必要な知識を身につけなくてはなりません。知は判断を助けます。
例えば・・
■モラル・ハラスメントは、パーソナリティ障害の傾向が強い人が起こしやすい。発達障害と区別して考えたうえで、両方もしくはどちらの傾向があるかを確認する
■発達障害の検査を受けさせるために、夫をどのような言い方で連れ出したらよいのか?
■「そうとしかできない人」を受け入れる場合の考え方
これらの問いは一例です。
シェア会を通して、または講演会などの勉強会から、カサンドラさんたちの疑問・質問を洗い出し、さらには、解決策を講じるためのシェア会にしていかなくてはいけないと感じています。